ストレス性で治りにくい「口周りのニキビ」。どうスキンケアすればいいですか?【SHIGETA主宰CHICOさんに聞く】

治りづらい顔まわりの「大人ニキビ」。

色々な原因があるようですが、実はストレスや生活習慣、ホルモンバランスなど「体の内側の乱れ」と深く関係があると言われています。

 

かくいう私、編集部スズキも、昨年秋、生まれて初めて「顔周りに大量に出る大人ニキビ」に苦しみました。

 

耳前からじわじわと頬へ、あごへ。やがて顔全体の皮膚が過敏状態になり、マスクをつけただけで目の下にニキビが出るように。会う人ごとに「大丈夫?」と心配され、4ヶ月ほどは何をしても悪化、手がつけられない状態が続きました。

 

このとき私が気になったのが、「肌にいいコスメとは何なのか」ということ。とりわけ、オーガニックコスメとのよい付き合い方でした。

 

結果的に私はスキンケアを断捨離し、シンプルに減らすことでケアしたのですが、果たして私は正解だったのでしょうか。

 

そこで、オーガニックコスメブランドSHIGETA主宰であり、ホリスティックビューティーコンサルタントのCHICOさんに、オトナの肌トラブルの原因と対策を2回に渡って教えていただきます。

 

1回目はスキンケアのこと、2回目は取材中に記者が揃って寝落ちしそうになった「リラックス呼吸法」、食と生活のトータルインナーケアです。

 

肌荒れのときほど「オイル」が鍵になる理由は?

肌荒れのときにはケアは増やすべきなのか、減らすべきなのか。ホリスティックケアの観点からはどうなのでしょう?

 

「例えば、風邪をひいたら胃にやさしいもの、おうどんなんかをいただいて、あとはたっぷり寝て治しますよね。皮膚も同じです。肌荒れのときはパワフルな有効成分のエイジングケアではなく、優しい鎮静のケアをして、たっぷり肌を休ませたほうがいいんです」

 

なるほど……肌が荒れると皮脂膜が乱れると聞きました。皮脂膜が乱れるということはどういうことですか?

 

「皮脂膜というのは、外部の刺激から肌を守るために、また肌の保湿を守るために存在している膜です。この膜は、水分と皮脂に存在する油分によって作られています。

 

ですから肌を健やかに、またうるおいを保つためには、この皮脂膜を強くすることが大切です。肌が荒れることによって皮脂膜が乱れます。この皮脂膜が乱れることで、肌荒れがさらに悪化する、もしくは長引いてしまいます」

 

皮脂膜にはオイルが必要とのことですが、どうしてですか?

 

「皮脂膜とはその名前の通り、『脂』つまりオイル(油分)を含んでいます。この油分は加齢によるターンオーバーの乱れによって必要な油分が分泌されなかったり、または過度な洗浄によって必要な油分を取りすぎてしまったりするのです。

 

ですから、SHIGETAでは皮脂膜を補うために、オイルをとても重視しています。日常のケアでも大切ですが、肌荒れしているときには必須ですね。今までオイルに馴染みがなかった方も、肌が荒れているときにはぜひ取り入れてみてください」

 

ここでいうオイルとは、たとえば薬局で売っているオイルでもいいのでしょうか?

 

「いいえ、オイルと一口に言っても様々な種類があります。私たちの皮脂膜と一番親和性があるのは、植物性のオイルです。またその植物性のオイルの中でも種やナッツを絞った、無精製のいわゆるエクストラバージンのオイルです。植物性オイルは、皮脂膜と結びついて肌を守るだけでなく、肌に浸透して様々な効果をもたらしてくれます。

 

ドラッグストアに並ぶオイルの中には、鉱物由来のミネラルオイルもありますが、ミネラルオイルは、肌に浸透しないことが特徴です。そのために、肌の表面に残って毛穴をつまらせることがあります。

 

だからこそ、SHIGETAでは皮脂膜を補強する作用のある植物性オイルをとても重視しています。肌荒れによって皮脂膜が乱れているときほどオイルが鍵なのです

 

植物性オイルは、使い方よりも選び方が100倍大事

EX オイルセラム 5.5ml 2,750円(税抜)・15ml 7,000円(税抜)/SHIGETA

「植物性オイルは肌に浸透するので、あとから上にクリームをオンしても肌に入っていきます。よく、オイルは化粧水やクリームのあとか前か、使うタイミングを質問されますが、植物性のオイルならば、スキンケアのどのタイミングで使ってもいいんです。

