更年期の「眠れない」「イライラ」「不安」はホルモンのせい?改善方法は
「イライラしたり、不安に襲われることがあったりと気持ちの浮き沈みが激しい」「疲れているのにいざ寝ようとすると眠れない」40~50代になり、こんな悩みをお持ちではありませんか?
日本の女性は平均的に50歳頃に閉経を迎えることが多く、閉経を挟んだ前後5年間は「更年期」と呼ばれています。この時期は、ホルモンバランスの乱れにより、様々な体や心の不調に悩まされるもの。心の不安や不眠の症状は、更年期によるものかもしれません。
そんな辛い不調の乗り越え方を、「あんしん漢方」の薬剤師・道川佳苗さんに教えてもらいました。
更年期の歩き方 2
夜ぐっすりと眠れない…その原因はホルモンにあり?
更年期には、女性ホルモンの分泌量が減少することで、自律神経が乱れ不安や抑うつなどの精神症状に伴って不眠が起こることがあります。
また、ほてりや発汗といった血管運動神経症状が夜間に起こることで睡眠が妨げられることも原因です。
更年期の不眠の原因は人によりさまざまで、更年期が直接原因なのではなく、加齢自体が不眠の原因となっている場合もあります。
更年期の不調の代表的な改善方法は?
食生活の乱れの改善や運動不足の解消だけでは改善しない場合は、病院でホルモン治療を試したり、漢方薬を使用したりするのがおすすめです。
更年期の症状に対する西洋医学での治療としては、減少したエストロゲンをホルモン剤で補うホルモン補充療法が中心になります。
また、不眠症を治す方法として、不眠が起こる原因を取り除き、眠りにつきやすい環境に整えることが勧められます。例えば、規則的な生活を心掛けて毎日同じ時間に床につく、ストレッチやぬるめの湯に浸かるなどのリラックスを心掛ける、夕方以降にカフェインを摂らないなどが挙げられます。
生活習慣を整えても眠れない場合は、医師の指導のもと睡眠導入剤を使用することがあります。睡眠薬の他、不安感が強い場合には抗不安薬が用いられることもあります。
ケース1・お酒に頼って寝付く習慣がついてしまった
更年期にはさまざまな不調が現れることがありますが、漢方が効くケースが多々あります。代表的な事例をご紹介します。
「仕事が忙しく、夜遅くまで頭が休まらないからなのか以前から不眠がちでしたが、最近急に寒くなってきて、その頃から毎晩寝つきが悪くなりました。寝る前に飲酒をすると温まるような感じがして、やっと眠れていました。子供のころはアル中気味だった母親を軽蔑していたのに、自分もお酒に頼って寝付くことが多くなってきたことに不安を感じ始め、根本的に改善したいと思うようになりました」(48歳 女性)
こちらのお客様は、漢方の「抑肝散(よくかんさん)」を朝、夕、寝る前に服用して飲酒量も減らすようにしたところ、症状が改善。眠りやすくなっただけでなく、朝の目覚めもスッキリ改善したということです。
ケース2・冷えているのに足が火照って眠れない
「とにかく寝ようとしても抱えているプロジェクトのことを考えるとなかなか寝付けず、足元ばかり暑くなってひどい時は4~5時間布団の中で悶々としていました。これまでに様々な睡眠薬を試してきましたが、副作用や依存性を考えて、漢方でよくしたいと思うようになりました。漢方もこれまでに何種類か試したことがありますが、あまり効果がわかりませんでした。何をやってもよくならないと半ばあきらめていました」(45歳 女性)
こちらのお客様の場合は、すでに睡眠薬を2種類と抗不安薬を服用されていたので、急に中止すると不眠を悪化させることが考えられ、まずは睡眠薬を継続したまま漢方薬を追加することとしました。数種類の漢方薬を試してみたところ、「六味丸(ろくみがん)」が効き、ほてりが少しずつ改善され、眠れる日が増えてきたということです。
更年期障害は「漢方」のいちばんのお得意分野なんです!
ホルモン補充療法を希望しない人、受けられない人には、漢方薬による治療が取り入れられています。更年期障害による症状への治療は漢方が最も得意とするところです。
「ホルモン補充療法には抵抗がある」「病院の薬に頼らずに不眠を改善したい」
そんな方にも漢方薬による体質改善がおすすめです。
漢方薬は自然の生薬からできており、一般的には、西洋薬よりも副作用が少ないと言われています。また、現在生じている不調を抑えるだけでなく、根本的な体質の改善を目指すものですので、「薬で辛さや痛みを解消しても、すぐにまたぶり返す…自分の健康に自信を持てない…」と悩む方に最適です。
さらに、栄養バランスのととのった食生活や、ジョギングや筋トレを続けるのは難しいという場合でも、漢方薬の場合は、自分の症状や体質に合ったものを毎日飲むだけですので、手間なく気軽に継続できるという利点もあります。
<不眠にお悩みの方におすすめの漢方>
- 抑肝散(よくかんさん):緊張しやすく、寝付きにくい人に
- 桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう):すぐに動悸がして、小さな音にもドキドキしてしまう、なかなか寝付けない人に
- 六味丸(ろくみがん):口が渇きやすく、むくみ、頻尿、手足のほてりなどがある人に
ただし、漢方薬を選ぶ際の重要なポイントは、その人の状態や体質に合っているか、という点です。うまく合っていないと、効果を感じられないだけでなく、場合によっては副作用が生じることもあります。
どの漢方薬が自分に向いているのかを見極めるためには、プロの力を借りるのがおすすめです。「あんしん漢方」などのオンライン漢方サービスに、一度相談してみるのもよいでしょう。
AI(人工知能)を活用した漢方のプロが、個人に効く漢方を見極めて自宅に郵送してくれる「オンライン個別相談」が話題です。
●あんしん漢方:https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/
一人で不眠に悩まず相談しよう!
更年期ではホルモンバランスの変化、家庭や仕事の変化も重なりやすい年代であるためさまざまな不調の中でも心の問題が起きやすくなります。いろいろ考え込んでしまい眠れなくなることもあるかもしれません。不眠の原因にもなるそうした不安の症状や動悸も、漢方薬で改善することがあります。一人で悩まず、ぜひ専門家にご相談くださいね。
執筆/あんしん漢方 薬剤師 清水 みゆき
漢方薬・生薬認定薬剤師、JAMHA認定ハーバルセラピスト。製薬企業の研究所勤務を経て、漢方調剤薬局に8年間勤務。漢方薬の服薬指導、食事や養生法での健康づくりのサポート、ハーブティーやアロマの相談販売に従事。現在も漢方調剤薬局で薬剤師として働きながら、「ママのためのやさしい漢方」のサイト運営や漢方やハーブの通信講座やセミナー講師としても活動中。
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