もらい忘れ注意!給付金と貸付金「あてはまったらもらえるお金」リスト
コロナ禍の影響で、経済的な困難に直面している人が増えています。経済的な打撃はこれからも続き、むしろ年内は大きくなっていく可能性も懸念されています。
このような状況のなか、公的な経済支援策がとられているのですが、公的制度は自分から申請をすることが必要です。特別定額給付金の10万円も、申請書を提出しなければ受け取れません。しかも、郵送申請方式の受付開始から3カ月以内という期限付き。うっかりもらい忘れないようにしたいですね。
今回は、もらい忘れに注意したい、給付や貸付についてお伝えします。
■公的な給付金・貸付金は、自治体などのホームページでチェック
国や自治体が提供する公的なサービスは、詳細が分かりにくく、電話で問い合わせることもあるでしょう。しかし、給付金は説明も詳しく、公的サイトで確認してからのほうがスムースなことが多くあります。
電話をしなくても解決できる場合もあるので、できる範囲で自力確認し、時間や手間を節約しましょう。
特別定額給付金(一律10万円の給付)
まずは基本の給付金です。2020年4月27日時点で住民基本台帳に記載されている人を対象に、一律で1人10万円の現金給付です。
申請は、マイナンバーカードを利用したオンライン申請と、書類の郵送申請がありますが、郵送のみの対応にした自治体もあります。郵送での申請は、自治体から送られてくる書面に必要事項を記入して返送しますが、この申請書が宛先不明で自治体に返送されていることがあります。
自治体のホームページなどで、申請書の送付が始まった時期からしばらく経っても手元に届かない場合は問い合わせましょう。申請期限は、郵送申請方式の受付開始から3カ月以内ですから、確認は早めがオススメです。
住居確保給付金(家賃の補助)
賃貸住宅の家賃は、収入減に見舞われるとかなりの負担増になることもあるでしょう。
そんな時に思い出して欲しいのが、住宅確保給付金です。
元々は、2年以内の離職・廃業のため、住むところを失う恐れのある人を対象にしていましたが、現在は、休業等によって収入が減り、離職と同程度の方も対象になりました。
給付額は、東京特別区で単身世帯が53,700円、2人世帯:64,000円、3人世帯:69,800円が目安です。
給付を受けるためには、収入などの条件があり、各自治体のホームページなどで確認することができます。
緊急小口資金(休業した自営業者など対象、生活費)
新型コロナウイルス感染症の影響で、生活資金に困った場合の貸付です。
主に休業された方を対象に、緊急かつ一時的生計維持のための貸付が受けられます。学校などの休業や個人事業主の特例の場合は20万円、その他の場合は10万円が上限です。据置期間は1年以内、償還期限は2年以内、無利子で保証人は不要です。
総合支援資金(失業した方などが対象、生活費)
主に失業された方が対象の貸し付けです。生活再建までの間に必要な生活費用の貸付が受けられます。2人以上世帯は月20万円、単身では月15万円を上限に、3カ月まで借りられます。据置期間は1年以内、償還期限は10年以内、無利子で保証人は不要です。
雇用保険の基本手当(通称、失業保険)
勤務先をやめて、その後就職できる能力があるにもかかわらず就職できない場合は、基本手当(通称、失業保険)が受け取れます。条件は雇用保険に1年以上加入していたことなど。自分が加入していたかどうかは、給与明細でも確認できます。加入していた人は、給与から雇用保険の保険料が差し引かれています。
手続きのためにはハローワークへ来所し、求職の申込をします。
病気やケガなどの事情がある場合は、失業保険の給付要件の「就職できる能力がある」には当てはまらず給付は受けられません。しかし、受給期間を延長することは可能。延長の申請は代理人や郵送でも可能なので、当てはまる時には申請を忘れずに。
■公共料金は支払い猶予が利用可能
税金や社会保険料などの納付は期限が定められていますが、猶予や減免が可能です。猶予は貸付ではありませんが、「いずれは払うもの」という意味では似た性質のものです。
経済的に苦しいからと言って、何もせずに払わないままでは単なる滞納。税金を滞納すると延滞税がかかる場合や、社会保険料では保障が受けられなくなる場合がありますので、支払が厳しい時には申請をしましょう。
国税、地方税
新型コロナウイルス感染症の影響で、前年に比べて概ね20%以上の収入減や、財産の損失があったり、本人や家族が罹患したりした場合には、国税や地方税が原則、1年間徴収が猶予されます。
国税には、所得税や相続税などがあり、猶予については、国税局猶予相談センターに相談します。
地方税には、住民税、固定資産税、自動車税などがあり、問い合わせは納税先の自治体です。
国民健康保険、国民年金、介護保険の保険料
収入が一定程度下がった場合、減免や猶予が受けられます。
医療費が高額になった場合には、一定金額以上の分は払わなくてよい、高額療養費制度がありますが、国民健康保険の保険料が未納の場合には受けられなくなってしまう場合があります。また、保険証を持っていないと、医療機関にかかった際の費用は全額自己負担になります。
国民年金の保険料は、収入に応じて保険料の4分の1免除から、全額免除まであります。免除されるとその分将来の年金は下がりますが、免除の月は加入月数にカウントできます。
■民間事業者の対応は?
民間業者でも、支払いの猶予や貸付などを行っているところがあります。無理をして払ったり、いっそ解約するなど早まらず、まずは業者に確認し、情報収集をしましょう。
電気・ガス・水道代、電話料金、NHK受信料
これからの季節、エアコンなどの空調機器は必要不可欠。もしも電気代の滞納が原因でストップしてしまったら命にかかわりかねません。
電気代だけではなく、ガス・水道代、電話料金、NHK受信料といった公共性の高いものについても、支払に困ったらまずは契約している事業者に相談しましょう。迅速かつ柔軟に対応するよう、事業者へ要請が出されています。
住宅ローン
住宅ローンについては、金融庁が金融機関に対してローンの条件変更に柔軟に対応するよう、要請を出しています。
金融機関に何も連絡しないまま滞納を続けると、最悪の場合は住宅が競売にかけられてマイホームを失うことにもなりかねず、そのような事態は何としても避けたいですね。また、1回だけの滞納でも信用情報には記録が残り、その後の借り入れやクレジットカードなどの契約が難しくなる可能性が高くなります。
支払いが厳しい場合は、早めに金融機関に相談しましょう。
生命保険の契約者貸付
契約者貸付とは、終身保険や個人年金保険など、貯蓄性の保険に加入している場合、その保険の解約返戻金の一定範囲内で貸付を受けられる仕組みです。
通常は保険会社が決めた利息がかかりますが、コロナ禍が原因で貸付を受けたい場合、無利息で対応しているところもあります。
契約者貸付は、どうしても返済ができなければ保険を解約し、解約返戻金で返済することもできます。
コロナ禍の影響はこの先も続くでしょう。
公的な経済支援や民間のサービスなど、幅広く情報を集めて、受けられるはずだったものを逃すことのないようにしておきましょう。
タケイ啓子
ファイナンシャルプランナー(AFP)。36歳で離婚し、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職をしたが、その後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務に従事。43歳の時に乳がんを告知される。治療を経て、現在は治療とお金の相談パートナーとして、相談、執筆業務を中心に活動中。FP Cafe登録FPパートナー
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