勝手に仕事を辞めた夫との離婚、親友状態の彼【#婚外恋愛3】
どれだけバッシングされても、決してこの世から消え去らない不倫。
お互い籍を入れないままの恋愛。パートナーが複数存在する恋愛。
恋愛相談家・ひろたかおりが従来の「婚姻」の外にある恋愛と、その心理を傾聴する。
肉体関係のない「親友」
— C子(39歳)は、ヨガの教室を運営するバツイチの女性だ。子どもはいない。エクササイズが好きなだけあって、引き締まった体つきの上に童顔なせいもあり、男性から声をかけられる機会が多いのが自慢だった。
久しぶりに呼び出されたとき、B子は教室の帰りだった。カフェで一緒にドリンクを買い、席に座るなり
「ねぇ、前の夫がしつこく連絡してくるんだけど、どうすればいい?」
と怒りを露わにした声で尋ねてきた。
「連絡って、よりを戻したいってこと?」コートを脱ぎながら聞き返すと、
「そう。でもね、違うの。仕事が上手くいっていないのよ。だから私のお金をあてにしてるんだと思う」
冗談じゃない、と憎々しげに口を歪めて笑いながら、C子はストローに指をかけた。
1年前に離婚してから、C子はかねてからの希望だったヨガの教室をオープンさせた。インストラクターとしての経歴も長く、それまで勤めていたスポーツジムではファンも多かったことから、生徒の数に困ることなく今も順調な経営が続いている。
「彼氏がいるって言えば?」と言うと、C子の表情が変わった。
どうして今の「彼氏」の存在を告げないのか。恋人がいるとわかれば、前の夫だって手を出そうとは思わないはずだった。
「彼氏、じゃないのよね」
ぽつりとC子がつぶやく。誰のことを指しているのか、すぐにわかったようだった。
「じゃぁ何なの」
結婚しているときからずっと親密な関係を築いてきたその男は、と続けようとして、
「だって体の関係とか、今もないし。あの人は親友って感じ?」
C子から出た言葉は、これまでも何回か耳にしてきたものだった。
離婚したのに、なぜ彼を「恋人」にしないのか、そこにはC子の思惑があった。