誰かを巻き込んだり、巻き込まれたり。いつでもハッピーでいるために
あけましておめでとうございます。
『千と千尋の神隠し』の主題歌『いつも何度でも』。
何年経っても聴くたび胸の奥があたたかくなる、この曲の作詞をされた覚 和歌子さん。
彼女の手がけたタロットカード「ポエタロ」より、カードのテーマに沿って1話ずつ、覚さんのエッセイをお届けします。
今回のテーマは、「渦」
2019年にぴったりのメッセージをいただきました!
エッセイの前に、カードの解説文から、少し。
何かを始めるなら今。
周囲を巻き込みながら、あなたの企みはスピーディに
かたちをなしていきます。
昨年は、予想外に誰かに振り回されて疲れちゃったなぁ…という人にも
いろいろな人をパワフルに巻き込んで、1年を駆け抜けたぞ!という人にも
一度立ち止まって、思いを馳せてもらいたいキーワード。
どんな渦に巻き込まれて、どのくらいの大きさで
速さで、色で、回っていくのか
あるいは、どんなふうにみんなの個性を巻き込んで
どちらの方向に進んでいくのか
どちらにしても、渦の曲線を描いていく主導権は
いつでもあなたにあります。
荒々しく何かを壊しながら猛進していく渦は、長くは回り続けられません。
まわりの人も、もちろん自分自身もハッピーであり続けられる渦とは?
何かを始めたり、新たな目標をたてるのにぴったりな年のはじめ
幼いころ、ただただクルクル回ったり、回るものを見るのが楽しかったみたいに
まずは、理由もなく何かにワクワクしている自分をイメージしてみること。
あとはどっしりと構えて、クルクルと変わっていく景色を楽しみましょう!
それでは、覚さんのエッセイをどうぞ。
***
【渦】巻き込んで巻き込まれて
帯を解かれながら「あーれー」と叫んでくるくる回るギャグを
誰でも一度はやったことがあるはずだ。
あ誰でもやらないか。
わたし結構好きです。
見ていると、子どもも一人でよく回っている。
女の子は回るとすそが広がるスカートが大好きだ。
生クリームを泡立て器でかき回すのは心がおどる。
遊園地にも回旋遊具は多いし、
ベイブレードやジャグリングや福引の箱など、
その気になって見てみると生活の中に回るもの回すものはあふれていて、
どれもちょっとしたワクワク感を与えてくれる。
回ることは楽しい。
回る天体の動きに同調することで、
わたしたちは無意識に宇宙の果てしなさと一体化したいのかもしれない。
一方、回り終わったあとめまいを起こしたりするように
回る動作は心身に与える影響が強く、
人間の意識のチャンネルを変えてしまうこともあるようだ。
やる気満々なとき、
プロジェクトが勢いを持っているとき、
運命的な出会いに恋愛が最高潮なとき、
相手のパワーが強すぎてタジタジなとき、
「渦」のカードを引いたら、
それは良くも悪くも
巻き込みのエネルギーの強さ烈しさを表している。
気づいたら不本意なところに巻き込まれていたとか、
他人を巻き込んでふり回していたとかいうことのないように、
巻き込まれることを楽しむ余裕を持ちたいものです。
覚 和歌子
詩人・作詞家
山梨県生れ/千葉県育ち。早大一文卒。平原綾香、smap、新垣勉、夏川りみ、クミコ、ムーンライダーズなどの作詞で、多くの作品をCD化。NHK全国学校音楽コンクール課題曲、校歌、合唱組曲等の作詞なども多く手がける。01年『千と千尋の神隠し』主題歌『いつも何度でも(曲・歌唱/木村弓)』の作詞でレコード大賞金賞。詩集『ゼロになるからだ』(徳間書店)、『はじまりはひとつのことば』(港の人)、『2馬力』(ナナロク社)など。エッセイ、絵本、翻訳など著作多数。映画監督、脚本、舞台演出、朗読、自らのバンドを率いてのソロライブ、米国ミドルベリー大学日本語学特別講師など。詩作を軸足にマルチな活動を展開。
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「ポエタロ」とは?
「ポエムタロットカード」を縮めた名前、『ポエタロ』。
47枚のカードにはそれぞれ、美しくやわらかい日本語の詩と、
かわいらしくも不思議な魅力のあるイラストが描かれています。
使い方はいたって簡単。シャッフルしたカードの中から、
その時の直感で1枚、あなた自身のためにカードを引いてみてください。
1日のはじまりにその日の指針を得てもいいし、なにか大きなチャレンジの前、
なかなか超えられない壁に直面しているときに。
そのときの気持ちや環境にリンクした、やさしい詩とメッセージが、
次の1歩を踏み出す勇気や確信を与えてくれる不思議なカードです。
あなたの心強い味方になってくれるはず。
『ポエタロ いのちの車輪をまわす言葉』
覚 和歌子・著 石川 勇一(相模女子教授)・監修 大野 舞(Denali)・画 カード47枚 ガイドブック付き 3,780円(税込)/地湧社
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