梅宮アンナ「なんと、更年期障害が始まりました!」抗がん剤治療の影響で同じ経験をした人、いますか?
こんにちは、梅宮アンナです。私は現在、ステージⅢAの「浸潤性小葉がん」を治療中です。すでに報道されている通り、無事11月7日に乳がんの手術が終わりました。この記事は11月8日にまとめています。インスタでもご報告した内容を詳しくお話しますね。
前編記事『梅宮アンナ「手術室では何度も泣いてしまいました」とりわけ涙があふれた「意外なひとこと」とは?』に続く後編です。【独占連載「アンナの日々」#5】後編
抗がん剤で?生理が突然止まり、更年期の症状が出てきました。そんな人、ほかにいますか?
そうそう、意外なご報告なのですが、なんとここにきて「更年期障害」という問題が出てきました。これまで生理は順調で、量こそ半分くらいにはなっていましたが、きちっと周期通りでした。でも、抗がん剤でぴたっと止まってしまったの。
とはいえ私も52歳、年齢的に抗がん剤がなければ半年後に生理が終わっていたかもしれないですから、「最後のお見送りができなかったな」と感じます。誰か同じように、もうすぐ閉経の時期に抗がん剤を使って、同じように生理が終わっていったという方はいますか? いたらインスタにコメント欲しいな。そういうケースって聞こえてこなかったし、まさか更年期症状が出るほどに一気に止まるとは思ってもいませんでした。
じつはキーモホリデー、抗がん剤休みの間にもしかしてまたやってくるのかなと少し思っていましたが、きませんでした。その前に更年期症状に気づいたんです。一番最初に親指がぴりぴりしました。割り箸を使った拍子に、トゲが刺さったのかな?って何度も確認したくらい。トゲじゃないとわかったあとも、指先がぴりぴりする副作用って抗がん剤の中でもまだ投与していないパクリタキセルだよね、AC療法でも起きるのかな……? と原因がわからずとまどっていたのですが、そうこうするうちに手が握れなくなってきてしまいました。
じつは私はキーモホリデーの間に7㎏体重を増やしたので、指が太くなったせい?とも思いました。が、過去5回太った経験がある私としては、手がこんなふうに苦しくなることもない。これまで感じたことはなかったのですが、これがむくみかなのかと。そのうち顔もむくむようになってきて、薬剤師の先生に「手がむくんでこわばるし、スニーカーのひもが結べなかった」と言ったら、「アンナさん、それは生理が止まったからだと思いますよ」って言われて。「え、つまり、これはもしかして更年期障害?」とびっくりして、次に主治医が来てくれたときに聞いたら「おそらく更年期症状の現れでしょう」と言われました。確かに寝汗もかくんですよ、いまも病室でひとりだけ暑い暑いって言っていて。ホットフラッシュもあります。ぱーっと顔から頭にかけて暑くなるの。また、夜寝るときに汗かくようにもなりました。
若いときから生理はずっと順調でほぼ狂いがなくて、量は確かにこの半年でかなり減っていたけれど、日数は普通に4日ほどありました。これもう生理復活しないですかって主治医に聞いたら「たぶんしないと思います」というお返事でした。止まってみてはじめて、生理の大切さってすごいと思いました。若いときは生理なんかいらないって言ってたけど、いやいや、いりますよ。止まると大変です、こんな症状が出るだなんて。私の場合、更年期特有の症状は頭痛程度でほぼ感じたことがありませんでした。でも、娘とケンカしたあとに命の母を差し出されて飲んでって言われたりしていたから、いま思えばイライラすることはあったのかな。
私が更年期症状で恐れているのが太ることです。今回私はキーモホリデーで、抗がん剤と戦う体を作るために敢えて体重を増やしましたが、もしかして肺炎の治療で服用したステロイドの作用で食欲が増した影響もあったかもしれません。ムーンフェイスにはならないステロイドでしたが、外見に大きい影響が出るとやっぱり仕事ができなくなってしまうから、もし太るのならばやっぱり私は運動をしなきゃ、そして太りやすいものを控えて調整しなきゃと思いました。とにかく炭水化物が大好きなので、太りやすさは悩みでもあるのです。
