死亡保障の適正額は? 子なしは遺族年金が大損ってホント!?【おこなしさまという生き方 Vol.10】

女性は平均寿命87歳の約半分を過ぎた頃から、生涯子どもがいない“おこなしさま”を覚悟する時期に入っていきます。世の中には40代後半で妊娠・出産する女性はいますが、それはほんの一握り。一般的には45歳手前あたりから「もう、ないな」と腹をくくり始めます。そうなると、後半戦は「子どもがいない人生」を歩むことに決定。そこで、“おこなしさま”のライフプランに合わせた人生設計を再検討していきます。 

まずは保険を見直しましょう

最初に取りかかるのは、住宅購入に次いで人生で2番目に高い買い物といわれる保険。保険は結婚や子どもが産まれたなど、ライフステージが変わる時が見直しのタイミングだといいます。ですが、子どもがいない人生と確定したからこそ、自分のライフプランに沿った保険の点検・整備が重要になってきます。

保険の保障は大きくわけると、「死亡保障」「医療保障」「取得保障」「老後保障」があります。保険に関しては“おこなしさま”として共通の部分と、独身・既婚とで異なる部分があるため、まずはそれぞれに必要な「死亡保障」について考えていきます。

 

“おこなしさま”の死亡保障はどれくらい必要?

【独身女性の場合】

一人なので周囲に迷惑をかけない程度に、葬儀関連費用として200~300万円くらいの保障があれば充分だと思います。それ以上の死亡保障額の保険に加入している場合は、保険料が安くなる可能性が高いです。ただ死亡保障は、自分で請求することができないので、保険に加入していることと、保険証券の場所を誰かに知らせておくことを忘れないようにしてください。

また近年は、成人した子どもが高齢になった親を扶養する形もめずらしくなくなってきました。独身であっても扶養している親がいる場合は、自分に予期せぬことがあった時のために、その後の生活を考慮した保障額にしておいた方がベターです。

【既婚女性の場合】

子どもがいない夫婦は、何千万円といった大きな保障は要りません。目安は500万~1000万円程度。専業主婦は、収入のある夫に万が一のことがあった場合に備えて、保障額を厚めにした方が安心。お互いが経済的に自立している共働きの世帯は、金額は抑えめで大丈夫でしょう。結婚当初に子どもを持つことを想定して保険に加入し、そのまま継続している方は必要以上の保障額になっていることがあります。保障額を見直すだけで、保険料の削減ができます。

 

子どもがいない場合の遺族年金はいくらもらえる?

死亡保険を検討する際に、世帯主が亡くなったときに遺族に支払われる「遺族年金」のことを考慮すると、さらに死亡保障額を減らすことも可能です。心配するあまり保障額を高めに設定しがちですが、保険料の負担が重くなれば家計を圧迫してしまいます。以下のように、遺族年金額を差し引くことで保障額を下げ、保険料を抑えることも1つの方法です。

「必要な死亡保障額 - 遺族年金額 = 加入する死亡保険の死亡保障額」

 

【独身女性の場合】

遺族年金は、基本的には配偶者と子どもに支払われるものです。そのため、独身者だと関係ないと思われるかもしれませんが、条件を満たせば両親・祖父母も対象者になります。

遺族年金の種類は、「遺族基礎年金(国民年金)」と「遺族厚生年金」の2つ。独身だと、残念ながら遺族基礎年金はもらえません。遺族厚生年金に関しては、年齢が55歳以上、死亡した者によって生計を維持されていたなどの支給条件に合えば、父母や祖父母が受給できます。現時点ではそうではなくても将来、親を扶養する可能性は誰にでもあることなので頭に入れておきたい事項です。詳しい条件等は、日本年金機構の「遺族厚生年金」で確認して下さい。

【既婚女性の場合】

いきなりショックなお知らせです。子どもがいない夫婦で夫の社会保険が「国民年金」だった場合、遺族基礎年金は一切受給できません。遺族基礎年金を受け取れる遺族は、「子のある配偶者」または「子」に限られているからです。

ただし、夫が「厚生年金または共済年金」に加入している場合は、子どもがいなくても「遺族厚生年金」は受け取れます。計算方法は複雑なので厚生年金加入の参考例として、夫の平均標準報酬月額が35万円だと年額約43万円。

さらに、妻の年齢が40歳~64歳の場合は「中高齢寡婦加算」の加算年金が年額58万5100円(平成28年度)プラスされます。これは就労が難しい年齢の女性の保護を目的として加算される制度で、中高齢という言葉は少々気になりますが、歳をとっていて良かったと感じる数少ない実例。先の参考例にした遺族厚生年金と合わせると、年額約101万円が受給できることになります。

 

夫の職業によって支給額は変わる

気をつけたいのは、遺族年金は所得・保険料払込期間によって支給金額が変わる点です。夫が会社を辞めて自営業をしていた時期があるなど、払込期間が足りないと支給されないこともあるため、個別の詳細な金額等は年金事務所で確認することをお勧めします。

つまり遺族年金は、会社員の妻であれば子どもがいなくても、遺族厚生年金を受け取れるが、夫が国民年金の自営業で子どもがいないと遺族基礎年金がもらえない。そのため自営業の場合は、会社員の方より厚めの死亡保障を確保した方が良いということです。

長年、国民年金を支払い続けたのに遺族年金がもらえないなんて、損した気分になりますよね。その救済策として、25年以上納付している、婚姻期間が10年以上、老齢年金を受けずに夫が死亡したなどの条件を満たせば、残された妻は「寡婦年金」を受給できます。寡婦年金は、夫が受け取るであろう「老齢基礎年金」の4分の3で、妻が60歳から65歳になるまでの5年間受け取れます。

 

考えるべきは生きている間のお金

もらえると思っていた遺族年金は、子どもがいないと受給資格がない、受給額が子どものいる人に比べると低い設定になっているなど、事前に知っていないとイザという時にショックを受けるかもしれません。それでも結婚している妻側には遺族年金の受給が多少ありますが、独身だと遺族年金の恩恵はあまり受けられません。

こんな時は、子どもがいる人が羨ましく思えてしまいますが、遺族年金は子どもがいても18歳以上になると、子どもがいない人と同様の扱いになるため、遺族年金は子育て支援のための年金とも捉えられます。

結局、死亡保障は自分が亡くなり、残された人が経済的に困らないだけのお金を確保しておくもの。既婚・未婚を問わず“おこなしさま”は子どもがいないので、死亡保障額を高額にする必要はないのです。自分が死んだ後のことにお金をかけるより、生きている間に使えるお金を増やしましょう!

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