「下手なのか」と相手に聞くのは難しい。でも“話してよかった”と言える日が来るかもしれない。レスからの再出発の道
「ふたりで乗り越えられる」と実感した日々
オンライン教室に通い始めて1ヶ月ほど経ったある日、リキヤさんはふと、自分自身の内面に大きな変化が起きていることに気づいたといいます。
「以前はベッドに入る瞬間が一番緊張する時間でした。『今日はうまくいくだろうか?』『また妻が痛みを我慢しているんじゃないか?』と、自問自答を繰り返して。でも最近では、妻と笑顔でベッドに入ることが当たり前になってきたんです。その違いに気づいた瞬間、すごくホッとしました」
教室で学んだ内容をそのまま実践するだけではなく、「自分たちなりにアレンジしていこう」と夫婦ふたりで決めたことは、夫婦の距離が縮まった理由のひとつだと感じています。
「教室で得た知識や方法論を完璧に実行しようとすると、かえって疲れてしまうと思いました。だから、僕らは『自分たちが楽しめる範囲でやろう』というルールを決めました。すると肩の力が抜けて、自分たちが心地よく感じる方法だけを選べるようになったんです」
またリキヤさんは、「話し合い」が日常的に増えたことで、性生活だけではなく夫婦関係そのものの安心感も深まったと感じています。
「以前は忙しい毎日の中で、些細な不満や疑問を見過ごしていたのかもしれません。でもオンライン教室がきっかけで、自然に『最近どう?』とか『仕事の疲れはどう?』と声を掛け合えるようになりました。ちょっとした不安でも口に出せるようになったことが、大きかったと思います」
こうしたコミュニケーションの変化は、夫婦だけにとどまりませんでした。5歳の娘さんとの関係にもポジティブな影響があったそうです。
「娘が『最近パパとママがいつもニコニコしてる』と言ったんです。それを聞いて妻とふたりで思わず笑いました。娘は親のちょっとした変化に敏感で、親が安定していることが子どもにどれだけ安心感を与えるのかということを実感しましたね」
オンライン教室の受講をきっかけに、リキヤさんは他の男性たちがどのように悩みを抱え、それを乗り越えてきたかについても関心を持つようになりました。匿名のチャットなどで話を聞いたところ、想像以上に多くの男性が同じような悩みを持っていることに驚いたそうです。
「僕だけがこんなに悩んでいるのかも、と思っていたのですが、実は多くの男性が同じような壁にぶつかっていました。そのことを知っただけでも救われた気持ちでしたね」
また、夫婦として「安心感」という言葉を共通のキーワードにしていることで、日常生活全体にも変化があったとリキヤさんは語ります。
「ちょっと恥ずかしんですが、妻も僕も、言葉の端々に『好き』というフレーズが増えました。仕事から帰ったら『お疲れさま』と一緒に『今日も好きだよ』と言うようになったり。言葉が変わると空気が変わり、空気が変わると関係が深まる、そんな実感があります」
現在は、教室で学んだことを月に一度、簡単に振り返る時間を設けているそうです。あくまでも日常の一環として、楽しみながらやっているということでした。
「僕たちは教室を『勉強しなきゃ』ではなく、『ふたりの時間』として捉えました。だから講座が終わった後の時間に、お茶を飲みながら自然に『今回の話どうだった?』と話していたんです。こうした時間が、夫婦の絆を深める一番の方法かもしれません」
リキヤさん夫妻は、教室に通い始める前には想像もしなかったような日常の変化を、ゆっくりと、しかし確実に実感しています。
友人たちも同じ悩みを抱えていた 次ページ
スポンサーリンク









