芸能界に伝わる女優の秘儀・タオル1本でつらい肩こり脱出テク

私も何度か取り上げていますが、体の疲れ・悩みといえばまず挙げられるのが「肩こり」。老若男女も季節柄もほとんど関係ないようなものとはいえ、とりわけ冬は深刻ですね。寒さに首をすくめてじっとしてしまい、ストレッチすら億劫に……。

そんな肩こりを防ぐ簡単な方法があるのです。必要なものは、ごく普通のフェイスタオル1本!

 

肩こりも声も呼吸も、根っこは「肩甲骨」!

私がボディセラピストになる前、派遣社員として日々パソコンと向き合っていた頃、あるミュージカル女優さんのヴォーカルレッスンを受けていた時期があります。私は音感もリズム感も悪くはなく、歌はどちらかといえば得意なほうだという自負があったのですが、彼女の前ではとんだ落第生もいいところでした。指摘された原因は、呼吸のしかたが下手なこと。短くて浅い、落ち着かない呼吸の原因は、肩甲骨が固くつまっているからだ、とも。

肩甲骨をほぐす、というと、肘を曲げて肩をぐるぐると回したり、鳥が羽をたたむように肩甲骨をぐっと寄せたりするイメージがありますが、とことん固くこわばってしまっている人というのは、それだけではあまり効果が出ません。あくまでも自分の狭い可動域の中でしか動けていないことにも、左右のアンバランスにも、気づきにくいまま何となく動かして、ほぐした「つもり」になっているだけですから……。

そこで、1本のタオルを使ったストレッチを教わったのです。

必要なものはタオル1本!そのメリットと面白さとは?

【タオルストレッチの5プロセス】

1・フェイスタオルの端を両手に持ち、水平に構える

2・ひじを曲げずにゆっくりと頭の上へ伸ばす

3・頭の真上まできたらひじを下に引き、タオルを後頭部までまわす

4・そのままゆっくりと腰まで腕をおろす

5・今度は、1~4を逆回しにしてみましょう!

さあ、いかがでしょう?

ぴんと張ったタオルが、後頭部あたりで止まってしまっていませんか? あるいは、小さい子供が着替えの練習でもしているように、腕や体をモジモジ、ニジニジと懸命に動かしてもがくようにしながら、やっとの思いで背中を通過したでしょうか。(教わった当時の私の姿です。)

無理~!と笑ってしまった、手ごわい肩こり持ちのあなた、どうしてもフェイスタオルでは難しい場合は、少し長めのスポーツタオルから始めるのもアリです。肩甲骨の可動域が広がって、途中で引っかからずに頭の上から背中に回せるようになれば、スポーツタオルをフェイスタオルに切り替え、さらに持つ位置を内側寄りにするなど、少しずつ短くしていけばいいのです。

「何だ、そんなことか……」と思われそうなほど単純で簡単なストレッチですが、知っていることと毎日続けることは大違い!

このストレッチのメリットは、

1)タオル1本さえあれば、わずかなスキマ時間でも、場所を選ばずすぐにできる

2)左右のどちらが動きづらい(=こりやすい)のか、無意識の癖のようなものが体感としてわかる

3)タオルという同じ長さのものを使うことで、可動域が広がった・動きがスムーズになったなどの変化や、
その日のコンディションを実感しやすい

などがありますが、なんといっても「違いがわかりやすい」ということがいちばん!

頭痛がしそうなほどひどい肩こりの時も、少しずつスムーズに動くようになるのを感じやすいですし、逆にサボると、何だかぎくしゃくして動きづらいという事実がごまかしようもなく迫ってきます。それがいちばんの面白さであり、飽きない理由です。

それでも「つい忘れてしまう」という人は、お気に入りのタオルをテーブルや作業デスク、ベッドの枕元など、目につくあちこちに置いておきましょう。意外と邪魔になりません。目に留まるたびに両端を握って背中に回す習慣がつけば、いつのまにか肩こりが軽くなり、ついでに呼吸も深く落ち着いて、声も良くなる……かもしれませんよ!

ひたむきに働くあなたへ、おまけの話

 

当時まだ舞台に立つことなどしていなかった「ド素人」にさえ真剣に厳しく向き合ってくれた、恩師とも呼ぶべきその女優さんは、その後まもなく育児休業に入ってしまったため、もう何年も会っていません。

彼女からは、このタオルストレッチや、歌や音楽の話だけでなく、とても印象深いことを教わりました。

「技術は、ありき。その先に抱えるべきは、愛だ」。

これは彼女が、美容師をしている友人への賛辞として書いたものだったのですが、私がずっと、ボディセラピストとしても役者としても道しるべにしている言葉でもあります。経験を積み、「高い技術」を目指すだけでも、ただまっすぐな「熱い気持ち」を持ち続けるだけでも、不十分なのだと……。

美容師、セラピスト、あるいは医療、介護、保育に関係することなど、人の体に直接触れる機会の多い職業であれば尚更ですが、そうでなくても、どんな仕事をする上でも大切なことかもしれないと、あらためて考えたりしています。

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