その新NISA「解約しないで!」ファンドマネジャーがそっと指摘する「いま間違えがちな根本的な部分」って?

市場の乱高下が続きます。もう止まることはないと感じられていた円安が急遽反転し、株価も上下を繰り返すため、「新NISAを慌てて解約した」「だまされた」という声もネットで散見される状態に。

 

「こういう局面でこそ長期的な視野がモノを言います」と個人投資家の澤田さんは断言します。その理由って?

【元ファンドマネジャーが指摘「新NISAでやらねばならなかったこと」】#9前編

 

長期運用では「相場の動きに心乱されないこと」がいちばん重要。「ドキドキしない運用」とは?

こんにちは、元機関投資家・ファンドマネジャーで、現在は文筆業兼個人投資家の澤田です。資産運用は順調ですか?

 

理由は後述しますが、私は今から10年ほど前に個人投資家になりました。ここまでの連載でご紹介した「損益計算書」「バランスシート」「ライフプラン」「キャッシュフロー表」「アセットアロケーション」はいずれもその際に利用したごく一般的なツールです。今でも使っていますが、すべてエクセルの四則演算だけでやっています。詳しくは過去記事をご参照ください。

 

さて、金融危機と呼ばれるものはおよそ10年に1回到来する波があり、ファンドマネジャーとして現場を一定期間無事に過ごした同志たちは、みな何かしらの金融危機を経験しています。私が経験した中ではリーマンショックがいちばんキツく、資金繰りの面では東日本大震災がもっとも大変でした。

 

これらの経験からしても、今回は危機ではなく、毎年のようにくる「健全な調整」です。似ているのは1998年のLTCMショックでしょうか。みんなポジションが似てしまっていたので、一斉に逆に動いているという状況です。

 

なので、このタイミングで戦争や崩壊やトランプという言葉を使って「煽り」にくる人には要注意です。いちばん気の毒なのは始まったばかりの新NISAの運用をやめてしまう人。いっそ見ないことにして、塩漬けにしておいたほうがNISAというものの趣旨に合致するのです。

 

また、住宅ローンがあるのに新NISAに「運用をやめないとならない」額を入れている人は、この機会に自分の取っているリスク総量を上記4ツールで再認識してみたほうがいいかもしれません。

 

個人投資家としての絶対指針は意外にも、「農業的であること」です。なぜならば

というような背景があり、私はドキドキしない資産運用をお勧めしていますし、自分でも実践しています。これは農業的投資とも言い換えられるかもしれません。

 

資産運用というとギャンブルにも似て、リスクを取って狩猟的に利益を追求する、というイメージがあると思います。確かに一部のヘッジファンドや市場の歪みを利用するアービトラージ系は売買頻度も高いのでそういった印象も間違っていません。

 

一方で私が実践している運用は、売買を避け、なるべく長くお金を寝かせて収穫を待つ、というのが基本スタイルです。

 

シリーズ中にも書きましたが、資産運用のコツはなるべく長い期間市場に残り続けることで、期待リターンを薄く広く積み重ねて複利効果を体現することに尽きます。

 

肥沃な土地(期待リターンが高い資産)を探し、いろんな種をまく(分散投資)ことで天候のリスクを避け、天変地異に逆らわない(流動性を持つことで保険にする)ことを念頭に運用をしています。

 

 【資産運用の5ステップ】

  1. 資産運用の公式 家計の損益計算書とバランスシート
  2. ライフプランとキャッシュフロー表
  3. アセットアロケーション
  4. コアサテライト戦略とアクティブ・パッシブ
  5. 実践(元機関投資家の資産運用)

 

最終回の今回は、「実践(元機関投資家の資産運用)」と題して、現実に私がどんな運用をしているのかお話ししたいと思います。

 

つづき>>>今回のような相場の下げはむしろ「お買い物チャンス」。長期AAがあればいつでも心が安らかである理由

 

スポンサーリンク