更年期が「終わったあと」はどうなるの?59歳、駆け抜けた50代|100人の更年期

一般に、閉経の前後5年を更年期と呼びます。日本人の閉経の平均年齢は50歳なので、45-55歳の世代は更年期に当たる人が多いもの。身体の不調に苦しみ「更年期障害」の状態に至る人もいます。

私ってもう更年期なの?

みんなはどうなの?

オトナサローネは同世代の女性100人がいまどのような更年期を迎えているのか、そのあり方を取材しています。(ご本人の年齢や各種の数値は取材時点のものです)

【100人の更年期#13】
田中みずきさん(仮名)59歳、出版社勤務。29歳で長男、36歳で長女を出産。
転職や育休を経験しながら育児書籍や雑誌を編集。
長男はすでに家を出て独立し、現在は夫と長女の3人暮らし。

 

更年期はすっかり卒業。いま快適に生きています

現在59歳の田中さん。丁寧な仕事ぶりに尊敬が集まるベテラン編集者です。サバサバとした姉御肌の彼女にも、更年期の悩みはあったのでしょうか……?

 

「正直、更年期はそれほどつらくなかったの(笑)。45歳のとき生理不順が始まり、47歳から49歳にいちばん症状が出ました。

 

その後、50歳になるくらいで閉経しました。ちょっと早いかな?と思ったけど、そんなもんかな、と」

 

今から10年ほど前の話です。当時、周囲と情報共有はできたのでしょうか?

 

「同僚とはあまり更年期の話はしなかったな。大学時代からの友人たちとも、最近どうよという話はしたけれど、細かなつらさを切々と話すというようなことはなかった。

 

私はそれほどつらくなかったし、類は友を呼ぶのでしょうね、私の周囲にもあまりひどくなる人がいなかったの。悩みがあれば相談に乗ったと思うけれど」

 

ですが、まったくの無風ではありませんでした。

 

「ひとりだけ、もともと若いころから糖尿病を持っていた子が、抑うつになって、育児が一段落した54歳で自死してしまいました。

 

音信が途絶えていたので、本当に更年期が引き金かもわかりません。が、家族仲もよかったし、お金に困っているわけでもなく、持病はあったけれど生きていくのにどうにもならないような条件ではないように見えました。それでも追い詰められてしまったんですね」

 

「ホルモン剤注射」がものすごく効いた。病院にはかかるべき

 

そんな田中さんですが、46歳のとき1回だけ、強いホットフラッシュに襲われたそう。

 

「打ち合わせ中にものすごい汗が出て、いま席を立ったらおしっこを漏らしたんじゃないかと思われるほど全身汗まみれになったことがありました。でも本当にその1回くらい」

 

その後、46~47歳にかけては、なんとなく調子が悪い日が続いたと言います。たとえば寝付きが悪く、疲れやすい。疲れも抜けにくい日々でした。

 

「48歳のとき、転機が訪れます。当時雑誌の編集部にいて、ホルモン補充療法を取材することに。東峯婦人クリニックの松峯寿美先生にお話を聞いて、記事のために検査してもらったら、『エストロゲンは減っていないけれど黄体ホルモンが弱いね』と言われたの。『黄体ホルモンは注射一発で効くのよ』、じゃあやってくださいと軽い気持ちでお願いしたんです」

 

そのあとがすごかった、と田中さん。

 

「帰りの電車は座れず、疲れたのでドアによりかかっていました。そのとき、はっきりわかったの。実は私のお腹のおへその周りにはずっと、疲れが浮き輪のようにくっついていたのね。その浮き輪が、すーっと浮き上がって抜けていったんです」

 

注射を打った30分後くらいのことでした。

 

「後日、先生に報告して、すごいですね、これまた調子が悪くなったらできるんですか?と聞いたら、その人次第なんだそうです。1回ですっとテンションが上がる人もいれば、何度も打つ必要がある人もいるそうです。私はたまたま1回でずっとテンションが高くなるタイプだったみたい」

 

精神的な不安感やイライラは出ず、更年期症状全体が軽かった田中さんですが、それでも不眠傾向は出ました。

 

「46歳のとき、寝ようとしてウトウトするとふっと意識が戻るようになりました。あきらめて本を読み始めると4時5時になって。それが周期的にくるようになり、ちょっとしんどかったな」

 

「自分の更年期症状どころではない」この世代を襲う家庭のトラブル

40代を順調に過ごしてきた田中さんですが、48歳のとき、予期せぬ事態に陥ります。

 

「突然、当時中2の娘がグレてしまったんです。中2の春から冬にかけては、本当に生きた心地がしませんでした」

 

当時は前略プロフ全盛の時代です。子どもはあの手この手で親の目をかいくぐってはネットを使い、フィルターを破り、連絡を取って誰かの家にたむろしては、門限を破り、よからぬ下心を持った大人と会い……

