お金を持っても「簡単に落ちぶれる人」の典型は
元国税局職員 さんきゅう倉田です。あちこちの法人会で講演をしています。
法人会というのは、一部地域を除いて、税務署のあるところに存在する団体です。税務署と連携して、適切な納税を促しています。小学校などで、税金の授業もしてますね。
会員は、ほとんどが中小企業の経営者です。売上規模は数千万円から数十億円といったところでしょうか。
一代で財を築いた人、親や祖父母から事業を承継した人など、お金持ちがたくさんいます。今回は、その中で特に裕福な方に取材しました。
ビルオーナーとしての成功から凋落
不動産の賃貸で成功しているお金持ちは全国に大勢います。
以前、九州の地方都市に講演で伺った際、参加者100人ほどで駅周辺の土地をすべて持っていました。駅周辺と言っても、新幹線もJRもあるし、百貨店もあるし、とにかく広い。
みなさん本業は農家ですが、昔から土地を持っていて、駅が開発されたことで資産価値が増え、土地を担保にビルを建てて、賃貸収入を得ていました。ほぼ全員が碁会所にいそうな普通の老人で、裕福に見えなかったのが印象的でした。
地方に限らず、そのような方はいらっしゃいます。そのまま、不動産の賃貸業のみに注力していれば、失敗することもないでしょう。しかし、お金持ち相手にビジネスをする人たちは、そういうタイプのお金持ちを見逃しません。
北に病気のお金持ちがあれば行って看病してやり、南にビルオーナーのお金持ちがあれば行って飲食業を勧めます。
そして、コンサルタント料を得るのです。
「土地持ち」がたやすく失敗する典型的な経緯
勧められた飲食業がうまくいけばみんな幸せですが、なかなかそうはいきません。
唆されて始めたものの、慣れない経営に手こずり、なまじっか資産に余裕があるので運転資金を投入し続け、引くに引けない状況になってしまい、とうとう本業である不動産賃貸業の現金にまで手を出してしまうことがあります。
具体的には、テナントから預かっている敷金を、飲食店の経営に回してしまうそうです。
敷金は会社にとって負債です。入居時に受け取った現金は他人のお金。退去するときには、返還しなければいけません。そのお金に手を付けるということは、自己資金はすでに尽きています。
だから、テナントが退去するときに敷金を返せず、最終的にはビルを売却することになってしまいます。
飲食業が失敗しやすいとてもシンプルな理由
本業がうまくいっている分、自分ならば他の事業でも必ず成功すると考える経営者はたくさんいるそうです。特に、身近な飲食業は参入障壁が低い。店はどこにでも作れるし、何のこだわりもなければ料理や酒は誰にでも作れる。
飲食店経営を本業としている人からすれば失礼な話ですが、軽い気持ちで始めた人はぼくのまわりにもいます。
学生時代のアルバイトの経験だけでうまくいくと考え、ちゃんと失敗し、撤退していました。
サービスや味が並以下でも、人脈さえあれば成功する業態が存在するのも事実ですが、軒並み友だちが少ないビルオーナーたちは集客ができず、本業が衰微するに至ることもあるようです。
そんなお金持ちを狙うコンサル屋に気をつけて
コンサルタントにはコンサルタントの理があると思いますが、相続などで資産を得たという情報を仕入れて訪ねてくるコンサルタントに、お金持ちは不信感を抱いています。
コンサル屋もカモを探すのが旨いですね。最近では顧問税理士がコンサル屋もどきなことをするので注意が必要です。
怖いのは、税理士だと立場上、法人・個人の資産内容を把握出来てしまい、そのうえで儲け話を振ってくるところです。
巷にあふれるよくわからない「コンサルタント」だけでなく、有名国家資格を有するコンサルタントもいます。彼らは、事業のサポートをするだけでなく、新たなビジネスを勧めてくる。そういう人たちが、田舎の外灯に集まる虫のようにやってきて、お金持ちから資産を奪っていきます。
ぼくらにはわからない、お金持ちにはお金持ちの悩みがあるようです。
ゆらがないお金持ちの共通点とは
土地持ちの純朴なおじさんたちが騙されるのは心が痛みます。
できるだけ騙されないよう知識を持ってほしいものです。
騙されにくい賢いお金持ちには共通点があります。
怒らないのはもちろんのこと、人生を鷹揚に捉える、他人を否定しない、身繕いをきちんとしている、
必要な分野についての勉強をコツコツ続ける、生活リズムを維持できる。
そんなお金持ちの類型を抽出して、電子書籍を出版しました。
アマゾンのkindle unlimitedにも収録されているので、利用者なら実質無料で読めます。↓書影クリック
こちらから>>>『お金持ちがしない42のこと』(主婦の友社)
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