女性の毛髪への新アプローチ「S-DSC毛髪再生医療」とは?「毛の成長を促す起点となる細胞の一つを移植する」治療への期待を専門医に聞きました

2025.07.14 WELLNESS  [PR]

Presented by S-DSC

最近その名前を聞く機会が増えた「再生医療」。悩みへのアプローチ手段が増えているのですから、私たち40代50代女性にとっても今後は気になる場面がいっそう増えていくはず。

 

その一つが「毛髪」の再生医療分野です。

 

言うまでもなく毛髪は思うようになりにくい、大変難しい分野ですが、どうやら光明が見え始めたらしい……? さっそく、その「S-DSC毛髪再生医療」臨床の第一人者である、東邦大学医療センター大橋病院 皮膚科 准教授 新山史朗先生に詳しく伺いました。

 

徐々にわかってきた女性の薄毛の原因。「打つ手が極めて限られる」女性型脱毛症(FPHL)治療の難しさとは

東邦大学医療センター大橋病院 皮膚科 准教授 新山史朗先生

「実は従来、女性の薄毛治療には大きな困難がありました。薄毛の悩みは圧倒的に男性人口が多いため、あまり知られてこなかったかもしれませんが……」

 

そう語り始めた新山先生。聞き上手、話し上手な先生とはポンポンと快活にお話が進み、心にひっかかっていた不安や迷いがどんどん軽くなります。先生、まずはその、女性の薄毛治療の背景から教えてください。

 

「毛髪の悩みの代表例は『円形脱毛症』と『壮年性脱毛症』です。まず、円形脱毛症は円形や楕円形に発生する脱毛で、自己免疫が毛根を攻撃して発生すると考えられています」

 

ストレスが原因、と言われるやっかいな症状ですよね。もう一つの「壮年性脱毛症」とは?

 

「男性と女性で少し機序が違います。壮年性脱毛症のうち男性型脱毛症(AGA)は男性ホルモン・ジヒドロテストステロン(DHT)の影響で発生し、特に前頭部・頭頂部の髪が徐々に細く、短くなることが多い。いっぽう女性型脱毛症(FPHL)は女性ホルモンバランスの変化や加齢によって発生し、頭頂部を中心に髪が薄くなることが多いのです。男性・女性ホルモンは男女両方に分泌されているので、女性も男性ホルモンの影響を受けます」

 

DHTの受容体は男性の前頭部や頭頂部に多いため、男性の場合はこの部分に薄毛が発生しやすいのだそう。なるほど、耳の後ろ側やうなじは受容体が少ないから脱毛しにくいのですね。

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「そして、女性の場合は治療法の選択肢が少ないのが難しさの原因なのです」

 

選択肢が少ない。どういうことでしょうか?

 

「男性は治療ガイドラインの『行うよう強く勧める』分類に『フィナステリド』『デュタステリド』の2つの内服薬に加え、外用薬の『ミノキシジル』、合計3つの選択肢があり、内服薬の奏功率も高いとされます」

 

なるほど、薬を飲んで治すという手段があるのですね。いっぽうの女性は?

 

「女性はその、2つの内服薬がどちらも妊娠、授乳への影響で『行うべきではない』分類です。つまり、外用薬しか治療法がないうえ、奏功する人も限定され、効かなかった場合は打つ手がない。専門医としても一緒に涙ぐむしかない状態でした。私たちも長年、じくじたる思いでいたのです」

 

さらに女性にとっては悲運なことに、脱毛は性ホルモンと深く関連するため、FPHLは閉経前後から発生が増えていくとのこと。

 

「閉経期には女性ホルモンが激減しますが、もともとわずかに分泌されていた男性ホルモンは残ります。毛髪を太く長く保つ役割を担っていたエストロゲンが減少するいっぽう、DHTは残存するので、相対的にDHTの影響が強くなり、結果、女性の場合もDHTが毛包のアンドロゲン受容体に結合して毛包を縮小させ、髪が細くなり頭頂部が薄い印象になる例が出てくると考えられます」

 

女性の場合は頭頂部のほか、中心の分け目を起点に前方へ向かって薄くなる「クリスマスツリーパターン」での出現もあるそう。なるほど、ここのところ私も前髪の上あたりの毛量が寂しく、かつ髪がひょろひょろと細く弱弱しくなってきたことが悩みなのですが、実は閉経前後の女性ホルモン減少とも関連しているのですね。

 

