もし10代20代の子どもが「月経不順」で困っていたら。親ができる「意外な助言」とは【40代50代が向き合う更年期】
閉経年齢と遺伝の関係について、日本女性医学学会名誉会員で「ローズレディースクリニック」院長の石塚文平先生にお話を伺いました。
ローズレディースクリニックは東急大井町線の尾山台駅に位置し、不妊治療と婦人科診療を通じて女性の生涯に寄り添ってくれるパートナードクター。長年私たちの悩みを聞き続けてきてくれた石塚先生ならではのお返事は……?
前編『「閉経する年齢は遺伝しますか?」閉経年齢そのものの予測は難しくても、血液検査で「卵巣の状態」は判定できる!』に続く後編です。
*写真はイメージです
【シリーズ・40代50代が向き合う更年期/変えられることを変える知識と、変えられないことを受け入れる知恵】#2後編
子ども世代の月経不順、親はどう対応すればよいのでしょうか?
――40代、50代のミドル世代の「娘世代」ともいえる、10代・20代の女性が月経不順になった場合は、どんな原因が考えられますか?
いくつかの原因が考えられます。ひとつは、ストレスによって脳の働きが乱れ、卵巣をうまくコントロールできなくなるケースです。そのほかにも、過度なスポーツやトレーニング、無理なダイエットによる体重減少がきっかけで、一時的に排卵が止まってしまうこともあります。
とくに高校生などは、ダイエットを無理に頑張ってしまうことがあり、短期間で10キロ、20キロと体重が減ると、無月経になってしまうケースもあります。
また、日本人では比較的少ないものの、「多嚢胞性卵巣症候群(たのうほうせいらんそうしょうこうぐん)」という状態の可能性もあります。これは卵巣自体は働いているものの、排卵がうまく起こらない状態です。
いずれにしろ前述の「早発卵巣不全」は一番気を付けなければいけません。40歳未満でも進行性に卵巣機能が低下し、排卵や月経が止まってしまい、お子さんを望む場合、出来るだけ早く治療をする必要があります。
可能性を1つでも多く残したい。卵子凍結という「希望」も選択肢のひとつ
――もし仮に、母子で検査を受けて、お子さんの方が早期卵巣不全であることが分かったとします。お子さんが「まだパートナーがいない」などすぐに妊娠できる状況になく、将来の妊娠を望まれる場合、どのような対策ができますか?
そういったケースでは、卵子凍結という方法が考えられます。卵子凍結を行う際、妊娠に必要と思われる凍結卵子の数は、年齢によって変わってきます。
凍結時の年齢が若い卵子の方が妊娠・出産に至る確率は高いとされています。なるべく卵巣の状態が良い、30代前半までに凍結することで、卵子の数・質がともに良好な状態で保存できます。
例えば30代で採卵した場合、「妊娠できる確率」は10個の卵子で約80%といわれています。これを限りなく100%に近づけるには、20個程度が必要です。
また、東京都では卵子凍結への助成金制度もありますので、経済的な負担が軽減されます。東京都以外でも独自の助成制度を設けている自治体がありますので、お住まいの地域の自治体窓口でご確認いただくとよいかもしれません。
――若い世代が、早発卵巣不全ではなくても、たとえばがんなどの治療によって卵巣機能が低下してしまう場合に備えて、卵子を凍結しておくこともできるのでしょうか?
はい。がんになる前に、将来のリスクを見据えて卵子を凍結しておくことは、もちろん可能です。また、すでにがんを患っている女性が、治療によって卵巣の働きが低下する前に凍結を検討するケースもあります。卵巣機能が保たれているうちに行うことで、より多くの卵子を採取・凍結できる可能性が高まります。
さらに、がん治療後であっても、卵巣へのダメージの程度には個人差があります。治療後に時間をかけて少しずつ採卵・保存を行い、治療が落ち着いたあとに妊娠に至った例もあります。
自分の身体の状態を知ることは、可能性をたくさん残すこと。そう教えてあげてください
――簡単な検査で自身の卵巣について知ることができるのは、更年期世代の女性はもちろん、若い女性の将来設計の役にも立ちそうですね。
そうですね。昨今は晩婚化が進み、35歳を過ぎてから妊娠・出産を考える方が増えています。そのときに卵巣機能が低下していたら、選択肢が狭まってしまいます。一方で、女性が社会に出て活躍することも、社会全体を活性化させるために大切なことでもあります。
出産のタイミングは女性にとって難しい問題ですが、検査で自分の卵巣の状態を知ることは、ライフプランを立てる指標として役立ちます。それは、結果的に少子化対策にもつながっていくのではないでしょうか。
お話を伺ったのは
石塚 文平 先生(ローズレディースクリニック院長)
プロフィール
ローズレディースクリニック院長。聖マリアンナ医科大学名誉教授。昭和大学医学部卒業後、慶應義塾大学産婦人科、 カリフォルニア大学留学をへて、聖マリアンナ医科大学産婦人科教授、同大学生殖医療センタ一長、同大学高度生殖医療技術開発講座特任教授を歴任、2014年に同大学名誉教授、同年口ーズレディースクリニック院長に就任。早発卵巣不全の研究と治療に長年とり組み、日本国内のみならず、海外からも患者が訪れる。
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