「その肥満、病気かも? つまり治療できるかも!」更年期世代が知っておきたい「肥満症」のリスクと「受診すべき」タイミング【医師に聞く】
Presented by ノボ ノルディスク ファーマ
「40歳を過ぎてから太りやすくなった」という声をよく聞きます。実際に、日本人女性は40代から肥満者の割合が上昇することが分かっています*1。そして、多くの女性が太ってしまった自分を「自己管理ができていない」と責める傾向にあります。
実は、体重管理は巷で思われているほど「自己責任」ではありません。遺伝的な要因を持つ人もいますし、更年期に入れば女性ホルモンの分泌量が変わり、内臓脂肪型肥満になる可能性はおのずと高くなります。
とはいえ、太りすぎは健康にはよくありません。BMI(体格指数:肥満度を表す指標)値が25を超えると、糖尿病や高血圧など、さまざまな病気を引き起こすリスクが高まるため、BMIが25以上で、かつ肥満に関係する健康障害を併発している場合「肥満症」という病名がつき、治療が必要になることがあります。
今回は、地域のかかりつけ医として活躍し、肥満症の治療にも取り組んでいる星光メディカルクリニックの院長、山本智寿子先生に、肥満症のリスクと治療方法について教えていただきました。
*1 令和5年国民健康・栄養調査報告
そもそも「肥満」と「肥満症」はなにが違うの? 肥満症の治療にあたる医師の答えは…
――本日はよろしくお願いします。先生は、肥満症の患者さんを診ていらっしゃるそうですが、そもそも肥満は病気なのでしょうか?
いいご質問をありがとうございます。日本では、BMI値が25以上の状態を肥満と言いますが、肥満は太っている状態を指す言葉で、肥満イコール病気ではありません。肥満状態にあり、かつ指定された「11種の健康障害」*2があると肥満症とされ、減量治療の対象になります。
■肥満に起因ないし関連する11の健康障害
1 耐糖能障害(2型糖尿病・耐糖能異常など)
2 脂質異常症
3 高血圧
4 高尿酸血症・痛風
5 冠動脈疾患
6 脳梗塞・一過性脳虚血発作
7 非アルコール性脂肪性肝疾患
8 月経異常・女性不妊
9 閉塞性睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群
10 運動器疾患(変形性関節症:膝関節・股関節・手指関節、変形性脊椎症)
11 肥満関連腎臓病
*2 日本肥満学会編:肥満症診療ガイドライン2022, ライフサイエンス出版, P1
――11の健康障害のうち、更年期世代からあとは「2 脂質異常症」「3 高血圧」「10 運動器疾患」などが起きやすくなっていきそうですね。
肥満症は、ただ太っているだけでなく、それに伴う病気があるので、健康で元気に生きる機会の喪失になってしまいます。「太っているだけだから大丈夫」と思わず、きちんと病院で治療することをお勧めします。
更年期に太りやすくなるのは体の仕組みの影響。「甘え」「自己責任」の結果だけとは言えません!
――オトナサローネのアンケートでも多くの人が「更年期に入ってから太りやすくなった」と答えています。なぜ更年期に入ると太りやすくなるのでしょうか。
ほんとに、困ったものですよね(笑)。当院の患者さんからも、同じような悩みをよく聞きます。
一般的に、更年期は閉経の前後5年、合計10年を指します。更年期に入ると、閉経に向かって女性ホルモンの分泌量が減少します。この影響で脂肪の分布が変化して内臓脂肪型肥満になりやすくなります。こうした変化を実感なさっているのでしょうね。自然な変化ではありますが、結果的に糖尿病・高血圧・脂質異常症のリスクが増加しますし、またBMI値が高いほど閉経前後の女性の乳がんリスクが高まることがわかっています。
――なるほど。必ずしも、自分の弱さや甘さだけが原因ではないんですね。だから、30代までは何を食べても太らなかった人が、40代に入ってから急に、お腹周りにお肉がつきだしたりするのでしょうか。
そうです。仕方ない面もあるんですよ。ですが、放っておいていいかというと、そうもいかない。肥満はさまざまな病気の原因になり、命に関わる可能性がある病気を発症するリスクが高まります。ですから、BMI値が25以上の人は25未満に調整することをお勧めします。
――BMI値25未満を目指しての食事や運動ですね。自分でダイエットしてもよいのでしょうか。
もちろん、自分で栄養バランスがとれた食事と適度な運動の管理ができればそれに越したことはありません。でも、それができなかったり、やってもなかなか効果がでなかったりで、皆さん悩んでいらっしゃるんですよね。そして、できない自分を責めてしまいがちです。
自分が「肥満症」なのかどうかはどうやって調べればいいのでしょう? 病院は何科を探せばいいのですか?
――自分が肥満症かどうかは、どうやって調べればいいでしょうか。
まず、自分のBMI値を確認してください。一般的な健康診断でも分かりますし、BMI値を計算できるサイトもあります。BMI値が25以上で、かつ肥満に関連する11の健康障害のいずれかを持っていたら、病院を受診したほうがいいと思います。
――もし、やっぱり肥満症かもしれないなと気が付いたら、何科へ行けばいいのですか?
内科の領域になりますが、すべての内科が肥満症の治療をしているわけではありません。インターネットなどで近隣の「肥満症」の治療をしている病院を調べたほうが無駄足にならないと思います。
――肥満症の治療を相談したいのに、「ダイエットなんて自分でやりなさい!」と叱られないか、ちょっと不安があります。
その不安払拭のためにも、治療実績のあるクリニックを探したほうがいいでしょうね。ただし、食事の見直しと適度な運動はいずれにしても必要です。ですが、BMI値が高すぎて手術ができないなど、どうしても短期間での減量が必要な場合や、極端にBMI値が高く、一刻も早く治療を要する患者さんなどには、別の方法で減量を行うこともあります。できない苦労をしてくれとは医療者も言いませんから、安心して相談してほしいです。
肥満症の治療方法にはどのようなものがあるのでしょうか? みんなちゃんと結果を出せるのですか?