「女性型脱毛症は、男性のAGAのようにDHTが原因でほぼ説明がつくというわけではなく、より複雑な要因の関与が考えられています。たとえば出産後に脱毛や薄毛が起きた人はDHTの影響を受けやすい可能性もあるかもしれませんが、いっぽうで出産後みんなが脱毛するわけでもないことから、それだけでは説明がつかないことも明らか。大変難しいのです」

 

満を持して登場したもう一つの選択肢「S-DSC毛髪再生医療」とは

クリックで拡大(以下同)

ここで冒頭の「再生医療」に話を戻します。すでに脂肪組織や間葉系に由来する幹細胞の直接移植、またそれらの分泌物を含む培養上清液、あるいはPRP(自己多血小板血漿Platelet Rich Plasma)を薄毛部位に注入する治療は存在していましたが、今回新たに見出されたのは自分自身が持つ「DSC細胞」を採取し培養、注射で頭皮に注入するという方法です。

 

上図は毛髪が「生まれる」仕組みです。髪の根元、毛球部で毛乳頭細胞が毛母細胞を活性化することで、毛母細胞が髪の成長を促進します。

 

DSC細胞(Dermal Sheath Cup)、すなわち「毛球部毛根鞘細胞」とは、「毛乳頭細胞になる前駆体」だと考えられています。このDSC細胞を外部で培養し、毛根部近くに注入することで毛乳頭細胞を増やすアプローチを行う、この新たな治療方法が「S-DSC毛髪再生医療」なのです。

 

そもそも再生医療とは、「細胞のもとになるもの」を注入することで組織そのものの再生を狙う、医薬品で行う従来の対症療法とは異なる治療。山中伸弥氏が2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞したiPS細胞研究がベースとなり、日本が世界に先駆けて法整備を整え、研究を進める分野です。

 

「これまで打つ手がなかったわけですから、選択肢が増えたことがうれしい。S-DSC毛髪再生治療は『女性』『中年期以降』『軽度から中度の脱毛』に関して期待が持てる選択肢です。特徴は、写真判定による定量評価以上に患者さんの『満足度』が高いという点。現在まで私たちが手がけた臨床研究では、男性2割、女性4割ほどが手ごたえを感じていますが、写真判定による量の部分で著効とは言えないケースでも、頭皮や髪質の変化など別の部分で患者さんが満足している実感があります」

 

こうした変化は、頭皮状態の改善から起きているのではないか、と新山先生。毛髪治療という分野は、髪の「ある」「ない」が誰にでもひと目でわかる、成果が明確な分野です。それなのに「量的に顕著でなくても満足度が高い」という評価は、珍しいことなのだそう。

 

「頭皮状態が改善されたことで、これまで自分の髪から失われていた、少なくなっていたと感じていた『ハリ』『コシ』『ボリューム』や『ツヤ』が戻るほか、痒みやニオイの改善が起き、特にそれが敏感な女性たちには響いていると私は考えています。と言うのも、男性患者さんたちはこうした細かい変化を感じ取っていないようなので(笑)」

 

資生堂との研究においても、DSC細胞は抗炎症効果を持つことがわかってきています。頭皮に注入されたDSC細胞から産生される免疫調整因子が炎症を鎮静化し、頭皮状態を改善させると考えられているのだそう。

 

 

 

頭皮を土壌に例えてわかりやすく説明すると、「薬や外部からのアプローチ」で土壌に肥料を与えて作物(毛髪)を育てるのではなく、「自分自身の細胞を補うアプローチ」で弱った細胞が本来の働きを取り戻し、土壌が整うことで自然な髪の再生が起こるというイメージです。

 

この「S-DSC毛髪再生医療」について、先にチェックしたい人はこちらから

 

 

医師主導の研究が「実る」。モチベ―ションは患者さんの笑顔

そもそも、要紹介状である大学病院で治療にあたる新山先生の元にたどり着く患者さんは、近隣のクリニックに行きつくした「難治性」の方も多数。その分だけご自身でもよく調べて毛髪の再生メカニズムも理解し、中には「DSC治療の論文を目にしてから、ずっと実施を待っていた」という方までいらっしゃるといいます。その方が手ごたえを感じて治療を継続しているのが何よりうれしいと新山先生。

 

「私は縁あって奄美大島での離島診療も20年以上続けているのですが、皮膚科は外から見える部位の疾患ですから、患者さんと一緒に経過に一喜一憂できるのが治療していくうえでの大きなモチベーションです。『ほんとごめんね……』って一緒に泣くこともあるし、心の動く出会いがあるとこちらも一生懸命調べて少しでも力になろうとします」

