私立共学小学校ママ「子どもの18年に対する投資としては安い」【ワーママお受験#1】前編
過熱する中学受験を「避ける」動きとして、またコロナ禍での教育対応の違いから、小学校受験にも注目が集まっています。一般に幼稚園、小学校の受験は「お受験」と称されます。
東京都内の私立・国立小学校の募集定員数は約4400人(幼稚園からの内部進学も含む)、もっとも出願者数が多い筑波大附属小学校には例年約4000人出願。首都圏には少なくとも4000人の「お受験組」がいると推測できます。
数年前までは働くママには不利と言われたお受験ですが、2016年度に聖心女子学院初等科が学内に学童保育を設置したことでもわかる通り、ワーママ比率は増加中。コロナ禍による在宅勤務の普及も後押しし、現状では60%以上がワーママという説もあります。
みんなはなぜ私立小学校への進学を決めたのか? どんな対策をしたのか? 入学してみたらどうだったのか? 費用はどのくらいかかるの? リアルな内情を聞きました。
◆profile
沙織さん(49歳・フリーエディター/東京都出身) 克己さん(49歳・映像制作会社勤務/埼玉県出身)
娘(小5)、息子(小1)とともに、東京郊外の一戸建てに両親と二世帯同居。2人のお子さんは幼稚園から大学院までの男女共学一貫教育校に在学中。
娘… 小5 2015年度幼稚園受験(3年保育の2年)から2017年度に小学校内部進学
息子… 小1 2018年度幼稚園受験(3年保育)から2021年度に小学校内部進学
一貫女子校の出身だからこそ「長く同じ時を過ごす」私学の恩恵は理解していた
ご自身が中学受験を経験し、都心の難関女子校へと進んだ沙織さん。出身校は幼小中高の一貫教育学園ですが、OGとしてお子さんを入学させようとは思わなかったのでしょうか?
「厳格な校風で知られる母校には、両親の勧めで進学しました。その学園だからこそ学ばせていただけたこともありますし、お友達にも恵まれました。でも、子どもを入学させたいとは思いませんでした。理不尽なまでに厳格な学園で、私には辛かったので」
とはいえ、長く連絡の途絶えていた同級生から30年ぶりにメールが届いても、まるで昨日まで一緒にいたかのように話が弾むのは、多感な時期をともに一貫校で過ごせたから。ご挨拶の習慣に始まり、日々の会話、語学やお作法、教養など、その学園でなければ学べなかったことも多々あり、恩恵は強く実感しています。
サラリーマン共働き家庭が「私立小でも学費はOK」と踏み切れた理由は
もともとは都心の賃貸マンションに暮らし、会社員としてフルタイム勤務していた沙織さん。上の娘さんは保育園に通っていましたが、下の息子さんの妊娠をきっかけに、思い切って郊外の沙織さんの実家を二世帯住宅に建て替えてご両親と同居することに。
「家賃負担がなくなるため、金銭的に余裕が出て、子ども2人分の一貫校の学費が賄える目算がつきました。あ、これは小学校より早く、もしかして幼稚園から私学に入れられるな、と気が付いて」
ご自身の実感から、子どもの心に寄り添い、その個性を尊重する、全人的な教育の学園を志向していました。たまたま実家から無理なく通えるエリアに教育方針が合致する学園があることに気づきます。
「その学園は夫が心から尊敬するアーティストの出身校だったため、夫が教育方針に全面的に賛同したのが決定打でした。もともと私の両親も、少し遠いのだけれど近隣でいちばん教育意識が高いエリアの幼稚園に私を通わせていました。ですから、子どもに教育を授ける学校というのは心を配って探すものだという意識がありました」
実家に引っ越すタイミングならば、上の娘さんは幼稚部から入園できるため、3年保育の2年次編入を受験することにしました。受験準備はどのように行ったのでしょう?
「幼稚園のお受験の多くは子どもの行動観察、親子の面接で構成されます。都心の難関園ならば1歳過ぎからプレを目指したお教室通いが必須ですが、郊外のご近所園の場合は基礎的な生活習慣が身についているなら大丈夫ということも多く、我が家の志望園もその1つでした。ですので、特別な準備はしませんでした。下の息子は受験時まだおむつがとれる前でしたし」
ただし、面接の際になぜこの学園を志望するのか、夫婦どちらに尋ねられても理由をしっかりとお返事できるよう、学園の方針については2人でよく研究し、家庭の目指す教育について時間をかけてよく話し合いました。
「私だけが熱くなったのではなく、夫のほうが乗り気だった点が勝因でした。入学後に聞くと、学園そばのお教室で親子の面接チェックをしていただいたご家庭もあったようです。校風に合うご家庭かどうかは私学ではとりわけ重要ですので、ご不安の場合はお教室からアドバイスを受け、場合によっては志望先を変更してもいいのかもしれません」
上の娘さんの受験当時はフルタイムのワーママだった沙織さんですが、小学校受験ほどには子どもを巻き込む準備がいらないため、仕事の調整なく挑めました。結果的に下の息子さんの産休をきっかけにより子どもと向かう時間を確保したいとフリーランスに転向しましたが、条件さえ整えばフルタイム勤務を続けたままでも大丈夫だったろうと振り返ります。
「特にコロナ禍以降は在宅勤務のため送迎がしやすくなり、どこかでこの学園に入るなら早いほうがいいと、小学校より倍率が低い幼稚園で受験するご家庭が増えました。郊外でこれから幼稚園を探す方は、小学校への連絡進学を意識してみるのもいいと思います」
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