 

ですから、大切なのは、オイルを塗布するタイミングではなくて、選び方。オリーブオイルで言うところのエキストラバージンのような、絞っただけの、『色』も『香り』も残された質の高いオイルを選ぶことが大切です。

 

このような未精製で質の高い植物性オイルには、植物本来が持つ複合的な成分が残っており、その成分の中には、血流を良くしたり、皮脂膜を強くしたり、弾力を整えたりと、様々な効能を発揮するものが含まれます」

 

一方で、オイルの感触が好きではない、とかテカリが気になってオイルに手が伸びない、という意見もよく聞きます。

 

「オイリー感やテカリが気になるという方には、化粧水をつけて、乾くのを待たず、すぐにオイルをつけることをおすすめします。この順序でつけていただくと、さっぱりしたつけ心地になります」

 

よく、オイリースキンはインナードライの状態だと言いますが、本当ですか?

 

 「オイリースキンは、いわゆる水分不足です。乾燥により肌が油分が足りない信号を出してしまうのです。ですから、水を日頃からたっぷり飲んで、体への補水をすることも大切ですし、肌の保湿もどちらも大切です。

 

また、良質な植物性のオイルには皮脂腺のバランスを取る働きがありますので、肌の油分の出し過ぎのコントロールをしてくれます。ですから、このようなオイルは、オイリースキンの一番の味方とも言えます」

 

皮膚の上の「肌フローラ」を守り、育てることが大事

(左から)バランシング モイスチャークリーム 4,800円(税抜)・バランシング モイスチャーローション 3,300円(税抜)・バランシング マイルドクレンザー 3,200円(税抜)/SHIGETA

腸内細菌の「腸内フローラ」が腸の環境を整えてくれることは最近よく知られるようになりましたが、皮脂膜にも同様に常在菌による「肌フローラ」があると聞きました。

 

「はい、 肌フローラとは、肌にも腸内フローラと同様に存在している多様な細菌のことです。また、肌フローラの状態が、腸内フローラが操っているとも言われるくらい相関関係があります。つまり、食べ物を改善すると肌がよくなっていくことは、多くの方が体験したことがあるのではないでしょうか?

 

腸と同様、肌フローラにもその細菌叢の多様さが重要で、多様さに欠けると外界からの刺激や、保存料、花粉などに反応しやすくなります。反応して肌に炎症が起きる(肌が痒くなったり、赤くなったり、吹き出物ができるなどのサイン)と、皮脂膜のバリアが弱くなるんですね。ですから健康な肌作りにはまず、肌フローラを守ることが大切です」

 

では、肌フローラを育てるためにまず何をすればいいのでしょうか?

 

「肌につけるものだけではなく、食べて体内に入るものまで、何を体に入れているのか少しだけ気を配りたいですね。特に『フローラを守る 』ということを一番に考えると、多くの化粧品や食品に使われている保存料を最小限に抑えたいですね。

 

製品の腐敗を防ぐ目的で使われている保存料ですが、実は肌や体に良い菌まで殺してしまうのです。肌荒れをしているのは、肌フローラのバランスが崩れているということでもあります。ですから保存料の入った製品を継続的に使うことで肌荒れがさらに悪化してしまう可能性があります」

 

配合・含有されている美容健康の成分よりも、保存料をチェックしたほうがいい?

 

 「肌が元気な時にはちゃんと肌を守るシステムが整っているのですが、肌が弱っている時には、美容成分よりもシンプルな処方で、かつ保存料フリーの製品だと肌が早く回復すると思います。

 

ちなみに植物オイルは、水分を一切含んでいないので保存料を配合する必要がありません。ですから、植物オイルは肌荒れの時にも安心して使うことができます」

 

胃や腸がストレスを受けると解毒が困難に。結果、肌荒れが起きる

そもそも、どうして肌は荒れてしまうのでしょうか。私の場合はストレスも原因だったと思っています。

 

「 そうですね、ストレスでの肌荒れの由来は複合的です。まず、ストレスは、消化機能の疲労を引き起こします。ですから、食べたものの消化に負担がかかります。消化が不完全だと解毒機能を司っている肝機能にも負担がかかります。