乳房摘出に私は喪失感がないんです。そのかわりにあった「気持ち」は
順調に回復すれば、もう何日かで退院です。乳がんは、臓器を摘出するがんと比べると、薬剤師の先生が「みんなさっと退院していく」とおっしゃっていた通り、体にそれほど負担がかからない手術だなと自分でやってみてわかりました。でも、ほかのがんはこうはいかないのでしょう。また、たくさんの方におっぱいを取るのは悲しくないのかと心境を聞かれましたが、今回はそれよりも、ちょっと先の治療がどうなるのかが心配でした。人それぞれなんですね。
私の不安をそのまま理解してもらうことは難しいかもしれないけれど、私、おっぱいが女性の象徴と言われてもあまりピンとこなくて。「私いらないんだけど?」と言うと、むしろ男性のほうが心配そうに「あったほうがいいよ」と言い出す始末で(笑)。
私にとっての喪失感が大きいのはそこではないのです。これは本当に人それぞれでしょう、たとえば私ならば、顔のどこかの部分を無くすと言われたら非常に大きな悲しみがあったでしょう。もしステロイドでムーンフェイスが出ていたら、見える部分だからとっても落ち込んでいたと思います。でも、胸は見えないから、私にとっては大事な部分ではなかったのです。
オペ室でベッドに横たわった時、涙が流れましたが、それは悲しみではなく「やっとこの場所に、この楽園にたどり着けた」という喜びの涙でした。辛い抗がん剤治療も乗り越えて、やっとたどり着いた。やっと取り除いてもらえる、心配の種を。多くはないかもしれませんが、でも、同じような気持ちになった人、きっといると思うのです。
これからお付き合いするお相手に胸を見せるときのことを考えるかって? これだけ闘病していたら、私と出会う男性はきっとすでに知ってくださっていますよね(笑)。はじめましての方でも、会話の流れできっとわかると思います。片胸切除しているけれども一緒にいたいと言ってくれるなら2つの可能性がありますよね、変態か、本当に心で私を包み込んで付き合ってくれようとするか。
私ね、むしろ、これで本当にちゃんとした人と付き合えるかなって期待しているんです。だって、これまでおっぱい2つともあったけどまともな人と付き合えなかったでしょ(笑)。おっぱいの有無は私の幸せとは関係ないんだと思います。おっぱいがなくていやだという人は他の方のところへ行ってくれればよいので、ある意味わかりやすくなるなと思います。片胸を切除した私と普通におしゃべりしてくれる人はきっと私の心を好きになってくれるのでしょうから、おっぱいの1つや2つくれてやろう。もっと大切なことがあるから。いま、私はそんな気持ちです。
術後に受け取ったさまざまなメッセージのうち、引き続きやわらかく話してくださる方がいらして、たとえばですが「結果はいいのかなあ。痛いのかなあ」という伝え方。「心配です、大丈夫ですか、頑張って」ではなくて、「自分の考えていることを上手に渡してくれる」言い方でした。この方は術前に「ちょっと先の約束」として、「じゃあ元気になったらまたゴルフに行こうね」と言ってくれた人です。相手との「心配の距離感」の取り方がうまい人は、治療が進んでいってもずっとうまいんですね。
何度も同じメッセージを発信していますが、やっぱり「大丈夫、治るよ、頑張って」は私にとっては不安になる、しんどい言葉なんです。気にしない人もいると思いますが、私に対してはやめてほしい。だって、みんなは治ったのに、私は治らないかもしれない。治療時間も、治療方法も、病院も違うし、私みたいな希少がんならどうなるのか。大丈夫ではなかった、治らなかった人もいると思います、その人たちはどうなったのでしょう。
闘病って、主に治った人たちが登場します。努力した、がんばった、乗り越えた美談として語られることが多いと思います。その途中の話が本当に少ないんです。私は肺炎になって治療を変更しました。こういう「うまくいかなかった話」のように、これまで語られなかったリアルタイムの話を、私は伝えていきたいです。
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