「ボーナス50万減、もうローンが払えない?」不安で押しつぶされる前に

毎年、夏のボーナスで生活費の補填をしていた人にとって、コロナの影響でのボーナスカットは辛いものです。

 

ニュースでも目にするように、2020年は新型コロナの影響で、業種によってはボーナスが大幅減、もしくはボーナス無しとなったという人もいます。

 

また、テレワークの推奨で残業代が減やゼロになり、毎月の給与の支給額に深刻な影響の出ているケースもあります。

 

今回は、夏のボーナスが大幅減少、このままだと冬のボーナスも期待できず、今後の生活費の見直しにマネー相談に訪れた女性の話をご紹介します。

 

気楽な独身生活、これまでお金の心配をせずに生活してきたのに…

■相談者/A子さん 43歳、独身。大学卒業後からメーカー勤務。転勤はないため、3年前に都内に2500万円の2DKの中古マンションを購入。貯蓄から頭金を入れて住宅ローンは返済期間22年間の20000万円を借り入れ。

 

マネー相談に訪れたA子さんは独身ということもあり、コロナ禍になるまでは家計について考えずに生活してきたとのこと。

 

ですが、コロナ禍により残業がなくなり、毎月約3万円の残業代がカットされました。

 

一瞬「生活費を見直した方がいいかな」という思いが脳裏をよぎったものの、同時に飲みに行く機会もなくなり、交際費もかからなくなったのでそのまま何となく過ごしてきたそうです。

 

ただ、今回ボーナスカットになり、事情は変わってきてしまい、マネー相談に訪れたというわけです。

 

失業しないだけマシ。でも、ボーナスカット後は住宅ローンが心底心配で

A子さんは貯蓄も減らすことなく、今のところ継続しています。ただ、今後、コロナでさらに業績が悪化するであろう業界にいるので、給料への不安が募っています。

 

失業しないだけマシと内心自分を励ましていたけれど、週4日リモートワークとなり残業代がカット、さらにこの夏はボーナスもカットされたことで不安がグンとアップ。

 

今のところ生活は問題なくできているけれど、今後はどうなるのか予測はできません。貯蓄はありますが、老後資金にしたいので、取り崩したくありません。

 

今年は夏の海外旅行、年末の帰省をしないため、支出も減ります。ボーナスカット分は浮いている計算ですが、コロナ禍が落ち着き、移動OKな状況になれば帰省はしたいと考えています。

 

また、支出の中で一番の不安事項は住宅ローンの返済です。

 

住宅を購入するまでは、会社からの住宅手当と自己負担金額で賃貸に住んでいました。ですが、20代の頃から、家賃の支払いがもったいない、いずれ住宅を購入したいと考えていたとのことです。

 

今から3年前、40歳になる直前、いよいよ購入にふみ切りました。住宅ローンの借り入れ額は、万が一給料が上がらなくても無理なく返済できるよう考慮し、また、将来、結婚や介護などでライフプランが変わった時には賃貸に出せる物件を選びました。

 

結果的に、従来負担していた住居費と、毎月の住宅ローンの返済額をほぼ同じにして、返済に追われない手堅い生活を実現していたのです。

 

【コロナ禍の収入の内訳】

毎月の手取り金額:26万円

年間の手取りボーナス:50万円(冬のボーナスは予想)

 

【毎月の支出の内訳】

食費:2万円

水道光熱費:1万円

通信費:1万円

住居費:8.5万円(ローン毎月返済額:7万円/ボーナス月返済額:14万円/管理費・修繕積立金1.5万円)

美容費:2万円

被服費:2万円

生命保険料:3万円

その他:1万円(雑貨・日用品等)

 

【資産状況】

毎月の貯蓄額:5万円

ボーナスからの年間貯蓄額:30万円

現在の貯蓄総額:600万円

あなたにも「あるある」A子さんの見直しポイントとは?

