「あわよくば不倫」を狙う男、勘違いする女。真昼の住宅街で
後ろ指をさされる関係とわかっていても、やめられない不毛なつながり。
不倫を選ぶ女性たちの背景には何があるのか、またこれからどうするのか、垣間見えた胸の内をご紹介します。
【不倫の精算#18前編】
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39歳、パート主婦。夫も子もいる彼女が「告白」した顛末
その日、Eさんから電話で告げられたのは、
「ねえ、振られちゃった」
以前から思い悩んでいた告白の結果だった。
39歳になるEさんは既婚で、一人娘と夫の三人で暮らしている。
午前中は小さな会社でパートとして勤めており、午後は家事や子供のお迎えなどで忙しいと聞いたと思う。
「告白」の結末は想像通りだったが、そうは言えずに返事を考えていると、Eさんは低い声のまま続けた。
「あの人ね、人に言えない関係は嫌だって。
私、もう担当を替えてもらおうと思って」
Eさんは、新築の自宅に出入りする電気店の若い店員さんに熱を上げていた。
相手も同じ気持ちのはずと思い込んでいた彼女にとっては、自分を拒絶した男性がふたたび家に来るのは抵抗があるだろう。
「だめだったんだね」
とようやく言葉を返すと、Eさんは顛末を話してくれた。
やっと手にいれた新居で生まれた「出入りのお店」との接点
Eさんがやっとの思いで手に入れたと話す新築の家は、ケーブルの不具合などが起き、住みはじめてからも地元の電気店によくお世話になっていたそうだ。
会社員で昼間は家にいない夫に代わり、Eさんがその対応をしていた。担当としてやってきた30代の男性とは
「とても親切でね、床暖房やお風呂の給湯はどうかとか、いろいろと気にしてくれるの。
言葉遣いも丁寧だし、話していると楽しくって」
と、Eさんにとって頼れる存在だった。
仕事が終わると長居せずにすぐ帰るのは当然だが、Eさんはだんだんとそれが物足りなくなる。
「作業中にお茶とお菓子を出してね、休みませんかって声をかけたらうれしそうに笑ってくれるのね。
それで、彼の近況とか仕事のこととかあれこれ話せるようになって、私も家族のことを打ち明けていたの」
と、プライベートな話題も楽しむようになっていた。
会社と家の往復に家事や育児で毎日慌ただしく過ごすEさんにとって、ささやかな出会いは見過ごせない刺激になる。いつしか彼が来るように無理に用事を作るようになっていた。
「個人的なLINE」は商売なのか、それとも…
「イケメンってわけじゃないし、最初は無愛想でとっつきにくいなと思っていたんだけど、緊張していただけだって。
私の家に来ると笑顔でよくしゃべるし、『ついでに』って言って庭の掃除なんかもしてくれるのよ」
Eさんから以前そんな話を聞いたときは、「頼れるお店があるのはいいね」と普通に返事ができていた。
だが、彼女の様子が変わったのはそれから一ヶ月ほど過ぎた頃だ。
「ねえ、私からLINEを交換してくださいって言ったら、おかしいかなあ?
やっぱり引かれる?
客だから、連絡のためって言えば大丈夫だよね?」
そわそわした様子で尋ねてくる姿に、彼に対する関心が透けて見える。
「彼というか、お店がどう言うかだろうけど、無理強いはいけないんじゃない?」
とそのときは返したが、後日彼女から無事にIDを交換した報告をもらった。
「仕事以外でもLINEできますよって言ってくれたの!
仲良くなったら食事とか行きたいな」
と、Eさんはすっかり舞い上がっていた。
「家に出入りする電気店の店員さんと個人的なLINEを交わす妻」。
これをEさんの夫がどう感じるか、ちらりと不穏なつまずきを感じたが、目を輝かせながら彼とのトークを読み返す彼女を見ていると何も言えなかった。
「明らかに悪くて高い」のに、カレから買おうとする
問題が起こったのは、新しくレコーダーを買うことになり、有名な全国チェーンの電気店ではなく、彼がいるお店から購入しようとしたときだった。
「大きな店のほうが安いし、保証もしっかりしている」
と言う夫に対し、Eさんは
「値段が多少高くても、地元のお店のほうがすぐに駆けつけてくれるし安心」
と、絶対に譲らなかったそうだ。
しかし、彼に確認してみると夫婦がほしいと思ったものは在庫がないうえにほかのレコーダーは高く、客観的に見てもチェーン店で買うほうが早いし安い、という結果だった。
それなのに、Eさんは「どうしてもここに頼みたい」と夫に詰め寄り、結局は彼のお店で型落ちのものを購入したのだった。
「だって、いつもお世話になっている彼に少しでも恩返しがしたいじゃない」
夫は家にいないくせに、わかってないのよと口をとがらせるEさんだったが、その不自然さが、それから彼女自身を苦しめることになった。
★一方的に思いを募らせる妻が見舞われる「事件」とは…?
>>後編へ続くスポンサーリンク