
「お前はいらない」妊娠した途端、豹変したモラハラ夫。生後間もない赤ちゃんを奪われ、私が受けた残酷な仕打ちは
モラハラ・夫婦関係カウンセラーの麻野祐香です。
Jさんの夫は、結婚を機に少しずつ優しさが失われていきました。それでもJさんは、赤ちゃんが生まれれば幸せな家族になれると信じていました。
「妊娠すれば、夫はまた元の優しい人に戻り、私を大切にしてくれるはずだと思っていました。でも実際は違いました。妊娠中も夫に思いやりはなく、出産後には私への態度が一変しました。私は『母親』としても『妻』としても、見下され、切り捨てられてしまったのです」
今回は、そんなJさんの体験をお伝えします。
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※写真はイメージです
出産後、夫が私に向けた異常な態度
Jさんが妊娠を伝えた時、夫はとても喜んだそうです。でもそれは、自分の子どもができる、自分の分身ができるという喜びだけでした。妊娠中の妻を大切にするという発想はなかったようです。
夫は、Jさんがつわりで辛い時も車内で平気でタバコを吸い続けました。「気持ち悪いから吸わないで」とお願いすると、「じゃあお前が車を降りろよ」と返されました。夫が我慢することは絶対にありませんでした。
家の中でも、つわりで食事が作れないJさんに対して、「大丈夫?」という優しい言葉をかけることもありません。「ご飯も作れないのか?俺は働いて帰ってきたんだぞ」と、自分がいかに疲れているかをアピールするだけでした。
さらにJさんがつわりで寝込んでいると、「また寝てるの?怠けすぎじゃない?」「腹ばっかり大きくなって、女じゃなくなったな」と吐き捨てるように言われました。
Jさんはただ、身体の変化や不安を少しでも理解してほしかっただけなのに、夫は決して寄り添ってくれませんでした。
多くの男性は、妊娠した妻を大切にします。しかしモラハラ男性は、自分が常に一番でありたいので、妊婦であっても妻をいたわることができません。
妊娠をきっかけに妻への関心を失ったり、態度を急変させたりする男性には、「自分の思い通りに動かなくなった」「自分を優先しなくなった」と感じる傾向があります。特にモラハラ気質の人は、妊娠した妻を「役割を終えた存在」「女性ではなくなった人」と見なします。
彼らにとって大切なのは、パートナーが「自分にとって価値のある存在であること」です。つまり、従順で、都合よく、感謝してくれる存在でなければならないのです。
妊娠中、妻は体調を優先し、家事ができなくなることがあります。すると、自分を最優先しない人間はモラハラ夫にとって不要な存在となり、「お前はいらない」と冷たく突き放すようになるのです。
普通は、妊娠した妻は大切にされるはずです。それなのに、このようなケースで子どもは大事にされても、なぜ妻はないがしろにされるのでしょうか。
それは、彼らにとって子どもが「手柄」や「ステータス」だからです。赤ちゃんは「自分の子」「跡継ぎ」「親孝行の証」として、自分の価値を満たしてくれる存在になります。
一方、妻は出産後、自分よりも子どもを大切にし、自分に意見や要望を言うようになるため、モラハラ夫にとって面倒な存在になります。従順ではなくなった妻は、彼らの中でどんどん価値が下がっていくのです。
モラハラ男性は、「支配できない相手」を排除しようとします。自分の価値を証明してくれる子どもは大切にしますが、自分に意見を言う妻は邪魔になります。
彼らにとっての「愛する」とは、「自分にとって都合のいい存在を所有すること」であり、相手を思いやることではありません。この歪んだ関係の中で、妻だけが孤立し、傷つき、声を上げられないまま追い詰められてしまうのです。
母乳育児なのに、赤ちゃんと無理やり引き離されて
出産後、Jさんにとって最も大切だったのは赤ちゃんとの時間でした。完全母乳で育てていたため、赤ちゃんと長時間離れることはありませんでした。
しかしある日、夫が突然、「赤ん坊を俺の実家に連れて行く」と言い出しました。
「じゃあ準備するからちょっと待って」とJさんが言うと、夫は冷たく「お前は来なくていい」と言い放ったのです。
「この子は母乳しか飲まないから、私がいないと無理なの」と何度も説明しましたが、夫は全く聞き入れません。
「離乳食も少しは食べるだろ。お前は来るな。お前がいると母さんが気を遣うんだよ」
夫は頑なにJさんの同行を拒否しました。こうなると、夫には何を言っても無駄です。
けれど、まだ母乳が中心の赤ちゃんを夫と二人きりで、車で1時間もかかる実家へ行かせるなんて考えられませんでした。授乳間隔を考えると、数時間も離れるのは現実的ではありません。
「じゃあ、実家まで一緒に車で行って、私は家の近くのホームセンターで待ってる。赤ちゃんは車内で私が見るから」と提案し、ようやく夫も渋々受け入れました。夫自身も内心、赤ちゃんに泣かれたときどうしたらいいか不安だったのでしょう。
Jさんは急いでオムツや赤ちゃん用のウエハースを準備し、夫の運転する車に乗り込みました。赤ちゃんは車内でたっぷり母乳を飲んだあと、ベビーシートの中ですやすやと眠っていました。
ホームセンターの駐車場に到着すると、夫は「じゃあ行ってくる。1時間で戻る」と言い、Jさんを車から降ろしました。
1時間のはずが……。階段でじっと待ち続けた5時間
ところが1時間経っても、2時間経っても夫は戻りません。何度電話をしても、夫の携帯は電源が切られていました。
やがてJさんは胸が張りはじめ、激しい痛みを感じました。ホームセンターのベンチに座り、痛みと不安に耐えながら、Jさんは親友に電話をかけました。
「どうして私、赤ちゃんから引き離されて、こんなところで一人待たされているのかな……」
これまでの夫の態度や、今まさに5時間近くもホームセンターで待ち続けている状況を説明すると、親友ははっきりと言いました。
「それはモラハラだよ。赤ちゃんが小さいからすぐに別れるのは難しいだろうけど、このままだともっと酷くなると思うよ。何かあったら私の家に逃げておいで」
親友の言葉に、ほんの少しだけ心が落ち着きました。
ホームセンターの店員は、店内や階段の踊り場で長時間過ごしているJさんを不審そうな目で見始めていました。「あの人、ずっといるけど何してるんだろう?」というヒソヒソとした会話が聞こえてくるようでした。
モラハラ被害に遭っている人は、「私が悪いのかもしれない」と自分を責める傾向があります。本来なら怒るべき状況でも、「耐えることが正しい」と無意識に自分を抑えてしまうのです。
これは長期間にわたる否定や無視によって、「自分の感覚を信じられなくなる」典型的なガスライティングの症状です。Jさんもまた、赤ちゃんと引き離されて5時間も待たされているのに、夫に対する怒りを感じられずにいました。
本編では、妊娠を機に豹変し、生後間もない赤ちゃんを母親から奪うほど残酷な行動をとった夫の姿と、その背景にあるモラハラの心理についてお伝えしました。
▶▶「私がいないと、この子を守れない」モラハラ夫から「逃げる」という選択をした妻が、一歩を踏み出せた本当の理由
では、追い詰められた母親がどのように自分を取り戻し、赤ちゃんを連れて新たな一歩を踏み出せたのかをお届けします。
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