「子宮を取ったほうがいい」と言われ…私、女として終わりなの?【100人の更年期#31】
一般に、閉経の前後5年を更年期と呼びます。日本人の閉経の平均年齢は50歳なので、45-55歳の世代は更年期に当たる人が多いもの。身体の不調に苦しみ「更年期障害」の状態に至る人もいます。
私ってもう更年期なの?みんなはどうなの?
オトナサローネは同世代の女性100人がいまどのような更年期を迎えているのか、そのあり方を取材しています。(ご本人の年齢や各種の数値は取材時点のものです)
【100人の更年期#31】
48歳、毎日が不定愁訴です
はじめまして、肌育美容家の今泉まいこです。私は美容家としてサロンを運営し、フェイシャルやボディのエステ施術も手がけています。
現在48歳、ちょうど更年期の真っ只中。
はっきりとした更年期障害症状に苦しみ、「毎日が不定愁訴との闘い」と言ってもよいくらいの日々を送っています。
振り返ると、私の人生で婦人科トラブルはこれが2回めです。
1回目のトラブルは26歳、卵巣嚢腫
1回目は26歳の時でした。友人に「お腹張っているね」と言われ、かかりつけの内科医に紹介状を書いてもらい初めて婦人科を訪ねました。
エコーと内診の結果、診断は「卵巣嚢腫」。右の卵巣にグレープフルーツ大の嚢腫ができているとのこと。
ですが、20代の私には、「卵巣嚢腫」がピンとこなかったのを覚えています。
良性のものか悪性のものかは手術をしなければ判断ができないとのことで、すぐに入院しました。
実際に入院するとふわふわしていた気持ちは一転。20代から60代までの婦人科系の病気を抱えた女性たちと同室で過ごすうちに、不安がよぎりはじめます。
「同室の女性たちから比べれば軽い病気なのかもしれない、でも万が一悪性だったら?」
26歳の若さで卵巣嚢腫という聞いたこともない病気を抱えた自分。勝手に脳内で「雌として終わり」とレッテルを貼り(同じ病気を抱えるみなさん、全然そんなことはないのですが!)、2週間の鬱々とした入院生活を送りました。
腹腔鏡での手術の結果、無事に卵巣を温存して嚢腫だけを切除。病理検査の結果も悪性ではなく、力が抜けるほど胸をなでおろしたことを覚えています。
この気持ちに寄り添うのがきっと私の天命
当時、会社勤めをしていた私ですが、この2週間の入院は転機でした。
一言でもいいから誰かに「大丈夫」と言って欲しかった。
そんなことで「女性」じゃなくなるわけじゃないという励ましが欲しかった。
今後も同じ病気にかかる人たちが感じるこの苦しみを、理解できる私こそが癒したい。
そんな願いを実現できるのが「ソシオエステ」という仕事でした。社会と繋がれない入院患者や高齢者に「美容」で寄り添うのです。
退院した私は、会社勤めをしながらさまざまな美容学校に通い、40歳のときに自分のサロンを開きます。
42歳、生理の出血が止まらなくなり…今度は子宮筋腫
次の変化は42歳の時。
検診で急激に肥大している子宮筋腫があると警告されていましたが、手術がイヤでそのまま放置していたのです。
ところが、生理のあと出血が止まらなくなりました。30分おきにナプキンを変えなくてはならないほど。
そして、ほどなく恐ろしいほどの大量出血に見舞われました。
すぐに大学病院に駆け込んで検査を受けたところ、結果は「14センチと8センチの子宮筋腫」。
病院に行かずグズグズしていたため巨大化し、その裏にも8センチの筋腫が隠れていたのです。
ドクターは冷静に「手術」の一言。
ただし「あまりに大きいのでまずはホルモン治療をしましょう」という提案を受けました。
ホルモン治療での疑似更年期。「本番はもっとツライの…?」とおののく
私のホルモン治療は、月に1度腕に筋肉注射をし、女性ホルモンを止めることで筋腫を小さくするものでした。保険適用でも1回1万円を超える高額な治療。
この治療では人為的に生理を止めるので、身体は更年期と同様の状態になります。なので、大抵の人は自分の更年期に起きるトラブルを先取りして感じることができます。
最初の注射の次の日からめまいが始まり、次の日は頭痛、さらにのぼせ、耳鳴り、吐き気、動悸と今までに体験したことのない症状が。
毎朝、目がさめると「今日はどんな症状なんだろう…」と落ち込みながら、治療のために耐え忍びました。本格的な更年期はこれが何年も続くのかと思っただけで「無理!」と叫びたくなる辛い日々です。
ほうほうの体で半年を過ごし、筋腫の大きさを測ったところ、14%縮小しているとのこと。
あのつらい疑似更年期にのたうちまわった挙げ句に「たったの14%!」と白目を剥きましたが、ドクター曰く体積がこれだけ減ると手術がとても楽になるとのこと。その後無事に腹腔鏡手術に進み、成功しました。
「子宮を取ったほうが楽になる」という助言に地味に傷つく
