【ラスト万博】あぁ寂しい、閉幕まであと1週間を切ってしまった。東大生が後世に伝えたい「見どころ」【まとめ読み】

新興国と途上国のパビリオン

社会課題や問題提起、未来をテーマに、強いメッセージ性を帯びた展示を織りなす日本の各パビリオンに対し、海外パビリオンは自国の文化や観光資源、重点的な取り組み、先進分野を紹介していた。

日本のパビリオンから刺激を受け、直感や感動を呼び起こされ、主体的な行動に向かおうと意識した人もいるだろう。

一方で海外パビリオンにそのような作用は概ねなかったように感じる。

 

ただ、先進国と途上国で展示の傾向は異なった。

 

資金に余裕があれば、洗練された映像を作って、モニターを置いた空間を彩り、動線や内装をその道のプロフェッショナルに設計させて、自国の取り組みと先進的な分野を見せる。つまり、自国の現在や未来を提示する。

そうでない国は、自国の過去と現在を見せていた。日本との歴史的な繋がりや伝統的な品々を持ち込み、自国への認知を広げようとする。

しかし、資金の有無にかかわらず、どの国も正確な自己分析をしていたようだ。

 

友人は言う。

「例えば、オーストリアだったら音楽、ベルギーだったら医療。分野を限定して展示してる。見せたいものが定まってるんだなって思った」

パビリオンはぼんやりと眺めているだけでも楽しめるが、その展示がなされた理由や国ごとの傾向を考えると学びが深まるかもしれない。

また、展示をそのまま素直に受け入れるのではなく、懐疑的な視点を持つことが重要だ。

 

「空間演出によって未来を華やかに見せられるとワクワクした。その一方で、ビジョンを現実化するための課題やプロセスが示されないと、本当に実現できるのか疑問に思う。

例えば、美しく素晴らしい未来は見せるけれど、エネルギーや格差といった課題は語られない。夢と現実に格差があるんじゃないか。

課題を乗り越える方法を示してくれれば、展示にリアリティを感じるけど、そうではなかったんだよね。

 

あと、全体を通して感じたのは、最新のテクノロジーがあると思って行くと間違いで、パビリオンでは様々な問題を扱っているので、国ごとの違いを見るといいかもしれません」

 

彼はじっくりと考えながら、万博を振り返ってくれた。万博に行ったみなさんも、会場にいる間はぼんやりと体験しているかもしれない。しかし、振り返って、文章にまとめたり他人に伝えたりすることで、自分の体験や分析が整理される。これもまた万博の一つの楽しみ方ではないだろうか。

1 2 3 4 5 6 7