年収5000万円の金持ちがそれでも「チェーン居酒屋」に行く理由
ぼくは親のすすめで公務員試験の勉強を始め、いくつか併願して、合格した中から東京国税局を選びました。
結果が出た頃には、就職活動の時期は過ぎています。試験を受けて不合格でも、今更、エントリーシートを受け付けてくれる企業は少ない。
だから、必ず公務員になるために、みんな併願します。ぼくもそうでした。
国税局に入ったのはたまたまです。
それでも、今、こうやってお金の話をするようになったので、良い選択だったなと思います。
年収5000万円の人の誘い方
年収5000万円の人が食事に誘ってくれることがあります。
アルバイトをしていた頃と違って、もう、自分で好きなだけ好きなものを食べられるようになったので、その人の話を聞きたいな、と思わない限り、会わないようにしています。
ご飯が無料で食べられることより、有意義な時間を過ごすことを優先したい。
歳をもらうと考え方が変わります。
でも、中には断れない誘いがあって、それがぼくを悩ませています。
「倉田さん、食事に行こう」
と電話が来ます。今回取り上げるようなお金持ちは、いつも電話で誘ってきます。もちろん、「今、大丈夫?」とエクスキューズすることはありません。事業を成功させてお金を持つと、無遠慮になるようです。
承諾すると、LINEで店の名前と住所が送られてきます。
食事の誘いなので、夕食を取らずに、臨場しますよね。そうすると、ホステスさんのいるクラブなんです。ご飯は食べられない。
「何も食べないんですか?」と聞くと、「食べない」と言います。「食事に行こう」という誘いは「会おう」という意味だったようです。お金持ち特有の乱暴な誘い方です。
ぼくはお腹を空かせて来てしまいました。21時から24時までクラブにいる間、チョコレートとビスケットで飢えをしのぎました。
よりよい時間にするためのぼくからの唯一の要求
それから、乱暴な誘い方をしてくるお金持ちには、いつも警戒しています。
「食事には行きません」とはっきり言えればいいのですが、諸事情によりそうもいかない。彼らは乱暴なだけで、純粋で、優しくて、ぼくのような邪悪さは微塵もありません。お金持ちじゃなかったら、友達がたくさんいて、乱暴な人間にもならなかったと思います。良い人なんです。
可能であれば会いたくはないけれど、どうせ会うのなら、クラブには行きたくない、そして、美味しいものを食べたい。
ただ、こちらから店を指定するのは憚られるので、「おすすめの店に連れて行ってください」と言うようにしました。
ぼくが長い芸人生活の中で編み出したちょうどいい要求です。
「高いお店連れてって」とか「寿司連れてって」とは、相手がお金持ちでも言いづらい。「美味しいもの連れてって」では、相手が食事に興味のない人間の場合は意味をなさないし、美味しいものが食べたいのは当たり前なので、相手はその言葉を挨拶程度に感じるかもしれない。「おすすめの店」なら、他人に推奨できる何かしらのポイントがあるはずです。
味、調度品、サービス、何かしら優れた点に期待します。
食事に興味がない年収5000万円の人たち
多くの場合、その方法で、ちゃんとした店で食事をすることができます。
でも、年収5000万円の人たちは、それだけ言っても、ぼくをチェーンの居酒屋に招くことがあります。それも、予約もせず、適当に歩いて見つけたお店です。
断っておきたいのは、チェーンの居酒屋は全く悪くないということ。
ただ、自分でお金を払っていける場所は、友人と行きます。しこたま気を遣う乱暴な年収5000万円の人と会うのなら、もっとふさわしい場所があるはずです。
どうして、ぼくが、「おすすめのお店に連れてって」と言っても、チェーンの居酒屋に行くのか。
理由は2つあると思います。
一つは、食事に興味がない。日々、美味しいものを食べたい、という欲求がないのだと思います。これは、嗜好の違いなので、仕方がないことです。
もう一つは、ぼくの話を聞いていない。会話をしていると分かるのですが、ぼくのエピソードや意図が伝わっていないのが如実にわかります。始めから聞く気がないんだと思います。話が上手な人は聞くのも上手です。年収5000万円の人は、話が下手なので、聞く能力もない。なかなか真意が伝わりません。
それでは、どうして食事に興味がないのか。
興味を持つことには理由がありますが、興味がないことに理由などありません。
5000万円の人たちは、興味を持つに至る素晴らしい食事の経験が今までになかったのでしょう。
お金持ちには、食事をエネルギーの摂取や他人との交流の場として捉えるのでなく、文化的で崇高なものとして感じてほしいと思います。
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