「俺は大切な“ご主人様”だから良い肉を食べる権利がある」妻が離婚を決意した年末年始

2026.09.23 LIFE

「お前らには良い肉を食べる資格はない」

F子さんが「年末とお正月の食材を買いにスーパーへ行ってくる」と言うと、夫は「俺も行く」と言い出しました。一緒に買い物へ行くと文句ばかり言うため、F子さんは内心では来てほしくないと思っていました。けれど、そこで断ればまた夫が怒り出すかもしれない。そう考え、結局一緒に出かけることにしたそうです。

 

おせちの食材やお餅を買い、年末恒例のすき焼き用の肉を選んでいたときのことです。年に一度くらいは少し贅沢をしたいと思い、F子さんが国産牛を手に取ると、夫はこう言いました。

「誰がこんな肉を買っていいって言った? 俺の分だけ良い肉でいい。お前はもちろん、子どもも輸入肉の切り落としで十分だから。俺は大切な“ご主人様”なんだから、良い肉を食べる権利がある」

 

その言葉に、近くにいたほかのお客さんも驚いたように夫婦のほうを見たといいます。

「夫は、この世で一番偉いのは自分だと本気で思っているような人です。子どもたちには『お父さんがいないときに、良いお肉を食べようね』と言いました。結局、大晦日のすき焼きは、私たちは安いお肉で我慢しました。こういうことは、もういつものことなんです。夫は、私たちのことを大切に思うことは一生ないのかもしれない。そう感じました」

 

F子さんの夫にとって、「良い肉を食べるのは自分だけでいい」という言葉は、自分が家族の中で一番上の立場にいることを示すものだったのでしょう。もともと夫は、F子さんの手料理に対しても、たびたび文句を言っていたそうです。

「しょっぱい」
「こんな味付けは食べられない」
「品数が少ない」
「出すタイミングが悪い」
「味噌汁がぬるい」

料理の内容そのものよりも、何かしら不満を口にすることが多かったといいます。ときには「こんなもの食べられるか」と言い、自分でラーメンを作ったり、コンビニで買ってきたものを食べたりすることもあったそうです。

 

こうした言動が繰り返されると、妻は「自分の料理が悪いのかもしれない」「もっと頑張らなければ」と、自分を責めるようになってしまうことがあります。しかしF子さんの場合、何を作っても、どう工夫しても、夫の不満がなくなることはありませんでした。

 

私は家政婦じゃない

元旦の朝、F子さんがおせちのお重や料理を食卓に並べていたときのことです。夫が起きてきたので、F子さんは「明けましておめでとうございます」と新年の挨拶をしました。ところが、夫から返ってきたのは挨拶ではなく、料理への文句でした。

「こんな料理だけ? 俺のお袋の新年の料理はすごかった。全部手作りだったしな。こんな市販のものを詰め合わせただけのおせちなんて食えるか」

 

しかし、年末の買い物の際、「おせちなんて食べないから、市販品を適当にお重に詰めておけばいい」と言っていたのは、夫自身だったそうです。

 

「それなのに、結局は『料理のできない妻』ということにされるんです。いつも私が悪いことになります。文句を言いながらも、『食べるものがないから仕方ない』と言って料理は食べる。そしてテレビを見て大笑いしながら、私に言うのは、

『ビール』
『つまみはほかにないのか』
『ここ汚れたから拭いて』

そればかり。私を家政婦だと思っているのでしょうか。こんな日があと何日も続くのかと思うと、本当にぞっとしました」

 

そう話すF子さんですが、年末年始でもっとも憂うつなのは、夫の実家へ行くことなのだそうです。

「夫の実家に行くことを考えるだけで、本当に気が重くなります」

F子さんは、そう言って憂うつそうな表情を浮かべました。

 

夫の実家にいくのが本当に苦痛だった理由

年末年始は、妻が大掃除や買い出し、食事の準備に追われる一方で、夫はテレビを見たり、ゆっくり過ごしたりしている。そんな状況に、強い不公平感を覚える人もいるでしょう。F子さんの場合は、ただ家事を手伝ってもらえないだけではありませんでした。夫は、妻が自分の言うことを聞くのは当然だというような態度をとり、感謝や思いやりを示すこともほとんどなかったといいます。

 

そして、F子さんが年末年始でもっとも憂うつに感じていたのが、夫の実家へ行くことでした。夫の両親は、夫をとても可愛がっており、F子さんに対して、「〇男と結婚できたんだから、あなたは幸せなのよ」といった言葉をかけることもあったそうです。F子さんは、夫の高圧的な態度には、こうした家庭環境の影響もあるのではないかと感じていました。

 

夫の実家を訪れたときのことです。玄関が開くと、義母は夫に向かって、

「〇男ちゃん、おかえりなさい。明けましておめでとう」

と声をかけ、夫の背中をさすりながら家の中へ迎え入れたそうです。一方、F子さんや子どもたちには、特に声をかけることもありませんでした。そして夫は、毎年のようにこう言いました。

「お母さんのおせちはすごいな。他の料理もすごいし、本当においしい。F子は料理が下手で、本当に困っているんだ」

 

「夫のこの言葉は毎年のことなので、今さらショックは受けません。義母も、『〇男が優しいから、あなたは何もできなくても妻でいられるのよ。よかったわね』と言ってきます。それを、にっこり笑いながら言うんです。本人は優しい言葉のつもりなのかもしれませんが、私はそう受け取ることができませんでした。義母の夫への接し方や、夫の義母への態度を見るたびに、毎年強い嫌悪感を覚えていました。今年はもう、我慢の限界を超えてしまい、来年からはここへ来ないと決めました」

 

F子さんはここ数年、年末の長期休暇が近づくと、夫との離婚を真剣に考えるようになっていたそうです。

普段であれば、夫の言動をなんとかやり過ごすことができる。けれど、年末年始のように長い時間を一緒に過ごすと、夫の高圧的な態度や暴言に触れる機会が増え、離婚を意識せずにはいられなくなるといいます。さらに、夫の実家へ行くことも、F子さんにとって大きな負担でした。

「どうして私は、ここまで我慢しないといけないんだろう」

そう考え続けた末に、今回はついに気持ちが吹っ切れたそうです。

 

これまでは、子どものために離婚しないと決めていました。しかし、夫とこのまま一緒にいることで、自分だけでなく、子どもたちまで幸せになれないのではないか。そう考えるようになり、F子さんは離婚に向けた準備を始めました。

 

年末年始のように、普段より長い時間を夫婦で過ごす時期は、これまで見ないようにしていた夫婦関係の問題が、はっきり見えてくることがあります。F子さんにとって、この年末年始は、自分と子どもたちのこれからを考え直す、大きなきっかけになりました。

<<「お正月なんて来なければいい」年末年始になるとモラハラがひどくなる夫。妻が15年耐えてきた日々

 

麻野祐香

モラハラ/HSP専門カウンセラー。モラハラで悩む方の心を守ることを使命とし、カウンセリングとTikTokライブでモラハラとHSPで悩む方のサポートを続けている。モラハラと夫は別れるべきと勧められることが多い中、離婚をしたくても事情があって別れられない人々の為に、モラハラ夫からの自分の心の守り方を発信。

https://www.be-nect.com/general-8

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