「にがしぶ」ではありません。「苦渋」の正しい読み方、知っていますか?
日常でよく見かける漢字であっても、「なんて読むんだっけ?」「あれ、読み方、これで合ってたっけ?」と戸惑ってしまうことがあります。
そこで本記事では、意外と読めない漢字のクイズを出題します。
「苦渋」の読み方、知っていますか?
「苦渋」の読み方は?
「苦い」も「渋い」も、味覚などの表現で一度は使ったことがあるはず。とはいえ、「苦い(にがい)」「渋い(しぶい)」の読み方そのままに「苦渋」を「にがしぶ」と読むのは間違い。
「苦渋」の意味は
1 にがくてしぶいこと。
2 苦しみ悩むこと。また、そのさま。出典元:小学館 デジタル大辞泉
です。
「苦渋」を用いた例には「苦渋の決断」などがあります。
正解は…
「くじゅう」です。
同音語に「苦汁(くじゅう)」があります。
「苦汁」の意味は
1 にがい汁。
2 つらい経験。出典元:小学館 デジタル大辞泉
「苦渋」と「苦汁」は同音語ですが、
- 苦渋 物事が思い通りに行かず、苦しみ悩む様子
- 苦汁 つらい経験、苦い経験
と異なる意味をもつので、うまく使い分けましょう。
なお「苦渋」と「苦汁」を用いた表現に「苦渋を味わう」「苦汁をなめる」がありますが、どっちが「味わう」でどっちが「なめる」がごっちゃになりそうなときは、
- 「渋い」味覚だから「味わう」
- 「汁」だから「なめる」
と覚えるのがおすすめです。
似たような言葉に関連する豆知識
「苦」が用いられている似たような言葉に「苦肉」があります。「苦肉の策」という表現を聞いたことがある人は少なくないはず。「苦肉」単体では
敵を欺くために自分の身や味方を苦しめること。
出典元:小学館 デジタル大辞泉
を意味し、「苦肉の策」は
敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。
出典元:小学館 デジタル大辞泉
とあります。
現代では「苦肉の策」といえば、“苦しまぎれに考え出した手立て”という意味で用いられることがほとんどです。
でも元々は、魏晋南北朝時代の中国の兵法書(戦争などにおける兵の用い方を説いた書物のこと)『兵法三十六計』に書かれていた戦術のひとつであり、「人は自ら傷つけることはなく、他人に傷つけられるもの」と思い込む心理を利用し、敵を欺くために自分の身(肉)や味方を苦しめる策略を表す言葉でした。
しかし敵を欺くために自分たちを苦しめなければならないこと、「苦」という言葉から連想されるものなどから、転じて「苦しまぎれ」という意味が生じたと考えられています。
参考文献:苦肉の策とは 故事成語を知る辞典
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