【「アリンス国」の廓(くるわ)言葉とは?】「花魁(おいらん)」って何の略語だと思う? マンガに出てくる「~ざんす」「~ざます」も、もとは女郎が使う言葉だった!? ≪『べらぼう』時代考証家が語る江戸裏バナシ≫

2025.08.17 LIFE

マンガのあのキャラが使う「~ざんす」や「~ざます」も、吉原から生まれた!?

そこで、研究者たちが、廓言葉の方式を作成しようと、江戸時代の文学作品である洒落本などから、使用例をひっぱり出して、並べ立てるのですが、時代によって流行廃すたりがあったり、ある一部の女郎屋だけ取り上げたりしているので、個別な例ばかりになり、これが共通した正しい使い方というものがわからないのです。

 

そんな中で、私がいつも参考にしているのが、明治23年生まれの江戸文化研究者・松川弘太郎先生が書いた『廓語考』の中にある『廓語一覧表』です。

 

同じ「ます」でも「ありんす」以外にも「んす」「いす」「す」という変化があり、これが店ごとの違いかどうかは別の史料に当たらなけばなりませが、とりあえず、私より江戸時代に近い先生に敬意を表しています。

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「花魁(おいらん)」の語源は、女郎たちの「ある言葉」が縮まったもの

吉原では上位の女郎を「花魁」と呼びます。これは、厳密にはこのランクの女郎という取り決めはなく、慣習として呼んでいるだけです。

 

そもそも「花魁」という言葉の語源は、禿や新造などが世話になっている上位の女郎を親しく呼ぶときに使っていた「おいらの姉さん」が、言い馴らしていくうちに縮まって、「おいらん」となったと言われています。

 

それが女郎を呼びかけるときの敬称となり、女郎屋内で使っていたのが吉原全体に広がり、さらに一般の客も使うようになりました。

 

とはいえ、誰でも花魁では有難みがないので、一応、蔦重の時代には、呼出し・座敷持・部屋持を「花魁」と呼びました。

 

 

★【関連記事】では『べらぼう』の吉原風俗考証を担当した山田順子さんによる、「吉原女郎の営業テクニック」を紹介しています。

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■著者 山田順子 (やまだ・じゅんこ)
時代考証家。 1953年広島県生まれ。専修大学文学部人文学科卒業。 CMディレクター、放送作家を経て時代考証家となる。 1982年から『クイズ面白ゼミナール』(NHK)の歴史クイズの出題・構成を担当。大人気ドラマ『JIN-仁-』『天皇の料理番』『この世界の片隅に』など、江戸時代から昭和まで、幅広い時代の時代考証や所作指導を担当。 また、連載漫画、丸亀製麺などのCM、江戸東京博物館のイベントの時代考証など幅広く活躍。自らも歴史情報番組『尾上松也の謎解き歴史ミステリー』などのテレビやラジオに出演、講演会などでも歴史解説を行う。著書は『江戸グルメ誕生』(講談社)、『お江戸八百八町三百六十五日』『海賊がつくった日本史』(ともに実業之日本社)、『絵解き「江戸名所百人美女」江戸美人の粋な暮らし』(淡交社)、『時代考証家のきもの指南』(徳間書店)など多数。2025年大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』吉原風俗考証を担当。

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