【糖質オフダイエット】は本当に痩せるの? 実は「炭水化物」を摂ったほうが「太らない」!? 痩せたいときの「運動すべき時間帯」とは【医師に聞くダイエットの「真実」】

「運動するのにいい時間帯」は、ダイエット目的なら「朝」、血糖コントロール目的なら「夕方」!

「運動は体に良い」というのは誰もが知るところです。最近、これに加え、運動を行う時間帯によって運動効果は大きく左右される可能性が指摘されています。

 

この研究はマウスを用いた研究ですが、マウスを、活発に活動する時間帯(人間でいう夕方)に運動させる群と、休息する時間帯(人間でいう朝)に運動させる群の2群に分け比較したのです。

 

すると運動する時間帯によって、筋肉や肝臓での代謝物質の増減パターンが大きく異なることが判明しました。

 

夕方に行った運動では、筋肉と肝臓の間で活発な情報伝達が起こり、エネルギー源として脂肪よりも糖が優先的に利用される傾向があり、逆に朝に行った運動では、脂肪が主なエネルギー源として利用されていました。

 

さらに、夕方に行った運動後には、血糖値や肝臓、筋肉の代謝に良好な変化をもたらすことがわかりました。インスリン作用の改善効果を認めたのです。

 

これらの結果は運動が、単にカロリーを消費するだけでなく、体内のさまざまな臓器や代謝に複雑に影響を及ぼしていることを示しています。

 

それぞれの目的に合わせて運動の効果を最大限に引き出すよう「運動する時間帯」を工夫することがより効率的かもしれません。

 

ダイエット目的なら、脂肪燃焼効果が高い朝方の運動、血糖コントロール改善のためには夕方の運動が効果的かもしれません。

 

 

「夕方の運動」で、死亡率が61%低下したというデータも!

もちろん、この研究結果をそのまま人間に当てはめることはできませんが、2024年の、人を対象とした運動のタイミングとその効果を分析した報告もあります。

 

3万人近くの肥満成人(平均年齢62・2歳)を約8年間追跡調査し、運動を1日の中で最も多く行う時間帯によって、「朝、午後、夕方」の3つの群に分類し、1日平均1回未満の運動しかしないグループと比較しました。

 

その結果、夕方運動を行う群は、死亡率が61%低下、心血管病が36%低下、細小血管障害が24%低下していたのです。

 

午後と朝の運動を行うグループも低下効果がありましたが、夕方の運動群には劣るものでした。どうせ運動するのなら夕方が好ましいのかもしれません。

 

運動は、ただ体を動かすだけでなく、体内時計や代謝システムにも影響を与える奥深いものです。研究結果を参考に、あなた自身の体と対話し、最適な運動の時間帯を見つけてみてください。

 

 

 

【関連記事】では、話題の「時間制限食ダイエット」について、岡本 卓医師が最新の研究データを用いてお話しくださっています。

>>【関連記事】【時間制限食ダイエット】は本当にやせるの?「試す価値はある」一方で、死亡リスクが91%も高まってしまう人とは? 【医師に聞くダイエットの「真実」】

 

 

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■著者 

和田秀樹(わだ・ひでき)
1960年、大阪府生まれ。精神科医。東京大学医学部卒業後、東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在、和田秀樹こころと体のクリニック院長、川崎幸病院精神科顧問、一橋大学経済学部非常勤講師、立命館大学生命科学部特任教授。主な著書に、『70歳が老化の分かれ道』(詩想社)、『80歳の壁』(幻冬舎)、『どうせ死ぬんだから』(SB クリエイティブ)、『長生きはメンタルが9割』(徳間書店)、『70歳を過ぎたら飲んではいけない薬とサプリ』(かや書房)、『医者にヨボヨボにされない47の心得』(講談社)など多数。

 

岡本 卓(おかもと・たかし)
1960年、京都生まれ。医師、医学博士。東京大学医学部卒業後、東京大学医学部附属病院第3内科、自治医科大学附属病院などを経て、92年より博士研究員としてハーバード大学医学部へ。95年に同大医学部講師、97年クリーブランドクリニック財団ラーナー研究所助教授就任。98年オハイオ州立大学助教授兼任。99年理化学研究所脳科学研究センター、チームリーダー就任。2001年K&Iオホーツク海病院勤務の後、09年に北海道北見市で、愛し野内科クリニックを開業。主な著書に、『薬が減らせて、血糖値にもしばられない 糖尿病最新療法2』『アルツハイマー病とは何か』(以上KADOKAWA)、『腎機能がよくなる方法を1冊にまとめてみた』(マキノ出版)。

 

 

 

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