東京都唯一の「村」で古民家カフェ開業。移住6年、51歳で手に入れた“理想の暮らし”とは
日々が飛ぶように過ぎていくなか、自分のあり方に漠然と迷う40代50代。まるでトンネルのように横たわる五里霧中ですが、この時期を人生折り返しの好機と捉え、動き出す人もいます。新シリーズ「50歳から考えるこれからの仕事と暮らし」ではそんなチャレンジャーたちの体験談をご紹介します。
<<この記事の前編:「45歳、千葉のマンションを売って過疎地へ移住。“浪費するだけの生活”をやめた女性が選んだ新しい仕事とは」◾️土井智子さん
東京都檜原(ひのはら)村在住の51歳。同い年の夫、24歳の次女と3人暮らし。27歳の長女はすでに独立している
【50歳から考える これからの仕事と暮らし#1】後編
夫婦そろって「地域おこし協力隊」に採用。東京の“村”へ移住
東京都檜原村の「地域おこし協力隊」の募集を見つけた瞬間、智子さんの胸は高鳴りました。
「檜原村は山と川がきれいで、昔ながらの田舎の良さが残っている場所。いつか住みたいと思っていたところだ!」
そう感じたといいます。
応募締め切りまで残り3日。
「私たちにも何かできることがあるかもしれない」
と考え、急いで応募書類を作成し、速達で郵送しました。
募集枠は協力隊用の住居が1軒しかなかったため、本来は1人のみの採用予定でした。しかし、ありがたいことに2人そろって採用されることになったのです。
都心部での住まい探しも同時進行していましたが、最終的に2人が選んだのは、東京都の過疎地域である檜原村に住むことでした。
「自分たちに本当に必要なものは何だろう。もう、所有の時代ではない。手放すなら今だ」
そう考え、千葉県に所有していた分譲マンションも売却。直感で動く智子さんの決断に、夫も「そうかもしれないな」と同意し、移住が決まりました。
地域おこし協力隊として、村の魅力をPR

地域おこし協力隊として村をPR
地域おこし協力隊とは、総務省が推進する地方移住・定住促進のための制度です。3年間は生活費となる給与が支給され、檜原村の場合は住居も用意してくれます。檜原村でのミッションは「自ら村の課題を見つけ、その解決に取り組む」こと。
着任直後は、村民の草刈りや畑仕事の手伝い、祭りの運営など、さまざまな活動に関わりました。
さらに、村の人々に取材し、広報紙に挟み込む協力隊新聞も制作。地域に溶け込みながら活動の幅を広げていきます。
そんなある日、智子さんが暮らす人里(へんぼり)地区で、植林された杉をもみじや桜に植え替え、自然に調和させ、「100年先も人が暮らせる里を作る」活動を行う団体と出会います。理念に共感し参加していたところ、「文化財の施設を活用する村の事業があるから、応募してみたら?」と声がかかります。
築200年近い文化財でカフェを開業 次ページ
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