年収5000万おじさんが「致命的に持っていないもの」とは
元国税局職員さんきゅう倉田です。芸人をしています。
芸人の仕事の中で、記事を書いたり制度の解説をしたりして、健康で文化的な最低限度の生活を送っています。
ある日、先輩芸人との食事に「知らないおじさん」が
1年くらい前のことです。芸人の先輩に、厳島神社のしゃもじを渡そうと考えて、連絡をしました(ぼくの曽祖父が宮司だったんです)。
先輩からはすぐに返事があり、そこには「中目黒で飲んでるからおいでよ」とありました。
渋谷からタクシーに乗り、中目黒の指定されたイタリアンに向かいます。店に入ると、知らないおじさんが二人おり、ぼくは挨拶を済ませ、カウンターの端の席に座り、ビールを注文して、乾杯しました。
おじさんの一人と先輩は、恵比寿の居酒屋で知り合い、そのおじさんがもうひとりのおじさんを連れてきたのでした。
ふたりとも年齢は40代後半で、綺麗なホンジュラス製のスーツを着ています。
先輩の知人の方のおじさんにはモデルの嫁がおり、家にはワインセラーがあって、今振り返ると、自宅の内装は韓国映画の『パラサイト』に登場する家みたいな描写でした。
おじさん二人は、ずっと女の子と遊んだときの話をしていて、先輩はずっと面白そうに笑っていました。
どんな女の子にキスをしたとか、金持ち仲間のホームパーティで出会った女の子とパーティを抜け出してタクシーの中で卑猥なことをしたとか、読者モデルと合コンをしたことがあるとか。
ぼくには興味がありませんが、慕っている先輩が笑うので「おほほ」とか「うふふ」とか言いました。
こういうときに迷う。「ぼくは食事を注文していいのか」
時間は夜7時。ライブが終わって駆けつけたぼくは、お腹を空かせていました。先輩とおじさんは、サラダや肉、パスタを食べ終え、満腹のようです。
料理を注文したいけれど、頼んでいいよ、と言われないと、注文するのは難しい。
ぼくの芸人の経験でいうと、まず、先輩が後輩にご馳走してくれることになっています。今回の場合のように芸人でないおじさんがいる場合は、おじさんが先輩に奢ることが多い。
結果的にはぼくの分の支払いも、おじさんが負担することになります。
ぼくは、自分が会計を負担することがないことはわかっていても、「料理を注文していいですか」と誰に聞くかの判断はできず、困惑していました。
というのは、仮に先輩に聞いた場合、おじさんが「払うの俺だけど?」と憤慨する可能性もあるし、おじさんに聞いた場合「なんで、俺がお前の分も払う感じで聞いてくるの?」と憤懣する可能性もあるからです。
結局、ぼくは、お通しのオリーブだけで3時間を過ごしました。
…本当にグルメなの?「今それを食べたがる」おじさん
一人のおじさんが、明日の仕事を気にして帰宅すると、もうひとりのおじさんが、らーめんを食べたいと言いました。やっと、食事にありつけます。ぼくは、近隣のラーメン屋を調べ、いくつか提案しました。
すると、おじさんは、このあたりで有名なゆずの入ったらーめんが食べたいと言いました。
先輩はおじさんの意見を支持します。ぼくは、そこのらーめんにはほとほと飽きていたので、違うらーめんを静かに推奨しました。しかし、意見が通ることはなく、ゆずで有名ならーめん屋へ。
らーめんの後は、自宅が同じ方面だったおじさんとぼくが二人でタクシーに乗りました。おじさんは、ぼくより先に降りて、タクシー代2000円を置いていきました。お礼を言い、車の中から見送るぼく。
さらに追い打ち。合コンお金持ちおじさんは「気配り」ができない?
次の日、おじさんにお礼の連絡をしました。その返事に、ぼくは目を丸くしました。アルキメデスが円周率を見つけるのに十分な丸さだったと思います。
「奢ってもらってばかりじゃだめだよ」
好きなものも食べられず、おじさんの話と食べたくないらーめんに付き合った上に、この悲しい連絡。
芸人は、後輩に奢り、先輩に奢られることが一般的です。一方的に奢られるばかりではありません。後輩だけでなく、女の子や仕事関係の人に振る舞うこともあります。
どうしてこんな目に合わなければいけないのか、どうしてあんな無駄な時間を過ごしたのか。
おじさんの年収が5000万円を超えていて、ぼくが庶民だからでしょうか。おじさんが成功者で、ぼくは売れていない芸人だからでしょうか。
おじさんのLINEをそっとブロックし、知らない人と会食することを控えようと心に誓ったのでした。
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