花粉が皮膚に付着すると「アレルギー性の皮膚炎」を発症する可能性が!皮膚科医がおすすめするケアとは?

暖かくなって気持ちのいいお出かけを楽しめる春ですが、花粉症の人にとっては辛い季節でもあります。今年は1月から暖かい日が多かったことから花粉の飛散が例年より早く、長い期間花粉症に悩まされることになりそうです。そんな中、花粉症で辛いのは鼻水やクシャミだけではありません。実は皮膚にも大きな影響を与えています。今回はよしき銀座クリニックの吉木伸子先生に花粉症と皮膚のかぶれの関係性について詳しく聞きました。

 

花粉症ではない人も発症する可能性が!かゆみや湿疹、目の周りが赤くなったら要注意

吉木先生によると、花粉が多く飛散する時期に花粉が皮膚に付着することでアレルギー性の皮膚炎症が引き起こされることがあるそうです。具体的には肌にかゆみを感じたり肌にプツプツと湿疹ができたりまぶたや目の周りが赤くなったりといった症状なんだとか。怖いのがこうした皮膚炎症は花粉症の人が必ずしも発症するわけではないものの、逆に花粉症ではない人でも発症する可能性があること!

 

「こうした症状は医学的には花粉によるかぶれのことを指します。スギなどの花粉による『接触性皮膚炎』またはもともとアレルギー体質をお持ちの方は花粉による『アレルギー性皮膚炎』と呼ばれます。血液検査で花粉症という診断を受けなくてもどなたでも発症します。今年のように花粉の飛散が多い年のほうが重症化しやすいかもしれません。また反応しやすい花粉の種類によっては春だけでなく秋に起こる方も。また花粉が付着することによるものなので、皮膚の状態により頭皮や手などに発症する場合もあります」(吉木先生)

 

誰もが発症する可能性がある花粉による皮膚のかぶれ。最大の要因は皮膚のバリア機能の低下のため、発症しやすい人の特徴としてはもともと乾燥肌の人やアトピー性皮膚炎などバリア機能が脆弱な皮膚疾患を持つ人なんだそうです。また春のこの時期は空気が乾燥していることから普段乾燥肌と自覚がない人でも乾燥気味になりがち。とにかく乾燥を防ぐことが最大の防御策と言えそうです。

提供元:ユースキン製薬

「肌の表面にあるわずか0.02mmの角層が皮膚のバリア機能の役割を担っており、角層の内側にある水分や細胞間脂質が逃げるのを防いでいます。つまり肌のうるおいが保たれていればバリア機能は保たれます。さらにバリア機能には花粉などのアレルゲンや細菌などの侵入を防ぎ、紫外線などの外部刺激から肌を守る役割も。冬は乾燥した空気によって肌のうるおいが奪われて乾燥し、バリア機能が低下した状態になっています。そこに花粉による刺激が 加わると免疫反応が起こり、肌にかゆみや発疹が起こってしまうのです」(吉木先生)

 

女性ホルモンやストレス、偏った食生活も肌のターンオーバーを乱す要因に

また女性ホルモンや日常生活も大きく影響してくるそうです。肌の生まれ変わりのサイクル「ターンオーバー」に直接影響をもたらすのが加齢やホルモンバランス。ターンオーバーによって皮膚のうるおいを保持する力が弱くなり、皮膚のバリア機能は衰えがちになります。今の時期に普段とは異なる肌の不調を感じた場合はターンオーバーが乱れているかもしれません。その結果、花粉症による皮膚のかぶれも引き起こる可能性が高くなるので特に注意が必要です。

 

吉木先生によると、このほかにも注意したいのはストレスや偏った食生活なんだとか。「ストレスや偏った食生活も肌の状態と密接に影響しています。バランスのいい食事をとること、睡眠時間を十分に確保し翌日に疲れを残さないことなど、規則正しい生活を心がけてください」と念を押します。

 

また毎日の洗顔でしっかりと花粉を落とすことも大事なケア。洗顔もポイントを押さえることが重要です。

 

①手をきれいに洗ってから顔をぬるま湯で洗う

②適量の洗顔料を濡らした手に取り、空気を含ませるようによく泡立てる

③ 額、鼻、あご、両頬に洗顔料をのせ、泡を転がすようなイメージでくるくると動かして洗う(手でゴシゴシこすらないように、たっぷりの泡を使ってやさしく)

④ ぬるま湯を使い、泡が残らないようにしっかり洗い流す(直接シャワーを顔に当てるのではなく、手で水をすくいとって洗い流す)

⑤ 濡れた顔をタオルで押さえ、こすらないように水分を拭き取る※タオルでゴシゴシとこすらない

 

保湿剤は低刺激性か超敏感肌向けのものを選んで

また肌の保つための正しいスキンケアも侮れません。吉木先生は毎日の保湿の重要性を指摘します。

 

「まず朝夕の洗顔後には欠かさず保湿ケアをしてください。かゆみを伴っている場合は市販の薬を使うか医師に相談してください。特に肌が敏感になっている方は肌への刺激が少ない超敏感肌向けのものがおすすめです。またついついやってしまいがちなのが、洗顔のし過ぎや熱いお湯を使っての洗顔です。これらは必要以上に肌のバリア機能を弱体化してしまいますので注意が必要です」(吉木先生)

 

花粉が皮膚に付着しないようにマスクを着用することは大事なことですが、マスクの上部分には特に花粉が溜まりやすいそうです。この部分には念入りにスキンケアをすることが重要なんだとか。

 

「日頃から肌のバリア機能が正常に働くようにそれぞれの肌に合ったスキンケアをしておくことが大切です。化粧水だけでは不十分ですので、そのあとには保湿クリームなどを重ねて肌のうるおいを閉じ込めておくようにしてください。またこれからの時期は紫外線の影響で皮膚の乾燥やバリア機能の低下が加速しやすくなります。顔や首元、耳なども含め、紫外線対策は徹底しましょう」(吉木先生)

 

皮膚のかぶれは痒みだけでなく、搔きむしって跡になることもあるのでなるべく避けたいところ。皆さんも正しい洗顔やスキンケアで花粉から皮膚を守っていきましょう。

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