年収500万の私が「貧乏な50代」にならないための住宅ローンOK額って?
人生の中で一番、大きな買い物であるマイホーム。マネー相談においてマイホーム購入に関する相談内容に多いのは「購入していい価格」「エリア」「築年数」です。今回は相談事例をもとにマイホームを選ぶ際のポイントをお伝えします。
■ポイント1「住宅ローン借入可能額=購入していい価格ではない」
マイホームの購入についてマネー相談にいらっしゃったA子さんは45歳、年収500万円のメーカー勤務です。定年退職後は家賃の支払いのない生活を過ごしたいとの想いからマイホームの購入に踏み切ることにしました。某銀行で借入可能額を試算したところ、借入期間20年であれば借入可能額は約3000万円となりました。借入期間が長いほど借入可能額は多くなりますが、65歳までに完済できるよう借入期間は20年にしました。
A子さんは2000万円の貯蓄がありますが、住宅ローンの頭金などにあてるとしても300万円以内にして貯蓄はできるだけ残しておきたいとのことでした。年収からするともっと借入れできる上に、貯蓄を上乗せすることでさらに高い物件を購入することは可能ですが、住宅ローンの返済に追われるのはいやだし、老後は旅行など趣味を充実させてゆとりのある生活を送りたいという夢もあり、貯蓄をもっと増やしていきたいそうです。そこで、物件購入価格は2500万円までと決めました。物件購入価格は住宅購入以外にお金がかかるライフイベントなども考慮の上、決めることが大切です。
■ポイント2「エリアの決め方」
実家は東京郊外の一軒家ですが、お兄さん夫婦が同居しているため、しばらくは実家に戻ることは考えていないとのことです。勤務地は新宿、実家は府中にあり、どちらの最寄駅も京王線沿線なので、同じ沿線で購入を検討していました。将来はどんな状況になるのか自分自身でも未知な部分はあります。したがって売却しやすい、貸しやすいエリアで購入しておくことで、ライフプランが変更しても対応することができます。結果、間取りは実家近くのエリアより狭くなるけれど新宿に近いエリアで中古物件を探すことにしました。
一生住みたいエリアであれば売却や貸しやすさを意識せず、間取りの広さを重視するという価値観も一つです。A子さんのケースは、老後は都心じゃなくてもいい、将来結婚するかもしれない、実家に戻るかもしれない、などなど引っ越しの可能性があるため、間取りよりもニーズが高そうなエリアを最重視しました。またスーパーやコンビニや病院が近くにあるなど周辺環境もポイントに入れておくといいでしょう。
■ポイント3「築年数が気になる」
中古物件は築10年以上だといかがでしょうか?という質問はあります。築年数だけにとらわれず、管理・修繕がきちんとされている物件かどうかを確認することが大切です。室内についてはリフォームしている物件であれば、築年数が経っていても古さを感じません。築年数が古くても管理・修繕がしっかりされてきた物件であれば築年数にとらわれる必要はありません。築浅物件でも管理・修繕ができてなければ、老朽化は早まります。築年数よりも管理・修繕が定期的にきちんと行われているかどうか確認しておきましょう。
ただし、専有面積が50平方メートル以上など一定の条件を満たしていると、支払った所得税が戻ってくる住宅ローン控除の対象となります。その際には築年数も関係してくるので注意が必要です。
■A子さんが購入した物件は?
京王線の新宿駅の隣の駅にある。「笹塚」駅から徒歩7分、1LDK+S(納戸)、専有面積35平方メートル、築年数20年の2300万円のマンションを購入しました。1年前にリフォームされたばかりで室内もキレイでした。
住宅選びは個人の価値観によっても変わってきますが、A子さんのように将来のライフプランが予測できない場合には、売却、貸すことを視野に入れた物件選びはオススメです。
今関倫子 ファイナンシャル・プランナー
外資系保険会社勤務中にファイナンシャル・プランナー(FP)を目指し、AFP(日本FP協会認定)資格取得後、独立系FP事務所に転職。女性を中心に年間のべ200件以上のマネー相談を受け、多くの経験を経て独立。個人マネー相談、執筆、マネーセミナーを中心に活動中。FPCafe登録パートナー。
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