夫の舌打ちで動悸、上司のメールで不安。「こんなことで落ち込むなんて…」私の心が弱いせい?──メンタルヘルスの専門家が教える“心の守り方”
赤になる「刺激」は人間関係だけではない
もう一つ大切なことをお伝えしましょう。「刺激」は人間関係だけではありません。自律神経は、いろんなものから体を守ろうと試みています。例えば、音や光、気温差や気圧などからも体を守っています。あるいは環境汚染物質のような毒物も、体にとっては「異質な刺激」です。
食べ物や飲み物の観点から見ると、人によっては、アルコール、人工甘味料、保存料なども異物と判断され、赤が反応することがあります(本来はもっと細かい体のメカニズムが反応しているのですが、ここでは簡略化して紹介しています)。
カフェインが体に入ると体が赤になりやすいことが知られています。栄養ドリンクやコーヒーを毎日飲むことは、実は自ら赤になっているようなものです。
このように、自分の外にある刺激や、自分の内側(体や心のコンディション)からの刺激がきっかけとなって「赤が反応する」という特徴があることを覚えておいてほしいのです。
どうでしょう。赤の大事な役割や目的などが理解できたでしょうか。あなたの神経がこのような想いで赤になっているということを知って、あなたはどのように感じましたか?
あなたがイライラしたり逃げ出したくなるのは、性格やメンタルの強弱ではなく、「自律神経の赤が反応している」からです。そしてそれを「大事なもの(こと)を守ろうとしている生理現象」として捉えることで、少しでも赤に対して愛着や感謝の気持ちが芽生えてきたら素晴らしいことです。
「門番さん、消防士さん、パトロール隊、レスキュー隊のみんな、ありがとう。私の大事なもの(こと)を守ろうとしているのですね」とあなたの赤に伝えてあげてください。何か赤の思いを感じることができたら、あなたと体がコミュニケーションをしてチームになっている瞬間です。自律神経と共存した生き方です。
赤に対して赤や青で反応しすぎないようにする
赤の神経が反応している状態は、なんだか嫌われやすくなります。イライラして、戦う素振りを見せてきて、焦っていて、急いでいる──そんな人が近くにいたらどうでしょう。おそらく、そういう人を否定的に思うことが多いのではないでしょうか。
赤の神経は嫌われがちですし、自分の赤を変えようと努力したり(赤)、そんな自分を情けなく思ってしまう(青)人もいます。
「イライラする自分が嫌」「緊張しやすい自分が情けない」「すぐ興奮する自分はおかしいと思う」といった悩みもよく聞きます。
赤が出ている人に出会うと自分も赤になるのは自然な反応です。さらに、自分のに気づいたとき、その赤に対してさらに自分自身が赤で反応してしまうのも自然な反応なのです(表現が段々ややこしくなってきましたね)。
ここで大事なのは「自分の赤を赤で反応しすぎないようにする」「自分の赤を緑の安心で包み込む」「赤になって当然なのだという緑でカバーする」というイメージをトライしてみることです。
具体的には「イライラしているのは私の体の赤が反応したのだな。そんな自分が嫌になるけど、生理反応だし命を守る体の反応だから仕方ないか。むしろ守ってくれているから感謝できるようになるといいな」というイメージから始めてみてはどうでしょう。
本書のキーワード、「赤はそのままに」はそのような意味合いで使っています。少しずつでいいので、自分の赤を理解し、赤とのかかわり方をあなたなりに見つけていってほしいと思います。
■著者略歴:吉里恒昭(よしざと・つねあき)
臨床心理士、公認心理師、医学博士。フォーチュンビレッジ代表。株式会社DMW取締役。心療内科、精神科の現場でカウンセラーとして20年以上の臨床経験を持つ。うつ病、依存症、PTSD(トラウマ)など、様々なメンタル疾患に対して「からだ・こころ・発達・対人関係」の側面からセラピーを行っている。専門的アプローチはブリーフセラピー、ナラティブアプローチ、マインドフルネス、ポリヴェーガル理論、整体など。2020年から支援者(カウンセラーなど)を対象としたオンラインスクール(DMWクラブ)を開講。最新メンタルヘルスやポリヴェーガル理論を支援者が使えるようになるための学び場を提供している。
◆関連記事◆
■脱ぎっぱなし靴下にイラッ!怒鳴らず夫が動く「魔法のひと言」
■更年期のイライラ、不安、無気力。忙しくても取り入れられる「不調ケア」とは?【婦人科医が解説!原因と対策】
■気をつけて!「最近なんだか、疲れやすい」オトナ世代の女性が見落としがちな「病気」とは
1 2
スポンサーリンク
スポンサーリンク
















