「私なんか病」を抱えて50代へ。人生後半をラクにする「他人の評価」を手放すたった一つのコツは【一田憲子×大平一枝対談】

2026.10.17 LIFE

「承認欲求」を手放すコツ。趣味のテニスが教えてくれたこと

一田: 私は東京と山梨の二拠点生活を始めたばかりなんですが、東京に帰ってきたらめっちゃ忙しいんです。その中でも、昨日の夜7時から9時までテニスに行ってきたんですよ。

 

私が下手だろうが上手かろうが、誰にも関係ないし誰も褒めてくれない。だけど、昨日の私より今日の私がうまくなるっていうのがめっちゃ楽しいんですよ。それぐらい夢中になれる趣味を持ったことで、「褒められたい」という承認欲求をちょっと手放せたって本当に思っているんです。

 

大平: 手放せたんですね、すごい。本に書いてありましたよね。心理カウンセラーの先生に「仕事のことばかり考えていませんか」って言われたと。

 

私もまったく同じことが最近あって。整体に行ったとき、仕事上のトラブルについて頭の中でずっと考えていて。整体の方が「あれ、おかしいな。60分過ぎると大体寝るんですけど、今日はずっと筋肉が硬い」っておっしゃって、私もピンときて、「そっか、全然仕事から頭が離れていない」って。

 

実はホームページをリニューアルしたときにデザイナーさんを変えたら、手違いで20年分のブログが消えてしまったんです。2歳から22歳まで、子どもの成長を綴った日記のようなもの全部が。それがもう本当にぽっかりとどこをどうしても復元できないって分かって。

 

整体に行く8分前ぐらいにそれが発覚して、ずっとその心配ばかりしていたんです。2時間、筋肉が硬いままで、整体の方に「多分深いところに届いていないと思います」と言われたとき、「こういう年の取り方をしているとヤバイぞ」って思ったんです。

 

一田: 一つのことに囚われちゃうと、ほかが入ってこないんですよね。

 

大平: テニスのときってスマホを置くじゃないですか。だから、「褒められたい」ということから離れられる貴重な場所なんだと思います。

 

一田: そうそう、いつもの価値観とは違う場所。いつもの辞書しかないところにいたら、アルゴリズムみたいにどんどん同じところをぐるぐるしてしまいますからね。

 

>>次回は「SNSの批判に落ち込み3ヶ月ひきずった。60代エッセイストが『他者の評価』から立ち直るために行った場所は【一田憲子×大平一枝対談】」をお届けします。お楽しみに!

 

◆「褒められたい」病のあなたにぜひ読んでほしい

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『褒められなくても、生きられるようになりましょう』(1,650円(税込)主婦の友社刊)

 

暮らしに寄り添う文章で人気を集めるエッセイスト・一田さん。
実は、若いころから「褒められる」ことが大好きだったといいます。
「人から尊敬される人になりなさい」と育てられ、期待に応えようと一生懸命に頑張ってきた日々。
けれど60歳を過ぎ、若い頃のように成果や評価を追い続け、「人にどう思われるか」に神経をすり減らす、生きづらい日々は、そろそろ卒業したい……。
でも、これからの人生で、「褒められる」以外に、自分の心を満たすものって何だろう?
右往左往しながらも、「褒められたい」という呪縛をほどくヒントを一つずつ見つけていく、正直で力強い書きおろしエッセイ集です。

誰かの評価に一喜一憂するのではなく、
自分で自分に花丸をつけられる生き方へ――。

■1章 どうして褒められたいの?
「私を見つけて欲しい」から「自分が見つけたい」へ/みんなに人気」の「みんな」って誰?/2本目、3本目の軸を用意しておく
■2章 「褒められる」を卒業するには?
「売れなかったら負け」の世界から抜ける/自分で自分の100点満点を設定する生き方に/「あなた」と「私」の境界線をぼやかし、相手の言葉をすべて「よきこと」として聞いてみる/褒められなかったときに、心の静寂を取り戻す方法を知っておく
■3章 小さく心が満たされる日々を
暮らしの中の「心地よさ」を設定すれば、自分で自分に花丸をつける日がやってくる/人生の本筋にあるものよりも、脇道にあるおいしそうな香りのほうが、ずっと大切な記憶になる
■4章 褒められなくたってへっちゃら
自分が今、尊敬できる人を思い浮かべてみたら、「みんなに褒められている」人じゃなかった!/「褒める」「褒められる」を、上質なコミュニケーションに格上げする など

 

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一田憲子(イチダノリコ)
1964年京都府生まれ。編集者・ライター。OL、編集プロダクション勤務を経てフリーライターとして独立し、女性向け雑誌・書籍などの取材・執筆で活躍。暮らし、おしゃれ、仕事、人間関係、年齢の重ね方などについての、日常の中の揺らぎや気づきを丁寧にすくい取る文章で、幅広い共感を集める。『暮らしのおへそ』『大人になったら、着たい服』(ともに主婦と生活社)を立ち上げ、イベントも開催。『最後の答えは、きっと暮らしの中にある。』(内外出版社)、『小さなエンジンで暮らしてみたら』(大和書房)など、著書多数。自身のWebマガジン『外の音、内の香』では、さまざまなコンテンツを配信。ライター塾を主宰し、「書く暮らし」の楽しみを伝えている。

 

大平 一枝(オオダイラカズエ)

作家、エッセイスト。1964年、長野県生まれ。編集プロダクション宮下徳延事務所を経て、1995年、独立。市井の生活者を描くルポルタージュ、失くしたくないもの・コト・価値観をテーマにしたエッセイを執筆。​著書に『それでも食べて生きてゆく 東京の台所』『ふたたび歩き出すとき 東京の台所』(毎日新聞出版)、『男の女の台所』『ただしい暮らし、なんてなかった。』(以上、平凡社)、『注文に時間がかかるカフェ たとえば「あ行」が苦手な君に』(ポプラ社)『そこに定食屋があるかぎり』(扶桑社)「ある日、逗子へアジフライを食べに」(幻冬舎)など多数。

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