今日からすぐできる!脳を長持ちさせる「3つの認知機能」を活用する方法とは? 年をとっても元気で楽しく暮らすために大切なことは

2025.03.16 LIFE

TOP画像 会話支援ロボット「ぼのちゃん」

高齢者の約4人に1人は認知症または認知症予備軍(2022年時点。厚生労働省研究班データから)と言われる現代。2025年には認知症または認知症予備軍の数が約1000万人に達すると推計されています(2024年 厚生労働省発表)。

そんな折、耳にしたのが「脳が長持ちする方法を研究している先生がいる」という情報。これはぜひ詳しく知りたい! というわけで、理化学研究所の大武 美保子先生にお話を伺ってきました。

<<この記事の前編:認知症から逃げ切って一生「クリアな脳」でいるには、どうしたらいい? 「長持ち脳」メソッド開発者に話を聞いてみた

 

今日からできる!「3つの認知機能」を日常で活用する方法

脳を長持ちさせる鍵となるのは「3つの認知機能」です。
伸びしろのある3つの認知機能は、適切に「活用」することで、低下を遅らせる、もしくは、高めることができるのです。
それらを、脳が長持ちする会話を助ける共想法で活用する以外に「日常で活用する」方法もお教えします。

 

■1つ目の認知機能「体験記憶」を活用する

認知機能が低下すると、最近の出来事を覚えたり、思い出したりすることが難しくなります。歳を重ねると、「昔起こった同じ出来事」について繰り返し話す方が多くなりますが、これは「体験記憶」に関わる認知機能が低下しているサインです。

「共想法」では、最近の記憶を定着させ、呼び覚ますために、事前にテーマを決めて会話を行います。たとえば、

「好きな食べ物」「近所の名所」「季節を感じるもの」

といったテーマを設定して、参加者には、事前にテーマに沿った写真を1枚撮影してもらいます。当日は、その写真を見ながら1分間話していただきます。

写真を撮るにあたって、「どんな写真を撮ろうか」「どんなことを話そうか」と考えることで、最近の出来事や感じたことを思い出す必要が生じますよね。このように、テーマに沿った写真を撮り、それについて話すことで、自然に「体験記憶」を定着させ、呼び覚ます認知機能が活用されるのです。

普段から「面白いことがあったら覚えておき、人に伝える」というのが大切です。

 

■2つ目の認知機能「注意分割機能」を活用する

認知機能が低下すると、2つ以上のことを同時に行うことが難しくなります。その一例が、人の話を「聴いて理解すること」です。ただ聞き流すのではなく「相手の話を正確に聴き取ること、さらにその意味を考えること」これら2つの作業を同時に行う必要があります。

「共想法」では、「写真を見ながら1分間、話を聴く。その後2分間、聴いた内容について一人ずつ質問をする」という流れで進めます。このプロセスを丁寧に行うことで、「写真を見て、理解し、話を聴き、理解し、さらに質問の内容を考える」といった少なくとも5つのマルチタスクをこなすことになります。実際に参加された方からは「やってみると意外と難しい」という声が多く聞かれます。

筋トレと同じように、認知機能も「今できることより少し負荷の高いこと」に取り組むことで強化されます。

日常の会話でも「あとで質問をしよう」と考えながら相手の話を聴くことで、注意分割機能を活用することができます。また、「行動しながら周囲を注意深く観察して、面白いことに気づく」ことでも、この機能を活用することができます。

 

■3つ目の認知機能「計画力」を活用する

認知症の方の中には、たとえばテーブルの上にあるトレイを持ち上げる際、先にトレイを持つべきか、それとも立ち上がるのが先か分からず、動けなくなってしまうことがあります。これは、計画力の低下によるものです。

「共想法」では、テーマに沿った写真を撮影し、話す内容を考えることで、自然と計画力を活用することができます。さらに、テーマそのものにも計画力や段取り力を強化する要素を取り入れています。たとえば、「これを機に捨てる物」というテーマで共想法を行えば、 物を整理し、粗大ごみの手配をするきっかけになります。

新しく始めること」というテーマで行えば、 新たな計画を立て、実際の行動につなげることができます。
私たちは、何気ない動作の中でも計画を立て、段取りを考えながら行動しています。日常で「自分の興味をひく場所に行く計画を立てて、実行する」ということも、「計画力」なのです。

 

90歳を過ぎても元気いっぱい!ぎんさんの娘さんたちの会話から見えてきたこと 次ページ

スポンサーリンク

スポンサーリンク

スポンサーリンク