秀長(仲野太賀)の死後、秀吉(池松壮亮)を破滅に導くのは秀次(山田涼介)か?|直(白石聖)がつないだ命のバトンに涙【NHK大河『豊臣兄弟!』42話】

2026.11.04 LIFE

*TOP画像/秀次(山田涼介) 秀吉(池松壮亮) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』41話(11月1日放送)より(C)NHK

 

戦国時代のど真ん中を舞台にした『豊臣兄弟!』(NHK総合ほか)の主人公は仲野太賀が演じる豊臣秀長。兄弟の絆で“天下統一”という偉業を成し遂げた豊臣兄弟の奇跡を描いた大河ドラマ『豊臣兄弟!』(NHK総合ほか)の第42話が11月1日に放送されました。40代50代働く女性の目線で毎話、作品の内容や時代背景を深掘り解説していきます。

 

秀次の提案で北野大茶湯を開催も、秀吉は賊にねらわれ……

第42話「北野大茶湯」には、秀次(山田涼介)が秀長(仲野太賀)に抱く複雑な感情、直(白石聖)が救った少女が産んだ鍋丸(福田龍世)を通して命の巡りが描かれていました。

 

秀吉(池松壮亮)は日の本の大半を掌中におさめ、完成したばかりの聚楽第(じゅらくてい)で「もはや 戦のための城は要らぬ」と、安堵した表情を浮かべていました。しかし、九州エリアでのキリシタン勢力の拡大など国内における問題はまだまだあります。

 

そうした中で、秀次は聚楽第の完成祝いとして、茶会の開催を提案しました。秀吉は乗り気である一方、秀長は「今は まだ その時ではない」ときっぱり述べます。その理由について、「今 大名たちを呼びつけるのは わざわざ不満の種をまくようなものじゃ」と話します。

 

最終的に、秀吉は北野大茶湯を開催しました。この茶会は身分を問わず誰でも参加でき、黄金の茶室で秀吉とともに茶を味わうことも、千利休(吉岡秀隆)が入れた茶を味わうこともできました。茶会の後、秀吉が秀次と黄金の茶室で一息ついていると、秀吉を狙った賊を石田三成 (松本 怜生)が捕らえました。この賊はキリシタンで、伴天連追放令の恨みから、秀吉の暗殺を試みたのです。

秀次(山田涼介) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』41話(11月1日放送)より(C)NHK

秀長が懸念したとおり、盛大な茶会は時期尚早でした。当初は10日間のはずが、取りやめに。もし、秀吉が秀長の助言を聞いていれば、賊は秀吉の家臣らに殺されず、秀吉も身の危険にさらされることはなかったでしょう。

 

秀長、思いがけぬ“ご縁”に涙

この混乱の中、秀吉と秀長は幼馴染の玄太(高尾悠希)と再会を果たします。玄太は直が救った少女が産んだ鍋丸を連れ、訪ねてきたのです。父母も、母の死後に保護者となった坂井喜左衛門(大倉孝二)も亡くなり、鍋丸に行く当てがないため、玄太は少年の幸せを願い秀吉と秀長のもとで奉公させてほしいと頼みます。

玄太(高尾悠希) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』41話(11月1日放送)より(C)NHK

秀長(仲野太賀) 秀吉(池松壮亮) 鍋丸(福田龍世) 吉房(上川周作) 玄太(高尾悠希) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』41話(11月1日放送)より(C)NHK

秀吉と秀長の暮らしが大きく変化したように、中村で暮らす人の暮らしにもさまざまな変化がありました。村のリーダー的存在となった玄太、娘が助けた少女を見事に育て上げた喜左衛門……。彼らも豊臣兄弟に負けず劣らず、必死に生きていたのです。そして今の中村には、この地域で絶大な権力を握る喜左衛門はいません。

 

個人的に印象的だったのが、喜左衛門の決断です。直が救った少女に落ち度はないものの、我が娘の死の原因となった人や、その人が授かった子まで自分の子のように面倒をみるのは、誰にでもできることではありません。人によってはその少女に恨みの矛先が向かうこともあるでしょう。

 

また、慶(吉岡里帆)の決断もあたたかなものでした。慶は「お直さんが助けた命が 巡り巡って 殿のところに帰ってきた。こんな すばらしい縁はありませぬ」と喜び、鍋丸を奉公人ではなく、養子として迎えるように秀長に提案しました。秀長は慶と元夫の子である与一郎(大西利空)に我が子同然の深い愛情を注いでいました。そして今は、慶が秀長の婚約者・直が命がけで救った少女の子・鍋丸に愛情を注いでいます。愛情が巡り巡って返ってくる、美しい循環が描かれていました。

 

秀次が豊臣政権破滅の最大の火種か?

