「役務」って正しく読めてる?簡単なのに間違える漢字10選
新元号に変わり「令和」となりました。この「令」という文字は、フォントによって形が違います。万葉集が出典だったこともあり、日本語に興味が集まっているようです。今回も、誰もが知っている漢字を使っているのに、誤読の多いものを選んでみました。
1・灰汁
読み間違いの例
はいじる
正しい読み
あく
意味
灰を水に浸して取った上澄みの水。炭酸イオン・アルカリ金属イオン等を含み、汚れの洗い落とし、染色などに用いる。植物中に含まれる渋み、えぐみなどのある成分。肉などの煮汁の表面に浮かぶ白い泡状のもの。人の性質や文章などに感じられる、強すぎてなじみにくい癖や個性。
例
あの人は、灰汁(あく)の強い人だ。
説明
野菜などを煮たときに、上澄みに泡のような苦いものが発生します。それを灰汁(あく)といいます。灰汁を「あく」と読める人が少ないので、レシピなどでは「アク」とかたかな表記する場合が多いですね。昔は灰を水に浸した上澄み液で、アクの強いもののえぐみを取っていたので、その作業そのものに当てられる字となったようです。いくらくせが強くても「悪」ではありませんので、気をつけましょう。
2・行灯
読み間違いの例
ぎょうとう
正しい読み
あんどん
意味
木などのわくに紙を貼り、中に油皿を入れて灯火をともす具。室内に置くもの、柱に掛けるもの、さげ歩くものなどがある。
例
行灯(あんどん)に灯がともる。
説明
これも聞いたことがある言葉だと思います。現代では木や竹、籐などの枠の中に照明があるものを指しますが、初めは、その他に手に提げて持つ物もありました。そこから「行灯」の文字が当てられ、唐読みで「あんどん」になりました。手に持つタイプは提灯(ちょうちん)に取って代わりましたので、今では据え置き型のものを「行灯」と言うようになりました。このような語源を知ることも、誤読を防ぐ方法の一つですね。
3・役務
読み間違いの例
やくむ
正しい読み
えきむ
意味
労働などによるつとめ。
例
日本、フランス両政府は、自衛隊とフランス軍が物資や役務を融通し合う物品役務(えきむ)相互提供協定(ACSA)に署名した。
説明
例文のような場合や、「役務商標」「役務賠償」などの熟語で目にすることが多い言葉ですね。一般人は声に出して読み上げる機会がないので、文字通り「やくむ」と読んでしまう人が多いのかと思います。
4・言質
読み間違いの例
げんしつ・げんしち
正しい読み
げんち
意味
後日の証拠となる(約束の)ことば。ことばじち。
例
ちゃんと先方の言質(げんち)を取ってきなさい。
説明
「言質を取る」という熟語で使われる言葉です。「言質を取る」とは、後で証拠となるような約束の言葉を得ることを言います。ことばじち、言葉の人質ですね。
5・好々爺
読み間違いの例
こうこうじい
正しい読み
こうこうや
意味
人のよい老人。にこにこしたやさしそうな老人。
例
水戸黄門は好々爺(こうこうや)として慕われていました。
説明
「爺」は「じいさん」の「じい」ですが、この場合は「や」と読みます。
6・強面
読み間違いの例
きょうめん
正しい読み
こわもて
意味
こわおもて。おそろしい顔つき。また、相手に対して強く出ること。
例
客商売なのに、強面(こわもて)な店主。でも、実は優しい男だ。
説明
厳つい(いかつい)顔の人や、おっかない顔の人を言う時に使う言葉です。「強面」で画像検索すると「あ、こういうことね」と分かる言葉ですよ。
7・席巻
読み間違いの例
せっかん
正しい読み
せっけん
意味
席(むしろ)を巻くように片端から土地を攻め取ること。転じて、圧倒的な勢いで自分の勢力範囲に収めること。
例
平成の映画はスタジオジブリ作品が席巻(せっけん)した。
説明
石鹸と同じ読みなので、不思議な感じがしますね。「圧巻」は「あっかん」と読むので「席巻」を「せっけん」と読んでしまうのではないかと推察します。
8・造詣
読み間違いの例
ぞうし
正しい読み
ぞうけい
意味
学問または技芸に深く達していること。
例
彼は造詣(ぞうけい)の深い人だ。
説明
「造」「詣」も「ある域まで達する」という意味がある感じです。「初詣」では「はつもうで」と読む「詣」ですが、音読みでは「ケイ」「ゲイ」「ゲ」と読みます。
9・約定
読み間違いの例
やくてい
正しい読み
やくじょう
意味
人と事を約し定めること。契約して定めること。約束。契約。
例
共同で開発することを約定(やくじょう)した。
説明
「定」は「テイ」とも読みますので、このような誤読が多いのだと推察します。しかし「定規」でも分かるように「ジョウ」とも読みます。「約定」の場合は「ヤクジョウ」です。
10・廉価
読み間違いの例
けんか
正しい読み
れんか
意味
値段が安いこと。やすね。安価。
例
このギターはとても高価だが廉価版(れんかばん)も市販されている。
説明
「兼」の文字が入っているので「ケン」と読んでしまう人がいるようですが、この字は「レン」としか読みません。覚えておきましょう。
みなさん、どれくらい正解でしたか?どれもこれも簡単な漢字なのに、うっかり間違えてしまうものばかりですよね。間違っていたものは、この機会にしっかりと覚え直しましょう。
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