「うちの旦那、最後までできなくて」妻がママ友に話した日。43歳・夫が決めた「3年間、言わずにいること」とは
「原因は一つじゃないですね」と医師は言った
ある日、ケンサクさんは泌尿器科を受診しました。妻には言っていません。
「検索したら、EDには心因性と器質性があると出てくる。自分は心因性だろうと思っていました。でも、両方の可能性があるなら調べたほうがいいと書いてあったので」
問診で医師は淡々と質問を重ねたそうです。いつからか、朝の勃起はあるか、睡眠時間は、飲酒量は、体重の変化は。血液検査と血圧測定も受けました。結果を聞いたとき、医師はこう言ったといいます。
「原因は一つじゃないですね、と。睡眠不足と、体重と、血圧と、あとは精神的なもの。どれか一つが決定打というより、全部が少しずつ影響している状態だと説明されました。合わせて、生活習慣の改善も勧められました。睡眠、運動、減量…全部、育児中の共働きには一番きついやつです。やろうとはしたんですけど、続かなかった。40代で僕のような症状になる人はめずらしくない、とも言われました。めずらしくないと言われても、あまり救いにはならなかったです。むしろ、じゃあ治らないのかなと思った。」
薬も処方されました。何度か自分で試しましたが、そのたびに気持ちが冷めたといいます。
「効くには効くんです。でも、僕は飲まないとダメな身体になったんだな、と思ってしまって。そこからは、気持ちが冷めてしまい、結局、妻とするには至りませんでした」
妻には「疲れてる」としか言えなかった
受診したことを、ケンサクさんは妻に話しませんでした。「最近、本当に疲れてて」とだけ伝えました。嘘ではありません。ただ、診断がついていることも、薬を持っていることも伏せ続けました。
「なんて言えばいいのか分からなかったんです。『病院に行ってきた』と言えば、当然『何て言われたの』と聞かれる。EDです、と自分の口で言うのが無理でした。あのとき全部話していたら、何か変わったのかもしれない。でも、『男として機能しなくなりました』と妻に報告するのは、どうしてもできなかった。言いにくい関係なんです」
妻からの誘いは、それを境になくなりました。「無理しなくていいよ」と妻が言い、「ごめん」とケンサクさんが返す。そのやりとりも、その年の夏以降はなくなったといいます。妻が自分の身体を原因だと考えていることには、うすうす気づいていました。
「産後、妻が筋トレを始めたんです。最初は健康のためかと思っていたんですが、たぶん違う。でも、否定するには本当のことを言うしかない。だから何も言いませんでした」
ある日、保育園で「大変ですね」と言われた
長男が2歳半になった秋、ケンサクさんは保育園にお迎えに行った際、同じクラスの子の母親に声をかけられます。妻と親しく、家族ぐるみで公園に行ったこともある人でした。
「笑いながら、『ケンサクさん、大変ですね』って言われたんです。何のことか分からなくて『何がですか』と聞いたら、『いえいえ、うちもですから』と、また笑って」
意味が分からないまま帰宅し、妻に聞きました。妻は少しばつが悪そうにしながら、レスであることを隠さずに話したそうです。数日前のママ友の集まりで、産後の夫婦関係が話題になったといいます。誰かが「うち、産後ずっとレスで」と言い、別の誰かが「うちも」と続いた。そこで妻は、こう言ったそうです。
「うちもレスなんだけど、うちは旦那が最後までできなくて。だからお互い様みたいな感じ」
みんな『えー』って笑って、『でも優しい旦那さんでいいじゃん』、『うちは向こうが迫ってくるからもっと大変』、と会話が続いたそうです。ケンサクさんは、その場では怒りませんでした。「そういう話、外でするんだ」と言っただけです。妻は「ごめん、みんな言ってたから」と答え、それで終わりました。
「怒れなかったんです。妻が言ったことは、事実ですから。嘘を広められたわけじゃない」
ただ、その夜から、ケンサクさんは保育園のお迎えの時間をずらすようになります。
▶妻のレスは「悩み」、夫のEDは「ネタ」だった
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