美容は食生活から!50代の「貧」の体から、「富」の体にするには? 美容賢者の元気習慣

美容家として多方面で忙しい毎日を送る小林照子さんは現在、80歳。

いつも明るくハツラツとして、肌や髪も健康的な美しさをたたえている。何歳になっても美と健康を

両立させながら充実した人生を送る秘訣は、食生活を大切にする姿勢にあった。

 

小林照子さん  美容家

プロフィール こばやし・てるこ 1935年、東京生まれ。コーセーで初の女性取締役を経験後、91年に退社して
「美・ファイン研究所」を設立。現在、「フロムハンド」メイクアップアカデミーや青山ビューティ学院高等部の
校長を務めて後進を育てながら、メイクアップアーティストとして幅広く活動中。

〝美〟には食による内側からのケアも不可欠

 

小林照子さんは、身のこなしが若々しく、肌も驚くほど艶やか。

「私が健康なのは、50歳を目前にした頃に、食生活を見直したからかもしれません」

40代の後半に、胆石が激痛を引き起こし、胆のうの摘出手術を受けた。術後、担当医は健康に関するこんなアドバイスをした。「あなたの体は、ほとんど贅肉のついていない『痩せ度3』ですね。40代まではフットワークも軽くて、それでよかったかもしれない。でも、50代からは体にも貧富の差が出てくるんです。“貧しい体”は50代以降はだめ。食べ物で“富の体”をつくりなさい」。これを聞いた小林さんは、もっと自分の食生活に気を配ろうと考えたという。振り返ってみれば、食の大切さは小さな頃からずっと感じていた。

「子ども時代は戦争で食べるものがなかったので、いつもひもじい思いをして、貧血で倒れたりしました。10歳のときに山形に疎開すると、おいしいお米をおなかいっぱい食べられて本当に嬉しかったし、食べ物ってありがたいと思ったものです」

疎開先では、親を助けるため、学校の帰りに寄り道して農家の手伝いをした。農家の台所には釜に炊きたてのご飯、そして牛から搾って鍋で温めた熱々の乳などがあり、それをご馳走になることも。

「炊きたてのご飯に、温かい牛乳をかけて食べると、おいしくて、おいしくて。栄養が体全体に、じわっと行き渡るというのを実感しました。栄養のあるものを食べられるようになったら、カサカサに乾燥していた肌もしっとりして、痛がゆかった霜焼けやあかぎれも、きれいに治った。子どもながらに、食べ物には力があることを感じたんです」

やがて大人になると、化粧品会社に就職。メイクアップアーティストとしての腕を磨きながら、美容の研究も進めた。

「研究をすればするほど、『食を伴わせなければ、本当の美しさにはたどり着けない』ということが明確になっていきました。マッサージをしたり栄養クリームや乳液をつけたりするだけでなく、食べることによって内側からもケアをする。美容には、外と内、双方向からの心遣いが必要だということですね」

健康や美容のために食は大切。それは十分にわかっていたけれど、30代、40代は、仕事や子育て優先で、自分自身の食生活への気遣いはあと回し。そんなときに胆のうの手術を受けて、医師に「50代からは富の体づくりを」と言われたのである。

「先生には、バランスよく食べることや、和食がいかに体にいいかを教えてもらいました。それからは、体のことを考えながら食事をするようになったんです。日本の風土が生んだ旬の食材を食べ、季節のリズムやエネルギーを自分に取り込むことで、体だけでなく心も健やかになることを学んだんですよ」

体重も10キロ近く増えた。その体を、ここ20年ほどは維持し続けているという。

「10キロは、ちょっと増えすぎなんですけどね。でも健康だから、いいかなと思っているんです(笑)」

現在も仕事で毎日多忙だけれど、食べるものには気をつかっている。 「自分で料理するときは、愛情をもって作るをモットーにしています。食材や食品を取り寄せるときも、『ああ、この人は心を込めて作っているのね』と感じられるようなものを選ぶことに。作り手が心を込めたものはおいしいし、体自身も何か大事なものを受け取るような気がするんです。私はメイクアップアーティストとして、手のひらや指で直接、人の肌に触れることが多いのですが、“気”や“愛情”は手から伝わるように思えます」

食材が、生産者をはじめ、いろいろな人の手を経て自分のもとに来ていると思うと、自然に感謝の念も湧く。

「それに、私たちは魚や野菜など他の生き物の命をもらって生きているので、『ありがとう』『命をいただきます』という気持ちも忘れたくないと思っているんです」

いつも食には高い関心を寄せ、きちんと食べていることが、今の小林さんの健康のもとといえそうだ。

「健康診断で血圧やコレステロール値に少々問題があっても、あまり気にしません。普段から、ちゃんとした食生活を送っているので大丈夫だという自信がもてます。どこか多少具合が悪くても、『寝れば治るわ』と思うし(笑)。とにかく、物事はマイナスに考えないんです。たとえ人間関係で困ったことが起きても、『この出来事は私に何かを学べということなんだわ』と思い、これを乗り越えれば明るい未来があると信じています。何においても、心配しない、クヨクヨしない、悩まないがポリシーなんですよ」

 

(「ゆうゆう」2015年7月号掲載 撮影/橋本哲)

 

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