 

肌は体の解毒器官ですから、体内からうまく解毒ができなかった場合には、肌から毒素を出そうとします。また、腸への負担は腸内フローラが乱れる原因にもなります。

 

多くの働く女性は、つい頑張らなくては、と肩に力が入りがち。寝ている間にも力んで奥歯をグッと噛んでしまう方は、寝ている間に体内疲労の回復がしにくく、負のスパイラルに陥りやすいと思います。

 

ですから、ストレスによる肌荒れは急に始まったことではなく、2〜3ヶ月間の積み重ねの結果なのです」

 

ストレスは本当に害悪なのですね……。

 

 「私は、ストレスは悪いことばかりだとは思いません。ストレスは良い刺激剤でもあると思います。始めてのことにチャレンジする場合、必ずストレスを伴いますよね? でもその体験は自分を成長させてくれます。

 

ですから、ストレスによるマイナス要因をキチンとケアしてあげれば良いのです。寝る前に睡眠の質を上げるケアをする、食べ物に気を配って体の中からケアをする。そして、肌のケアに使うものをちゃんと選ぶ。肌が荒れていたら肌フローラを守り、育てるケアをすることです」

 

オーガニックはなぜいいの?シンプルに「パワーが違う」

 

私(鈴木)は自分の肌荒れではじめてオーガニックコスメに興味を持ったのですが、正直に言うとオーガニックと書かれた製品の値段は高いものから安いものまで幅広すぎて、何に着目して選べばいいのかがわかりませんでした。

 

「多くの人のオーガニックのイメージは『原料の植物に農薬使ってないんでしょ』くらいですが、農薬使用はオーガニック認証の、とても細かく時間のかかる取り組み全体からみればごく一部分のこと。

 

農薬だけではなく植物由来の成分のみを使用すること成分の人体被害がないこと、環境に負担のないパッケージの使用など、持続可能な環境と地域経済など、様々なことを視野に入れ、まさに地球環境をトータルに配慮できないと認証が取れません」

 

やはりオーガニックは高品質なのでしょうか?

 

「持っているパワーが全く違います。私自身、なぜ最初にオーガニックで精油を作ったかというと、シンプルにパワフルだったから。地球のありかたに沿った植物にはこんなに高い馬力があるのか、こんなに肌が変わるのか。

 

それならオーガニックの方がいい、と純粋に思いました。そのあとでオーガニックを学びはじめましたが、知れば知るほど地球に沿うことは大切だなと思います」

 

自分に合った気持ちのいい商品を見つけてみてください

とはいえ、同じオーガニックでもお値段が相当違います。品質と値段は関連していますか?

 

「品質の高いものは必然的にお値段も高くなりますが、逆にオーガニックだから全部いいというわけではありません。例えば、フローラルウォーターは、抽出スタート直後の成分を豊富に含む100ℓでも、最後の出がらしの3000ℓでも、全部フローラルウォーターと呼ばれます。

 

オーガニック認証がついていれば環境と人体被害への安全性は間違いないですが、品質の保証をするものではありません

 

となると、私のような初心者にはどれを選べばいいのか見当がつきません。

 

実際にオーガニックの製品を手にとって使ってみて、気持ちがいい!と直観力的に感じるものを選んでも良いのではないかな?と思います。直感でピンときたら、迷わず選択して。そうした選択の積み重ねで、必ず自分に本当に必要な製品を選べる技が身につきます

 

-続編に続く。

呼吸法などインナーケアについてお送りします。

 

お話/SHIGETA主宰 CHICOさん

パリで数々のセレブを魅了するオーガニックコスメブランド、SHIGETA主宰。ホリスティックビューティーコンサルタント。美しい肌と体を育むためには心身のバランスこそが不可欠と考え、長年フランスおよび日本にてビューティーメソッドを探求。その経験と実績をもとにバイタリティー・コーチング®を考案。現在は、パリのセレブリティやアーティストのためのパーソナルコーチとして活動するほか、大手化粧品会社や美容機器会社のコンサルティング及びブランドスポークスマンとしても活躍中。近著に『「リセットジュース」を始めよう~パリ美人のダイエット』(講談社刊)など、著書多数。

 

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【CHICOさんのケア】

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