本回には、秀長に忠告を寄せた人物が二人いました。彼らの言葉はただの助言ではなく、秀吉と秀長の将来に忍び寄る暗雲と、二人の間に生まれつつあるすれ違いを静かに、しかし鋭く予見するものでした。

 

その一人が、利休です。利休は秀長と茶会で二人きりになると、不安な表情を浮かべて、忠告を送ります。

秀長(仲野太賀) 利休(吉岡秀隆) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』41話(11月1日放送)より(C)NHK

「これまでと違うんは もう お二人は 夢をかなえてしもたことやなあ。これまでは 天下人っちゅう的に向かって 同じ方を向いとった。倒さなならん敵の方を向いとった。今は お互いを見るようになってしもうた。これまで見えんかったもんが 見えるようになってしまうかもしれませんな」

 

秀吉と秀長は侍になる前から喧嘩をしつつも、深く結ばれた兄弟でした。しかし、互いに知り尽くしているように見えても、必ずしもそうではありません。中村時代、秀長は秀吉が家を離れた事情すら誤って捉えていました。

 

また、家族であろうが仲間であろうが、同じ目標と敵を共有する間は相手の欠点が見えにくいものですが、目標が成就し、敵が消えたとき、初めて思いもよらぬ側面に気づくものです。

 

もう一人は、足利義昭/昌山(尾上右近)。幕府による天下静謐を目指しながらも、織田信長(小栗旬)への憎しみに囚われ、京から追放された義昭は、秀吉の将来を過去の自分に重ねて案じます。

秀長(仲野太賀) 義昭(尾上右近) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』41話(11月1日放送)より(C)NHK

「関白殿下は 今や誰も止めることのできぬ 力を手に入れた。大した男よ。されど その力は…人を変えてしまうやもしれぬ。気付かぬうちに 目がくらんでしまうのじゃ。やっかいなのは その力は 周りの者も変えてしまう。その周りの声に惑わされて 答えを間違えてしまう。わしにとっては 光秀だけが 変わらぬ忠臣であった」

 

この台詞の直後、場面は秀吉と秀長が密かに通じ合う場面へと移ります。秀次は「佐々殿について いささか気になることがござりまする」と、秀吉に話を持ち掛けていました。“気になること”の中身は視聴者には明かされませんでしたが、本作のラストでの秀吉の決断を見る限り、秀次は佐々成政(白洲迅)にとって良からぬことを秀吉に吹き込んだと思われます。

秀長(仲野太賀) 成政(白洲迅) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』41話(11月1日放送)より(C)NHK

義昭は「あやつと たもとを分かった時に わしは もう力を失っておったのじゃ。お主は 決して関白殿下から離れるでない」と、秀長に忠告していました。秀長は秀吉を支えることを改めて誓うものの、史実では秀長は北野大茶湯からおよそ4年後に病死します。本回の描写と史実を重ね合わせれば、秀吉は秀長を失った後、周囲(=秀次)の声に惑わされ、豊臣政権そのものが徐々に揺らぎ始めていく——そんな未来が静かに予告されているように感じられました。

 

史実では、秀吉と茶々の間に生まれた子に跡継ぎの座を奪われ、秀吉に謀反を企てた罪を着せられ、切腹を命じられた秀次。オリジナル要素の強い本作では、秀次が豊臣政権崩壊の大きな火種となる可能性は十分に考えられます。

 

キリスト教徒を追放した秀吉は、本当に「残酷」だったのか。つづく

▶火薬1樽と若い男女50人を交換、西洋の商品目当てで入信する大名……。秀吉の「バテレン追放令」は残酷なのか。戦国時代の貿易とキリスト教布教の闇 
では、戦国時代における「キリスト教の布教」についてお届けします。

 

 

スポンサーリンク

スポンサーリンク

スポンサーリンク