ですが、実はいちばん辛かったのは、疑似更年期の症状でも手術の痛みでもなく、ドクターたちの言葉です。
「年齢も年齢だし子宮を取ってしまった方が楽になりますよ」。
最初の検診、次の担当医、執刀医、全てのドクターから言われました。
決して私を軽んじて言っているわけではなく、むしろ子宮ガンのリスクを減らすための助言なのですが、「なにそれ?子宮筋腫の人には必ず言わなくちゃいけないマニュアルがあるの?」と思うほど淡々と告げられます。
42歳という年齢もあって、またもや「はい、雌として終わりです」と宣告されたような気分になりました。
働きはよくないかもしれないけれど、子宮や卵巣は女性らしさを作ってくれる特別な臓器だと感じます。もう少しだけ気を遣って言って欲しかった…。
ナーバスになっていたせいもあり、病院の帰りに涙が溢れました。
接客する仕事にホットフラッシュは本当につらい。46歳は寝て過ごす
いっぽうサロンは順調で、フェイシャルやボディのエステ施術にてんてこまい。そんな私が本格的な更年期と向き合ったのは46歳のときでした。疑似更年期の体験からも、きっと辛いであろうと予測はしていたのですが……。
ある日突然、施術の真っ最中に大量の汗に襲われました。
私だけ大雨に降られたのかというくらい汗で全身がずぶ濡れになっています。
額と首回りが一番ひどく、施術後は慌ててお客様のお着替えの間に自分も着替えました。
何事もなかったかのようにお見送りをしながら、「これがホットフラッシュ?擬似更年期との時には全く起こらなかったのに!こんな滝汗では接客ができない!」とかなりうろたえました。
何が困るかというと、エステ施術はお客さんの上に覆いかぶさる機会が多いということ。下手をすると汗がお客様の肌の上に滴り落ちてしまいます。美を追求するエステでそんなこと、死活問題です。
なんとしてでも汗を止めねば。いろいろ調べて、「舞妓さんの汗バンド」という脇の下と胸回りを締め付ける商品を使うようになりました。
汗バンドをすると首から上の汗は多少止めることができます。カウンセリング中のホットフラッシュには対応できました。
ただし力を入れて身体を動かす施術では気休めにしかなりません。ボディのエステ施術は体力勝負なのです。
額や首の汗が出ないようにバンドをしめて、お客様がうつ伏せになった瞬間に頭にタオルを巻き……でも、そんな根性論はそうそう続けていられません。
その後、私が一番感じるようになった更年期の症状は「言いようのないだるさ」です。
なんというか、ダラダラとかったるいのです。
何をするにも面倒で疲れてしまい、打ち合わせであろうが施術であろうが1日にこなせるのは1件のみ。
電車の乗り換えすらつらくて、自分のサロンにもたどり着かないという始末。
そうこうしているうちに心臓がゴロンと回転するような動悸、耳元に蚊が住んでいるのでは?と思うほどの耳鳴り、右へ右へと向かってしまう目眩などが次々と起こり、外出自体が怖くなってしまいました。
サロン経営といっても一人サロンですので、自分が稼働できなければ店休にする以外にありません。
断腸の思いで仕事をセーブし、気合を入れて施術に出かけては、次の日は寝込むという日々を繰り返しました。46歳の半分はベッドで寝込んでいた覚えがあります。
対策は、一つの症状に一つずつ。焦らず付き合うように
それから2年。現在はどうしているかというと「無理せず自分を甘やかしながら過ごす」を心がけています。
耳鳴りや目まい、一つ一つの症状に過剰におびえてしまうと、またダメだった、症状が出てしまったと毎日毎日悲観を繰り返し、そのうち前向きに人生を楽しむ気持ちがどんどん萎えてきてしまいます。
病院に行っても医師に「更年期ですね」と言われて片付けられたことがありませんか? そこで引き下がらず、1つ1つ解決したいことを相談するようになりました。
「まるっと解決することはないのだな」と自分に言い聞かせつつ、動悸がひどい時には救心、気分が落ち込む時にはエッセンシャルオイル、睡眠が浅い時にはCBDオイル、力がわかない時にはプラセンタ注射、不安が止まらない時にはフラワーレメディと一つ一つに対策を練るようになりました。
この上、ヨガや筋トレは、通うと思っただけで「かったるい、面倒くさい」になるので自宅で動画を見ながら自分にあった体の動かし方で乗り切っています。
まだまだ更年期の卒業までは時間がかかりそうなので、抗うのではなく受け入れようと画策中の日々。
生涯でティースプーン1杯分しか出ないと言われている女性ホルモン、せっかくだからとことん付き合ってやる!くらいの覚悟でこれからも過ごそうと思っています。
【編集部より】あなたの更年期はどうですか?悩み、困りごとや、行っている対策を教えてください。回答はこちらから
スポンサーリンク