A子さんにはまず、ボーナスありきの家計を見直すことを提案しました。ボーナス月は住宅ローンの毎月の支払いが7万円多くなります。ボーナスの支給が0円と最悪の事態を想定して、ボーナス月の増加分を毎月貯めていくことにしました。

 

つまり、毎月1.2万円をボーナス月の増加する返済分として貯めておけば半年で7万円貯まります。

 

万が一、ボーナスの支給がなければ、その貯蓄をあてればいいですし、ボーナスの支給があれば、今後の緊急事態に備えておけばいいというわけです。

 

A子さんの毎月の支出の内訳をみるとテコ入れできる支出はいくつかありました。

 

あるある1■通信費の「加入時オプション」

リモート中心の業務スタイルになっている今、自宅のWi-Fiは必須です。そこで携帯料金の内訳を確認しました。

 

通話は5分の無料通話、LINE通話で通話料はかかっていませんが、加入時にオプションという形でつけた有料コンテンツの加入がそのままになっています。その他、ほとんど利用していない動画・音楽の定額サービス等を見直すことで毎月2000円節約できることが判明しました。

 

たかが2000円と思っていたA子さんですが、年間で換算すると2万4千円ですよとお伝えすると、案外大きな節約だと気づきました。

 

A子さんのように月々でみると大きな金額と感じなくても年間で見ると大きな金額に感じるという人は少なくありません。

 

あるある2■「なんとなくルーチン化していた」美容費

毎月、ネイルサロンに通っていて6000円かかっているとのこと。リモートワークになった今、毎日1時間もかかっていた通勤時間もなくなり、ネイルサロンに通わなくても自宅で自分でネイルするのも楽しいかもということで、ネイルサロン代は節約することになりました。年間7万2千円と、かなり大きな節約になりました。

 

あるある3■「買ったまま着ない」被服費

おしゃれが好きなA子さんは毎月2万円分くらい洋服を新調します。20代、30代のころに比べると、これでもかなり買わなくなりましたが、それでも時間が空くと会社帰りにふらっとお店に立ち寄り、目についた洋服があれば購入していました。

 

そこで、今年に入って購入した洋服について、使用頻度など質問したところ、1度着たくらいでリモートワークになり、着る機会がないとのことでした。

 

また、A子さんは片づけが苦手ということもあり、クローゼットの中が整理されていないため、気がつけば似たようなデザインの洋服があったり、購入して満足したけれど袋から出してない洋服がそのままだとのこと。

 

そこでA子さんに、クローゼットを整理してもらい、洋服の購入は毎月定期的に必要か考えてもらいました。

 

クローゼットを整理することで、すでに持っているアイテムを着まわせればよく、特に欲しいものはなかったと改めて実感しましした。今後は被服費は1万円以内におさめることにして、年間12万円の節約をします。

 

あるある4■「内容の把握ができていない」生命保険料

A子さんに加入している「生命保険料:3万円」の契約内容をおたずねしたところ、医療保険と死亡保険ということは理解しているものの、詳細までは理解できていませんでした。

 

まず、医療保険は2本加入していて、月額保険料は合わせて6千円でした。

 

がん家系ということで、医療保険は手厚くしていた方が安心とのこと。契約内容を説明して再検討しましたが、A子さんにとっては心理的に必要な内容で、今は無理なく保険料が支払えているので継続していくこととしました。

 

1万円は個人年金。これはそのまま継続します。

 

1万4千円は、10年ごとに保険料がアップする更新型の死亡保険でした。自分に万が一あったときに1人で暮らしているお母さまに死亡保障を残したいとのこと。目的を明確にして、いったん解約し、死亡保険金として2000万円残せるよう月額保険料は4千円におさえる保険に加入。年間12万円の節約ができました。

 

無駄な支出は定期的にチェック

支出ごとに見直してみたところ、年間トータル33万6千円もの節約につながりました。一つずつの費目は小さくても、年間トータルで見たら大きな節約です。

 

A子さんは、住宅ローンのボーナス払い月はボーナスに期待することなく、毎月の支出から捻出していけることができ、安心を得ていただきました。

 

家計を見直すことは、基本的なことでありながら、自分のお金の遣い方から目を背けたくなる気持ちはわかります。

 

しかし、その一歩を踏み出すことで、無駄のなく安心した生活を送れるように願っています。

 

今関倫子 ファイナンシャル・プランナー

外資系保険会社勤務中にファイナンシャル・プランナー(FP)を目指し、AFP(日本FP協会認定)資格取得後、独立系FP事務所に転職。女性を中心に年間のべ200件以上のマネー相談を受け、多くの経験を経て独立。個人マネー相談、執筆、マネーセミナーを中心に活動中。

 

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