――先生のクリニックでは、どのような肥満症治療を行っていますか?
最初にBMI値の計測と肥満症の説明をします。肥満症の人はその定義上も、高血圧など何かしらの併発している病気がありますので、「肥満が進むと病気も進行しやすくなるので治しましょうね」と話しています。
治療法ですが、まずは生活の見直しを提案します。皆さんそれぞれ見直すポイントが違いますので、無理なく長く続けられる方法を、患者さんと一緒に考えます。
――皆さん、どのような方法で減量していくのでしょうか? 私もうまくいくのか、まだちょっと不安です。
例えば、夜勤がある患者さんで、「仕事が終わった早朝に同僚とラーメンを食べるのがやめられない!」という女性は、朝ラーメンをやめてみることから始めました。やめたら、どんどんやせていきましたよ。「今日はラーメンやめとく」のような意味深な断り方ではなく、むしろ肥満症の診断がおりたと同僚にカミングアウトした上で、「治療のためにラーメンやめます!」と堂々と宣言したそうです。自分に対する宣言も兼ねたようです。
――なるほど! 宣言すればやるしかなくなるので、えいっと思い切るためにもいい方法ですね。先生、他のパターンも教えてください。
あまり運動をしない患者さんには、「買い物の行きだけ遠回りしてみては? 帰りは荷物があるからいつもどおりで」と伝えました。これも日常ルーティンに取り込めたみたいでした。このように、患者さんそれぞれの日常生活を少しアレンジして、できるだけ無理なく長く続けられる方法を一緒に探しています。
――自分の生活スタイルを先生に話すうち、ついついやっていた太りやすい生活習慣を再認識することができそうです。
多くの患者さんは、どこかに太ってしまう理由があって、本人もなんとなく分かっています。それを言葉に出すことではっきり自覚できるので、そこから意識して行動を変えてもらうようにしています。このように食事や運動などの見直しを行った上で、医学的な見地から必要に応じて薬物療法*3や外科的療法などが検討されることもあります。
*3 薬物療法には、GLP-1受容体作動薬や食欲抑制に関連する薬剤、漢方薬など、複数の選択肢があります。
肥満症の治療は「健康な体で楽しく生きる」ための、未来への投資。迷うなら一歩踏み出してみて!

――自分だけの努力ではなかなかやせられませんが、病気と認識して、医師の指導のもとであればがんばれる気がします。やせると体が軽くなるので、行動範囲が広がりそう!
適正なBMI値で過ごすことは、病気予防だけでなく楽しみを増やすことにもつながります。人生100年時代と言われる世の中ですので、健康で楽しい未来をつくるためにも、BMI値が25以上で、先ほどご紹介した「肥満に起因ないし関連する11の健康障害」のいずれかがある人は、医師に相談してみてください。病気になって通院や手術をするよりも、早めに肥満症を治療して健康に過ごせる時間を伸ばしましょう!
――先生、今日はありがとうございます。自分のためだけでなく、周囲の悩める友人たちにもシェアしたいお話でした。これからもまたいろいろと教えてください!
私は治療対象なの? 近隣で治療できるクリニックは?

■お話
星光メディカルクリニック 院長 山本智寿子先生
順天堂大学医学部卒業。関西医科大学大学院にて博士号取得。順天堂大学付属病院、関西医科大学第三講座、藤本病院、星光病院などを経て、平成30年に星光メディカルクリニックを開院。大阪府のベッドタウン、寝屋川市で30年以上にわたり地域医療に尽力してきた経験を生かし、一般内科、外科、在宅診療など地域ニーズにこたえる医療のほか、女性特有の疾病対応にも力を入れる。女性技師・女性医師による乳がん検診のほか、各種がんの術前後の抗がん剤治療、漢方治療、免疫療法なども行い、これら地域医療・女性医療の一環として肥満症治療に着目している。日本内科学会認定医、日本乳癌学会認定医、マンモグラフィー読影医。
撮影/津久井珠美 取材・文/力武亜矢
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