 

まさに『Dr.コトー』のような新山先生。DSC治療と出会ったのは今から25年前、留学先のドイツでした。鹿児島県の皮膚・泌尿器科医院のご家庭に育った先生は、患者が男女均等で年代も広い科を志望し、皮膚科に進みました。脱毛専門外来を手がけたのち、未来を託され脱毛のオーソリティが在籍するドイツのラボに留学、先端の脱毛医療を学ぶ中でDSC治療との巡り合いが。

 

その後、DSC研究を日本の資生堂が引き継いだことから、資生堂との共同研究に参画。日本皮膚科学会の脱毛研究者の一人として臨床研究段階から関わり続け、現在に至ります。

 

ちなみに、こうして自ら興味を持ち研究を進めていた医療技術を国内での「医師主導の臨床研究」へと発展させ、治療技術を確立、世界初の治療法として自らの手で世へ出すということは、実はなかなか「できない」ことなのだそう。

 

研究自体が途中でうまくいかなくなることもあれば、日々の診察の傍らで研究時間の確保がどうしても難しくなることもあります。資金がショートする、技術はよくてもスポンサーがつかない、競合する研究が進んでタイミングを逃す……さまざまな困難が待ち受ける中、S-DSC毛髪再生医療はまさに「不屈の精神で築き上げた治療法」とも言えるのです。

 

患者さんと「よかったですね」と結果を一緒に喜べることが何よりもうれしい

「現在もS-DSC治療は資生堂の協力のもとに行っていますが、こうした人と人との心のやりとりを、資生堂もさまざまな方法でバックアップしてくれます」

 

大橋病院は大学病院であるため、まずは近隣のクリニックで紹介状を書いてもらうのが治療のスタート。初診は一般外来での診療で、別の脱毛疾患が隠れていないかを見極めます。

 

「周閉経期以降の女性には特殊な脱毛が起きることもあり、その鑑別をします。このときにパンフレットをお渡しして治療の説明を行い、次からが自費のS-DSC毛髪再生治療です」

 

30分から60分かけてカウンセリングを行い、不明点にはその場で丁寧に回答しています。

 

「このあとも折に触れて資生堂の研究員がサポートしてくれるのですが、さすが資生堂だなと感じることも多々あります。たとえば頭皮にS-DSC細胞を注入する際の注射器も、資生堂は痛みを軽減する独自機器を開発しました。『女性は痛みに敏感と言われますから、負担感を減らすため当然必要でしょう』と、万事に関して寄り添い抜く姿勢なのです」

 

また、写真判定の機材にも驚いたと言います。写真判定では単位面積あたりの毛髪本数と毛直径を測定しますが、臨床研究ではその写真を撮影する際にも研究員が立ち会い、厳しい基準でセッティングを整えて経時的な変化を同条件で撮影したそうです。現在では進化版の頭部写真撮影機器で、投与前後の変化を撮影しています。

 

「私は効果の見極めにこの写真判定を最も重視しますが、S-DSC毛髪再生医療では完全に同じ条件で撮影していることが保証されるため、データの信頼性が極めて高い。資生堂とは研究の最初から長い時間を一緒に歩んできましたが、歴代のどの担当者もこの治療にかける熱い思いを持っています。そもそもの研究者としての志が高い、だからこそ一貫した信頼を保ってここまで来たのだと思っています」

 

いま、新山先生は、この治療に毛髪再生にとどまらない期待を抱いていると言います。

 

「何を、というのはまだヒミツなのですが(笑)、『DSC細胞のポテンシャルにはこういう応用もあるのではないか』と思いついたことを形にしていきます。S-DSC毛髪再生医療はデータに嘘がないですから私も確信を持って患者さんに向き合えます。特に私が向き合い続けたいのは、電車内で人の視線を気にして座れなかった女性、『PTAに出席する自分を娘が誇りに思ってほしいから』と言うパパ、そうした内心に切実な課題を抱えている人たちです。きっと患者さんたちも喜んでくださるのではないかと感じています」

 

より詳しい説明と、対応中の医療機関の一覧は
『よくわかるS-DSC毛髪再生医療』サイトへ

 

お話/新山史朗先生

東邦大学医療センター大橋病院皮膚科 准教授。1994年東海大学医学部卒業、北里大学医学部皮膚科入局。1999年Philipps-University Marburg(Germany)留学、2008年北里大学医学部皮膚科講師、2013年より現職。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本再生医療学会再生医療認定医。

 

撮影/廣江雅美