 

「当時の娘の友人たちは、その後、みんな16歳、17歳で子どもを産み、シングルになったの。それはそれで、過ぎてしまえば個人の自由だと思えますが、当時明らかに苦労するであろうそのルートへ突き進む娘に、『あなたの自由を尊重する』とは言えなかった」

 

 

毎日毎日携帯をチェックし、フィルター破りをしていないか確認し、門限に帰宅していなければ心当たりの家に自転車が停まっていないか1軒ずつ調べ……。

 

「だから私の更年期は、自分の身体ではなく、娘との戦いでした。娘がそうなると、自然に夫婦仲も険悪になります」

 

やがて家庭の方針の意見も分かれるようになり、夫はついに、自分がいると娘がダメになる、離婚すると言い出したのだそう。

 

「そんなことしたら娘は自分のせいだと思ってよけいグレる、絶対やめてくれと夫を必死で説得しました」

 

家で過ごす時間が相対的に少ない。働く女性が直面しがちなこと

ここまでの話をサバサバと進めてきた田中さん。そのからりとした印象とは違い、もとはうつうつ考えるタイプだと言います。

 

「なんで娘は、これから花も実もある人生なのに、わざわざ自分からドブにすてるような真似をするんだと腹立たしくて仕方ない。そのいっぽう、この人生の価値がわからないように娘を育ててしまったのは自分だとつらつら反省もする。毎日毎日、その繰り返しでした」

 

ですがそれもこれも、働く女性の家庭ならば起きがちなことかもしれません。

 

「娘が小学校5年のとき、会社に電話をかけてきたことがありました。いじめられているから先生に話をしてほしいと言うんです」

 

その日どうしても手を離せない仕事があった田中さんは、駅前で会うことに。話しを聞くと、クラスメイトから巧妙に仲間はずれにする仕打ちをうけていたのだそう。

 

「でも、娘の言うこともどこまで本当なのかわからないし、子どもの喧嘩に親が口出ししたくない。お母さんはいつでもあんたの味方だけど、今日聞いた内容だけで先生にお話したりはできないと話したら、わかったと帰っていきました。ですが、最近になって、成人した娘に聞いたら、あのときお母さんはなんで私の味方をしてくれないんだと絶望していたのだそうです」

 

そのせいでしょうか、今でも自分は結婚後は仕事をせず、家にいたいと言われるそうです。

 

「家に帰るとお母さんがいる日が年に何回だけあった。ただいまとドアを開けてお母さんがいるとそれが舞い上がるほどに嬉しくて、楽しかった。だから自分に子どもができたら、家にいてあげたいんだと言われます」

 

40代までは駆け抜けたけれど、50代は後悔ばかりだった

 

「更年期世代って本当に、家族にいろいろなことが起きます。子どもの思春期、親の介護、夫のリストラ。更年期以外の自分のまわりの状況がいろいろ変わります。それに飲み込まれると、更年期はつらいんだろうね。

 

自分のことだけ考えていればいい20代なら、自分の身体の辛さだけで済むでしょうね。でも、50歳前後の女性をとりまくいろいろな状況って、本当にしんどいものがあるんですよ。

 

子どもがいないならいないで、親の老後をどうする、そもそも自分の老後はどうなんだと考える時期になるし、ただただお気楽には過ごせない世代です。

 

私、20代から40代までは後悔もないのですが、50代は後悔ばっかり。40代は駆け抜けたけれど、50代はいろいろなことがぱっとしなかった。

 

とにかく自分の力では解決できないことが多すぎました。家族の、周囲のことのほうが大きくて、自分はふんばるしかなかった。娘の件が落ち着いたあとも、せっかく大学を出たのに自分探しを始める息子、老いてきたからと隣に越してくる両親、仕事が減って自信を失う夫……自分ではどうにもならないことが次々に起きました。

 

でも多かれ少なかれ、女性の50代はそういうことが起きやすいんだと思います。純粋に体のことだけではなく、そういうストレスが症状を悪化させるんでしょうね」。

 

最後に。でもね、生理がなくなるとラクよ!

ですが、更年期のあとはいいことがある、と田中さん。

 

「あなたね、生理がなくなると楽よ! 女性ホルモンは減るし、身体のしんどさは出るけど、こればっかりは、極楽じゃー!と思うわよ。ナプキンを持って歩かなくていいし、まあ楽ちん。私、もう生理があったときのことなんて忘れちゃった!」

 

今でも大学時代の友人とは年に1回温泉に行くそうですが、実は今日は……という人もいなくなったそうです。

 

「女性は、更年期を抜けると元気になると言うけれど、本当にそのとおりでした。更年期時代の渦中は大変かもしれないけど、そのあとがとってもとっても楽しいから、ぜひ楽しみに待っていてください!」

 

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