女ひとりの財産は誰にあげる?シングル遺産の行き先
「法定相続人」以外に渡す場合は準備が必要
独身だからこそ、疎遠な身内よりも親しい人に遺産を渡したいと考える方もいらっしゃるでしょう。法定相続人以外に財産を贈与することを「遺贈」といい、それを受け継ぐ人は相続人ではなく「受遺人」といいます。遺贈での例をいくつかあげておきます。
1・入籍していないパートナー
2・お世話になった恩人
3・信頼できる親友
4・面倒をみてくれた親族
5・賛同する団体に寄付
籍を入れていない事実婚のパートナーは、法定相続人になれません。長年連れ添ったパートナーがいる方は、「遺産は全部パートナーに相続させる」と書いた遺言書が必要です。他にも、自分の面倒をみてくれた方、お世話になった恩人、姉妹のような関係だった友人、さらに親族でも叔父や叔母、従姉妹は相続権がないため、法定相続人以外に財産を遺したいのであれば、遺言書を生前に書いておくことが必須です。
最終的に相続人が誰もいない場合は、国庫に帰属することになります。それで納得できれば成り行きまかせでも構いませんが、活動に賛同できる団体や自治体などに寄付した方が遺志にそえるのではないでしょうか。遺言書があれば、支援しているボランティア団体やNPO法人などに寄付することも可能です。自分の死後、遺産は誰または何処へ、どのようにしたいかという希望を遺言書で意思表示することが大切です。
身内のいない“おひとりさま”こそ、遺言がなければ周りの人たちは遺産をどうしたらよいのかわかりません。生前に遺言書を書いておくことで、手続きする側の手間は最小限になります。自分が亡くなった後、周りに負担や迷惑をかけないようにするためにも、死後の準備をしておくことが求められる時代になっています。
アイドルに遺贈できてもペットにはできない?
未婚化・未産化が進む日本では今後、法定相続人がいない人が増えていくでしょう。なかには、自分の遺産を応援しているアイドルに遺したいと考える人も現れるかもしれません。知り合いの税理士さんから伺った話ですが、実際に全く面識のない故人の方から突然、遺贈が舞い込んでくることがあるそうです。まるで棚ぼたのような話ですが、そのケースの場合は故人がその方の活動に賛同して、遺言書に受遺人として指定してあったそうです。
なお、遺贈するときは、遺贈相手が特定できるよう相手の名前と生年月日、住所、遺贈理由を遺言書に明記するようにします。遺贈された受遺人は、必ず遺贈を受けなければならないわけではありません。遺贈を受けることも、放棄することも受遺人側が選択できます。また、遺贈をする場合は、遺言執行者を指定しておくと手続きがスムーズに進みます。
たまに飼っているペットに遺産を相続させたいと希望される方がいますが、ペットは相続人にはなれず、遺贈もできません。日本の法律では、相続や遺贈できるのは人もしくは法人です。ペットにではなく、自分の死後に「ペットを引き取り、生涯お世話をしてくれること」を条件にした「負担付遺贈」をすることで、ペットの面倒をみてくれる方に遺すことはできます。
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