48歳にもなって寝坊で遅刻…「更年期不眠」を乗り越えた顛末【薬剤師解説】

「最近朝起きるのがおっくう」「だるさがあり起きにくく、やる気が出ない」など、40~50代になり、こんな悩みをお持ちではありませんか?

日本の女性は平均的に50歳頃に閉経を迎えることが多く、閉経を挟んだ前後5年間は「更年期」と呼ばれています。この時期は、ホルモンバランスの乱れにより、さまざまなからだや心の不調に悩まされるもの。

朝起きられなくなった、朝からだるさがあるなどの症状は、更年期にもみられる不調で「精神神経症状」と呼ばれています。Aさんに起きた症状と解決策をお伝えします。

更年期の歩き方(7)

48歳にもなって寝坊で遅刻、落ち込むAさんの顛末は

 

48歳になった頃からからだの異変を感じるようになったというAさん。

 

「具体的に言うと、朝目が覚めても布団から起き上がれない、だるくてやる気が出ない……。昼間も眠気が残り、だるさをひきずりながら仕事をなんとかこなしていました」。

 

仕事中も前よりスピードが落ちたなと感じることが多く、もどかしさにイライラしてばかりだったそうです。

 

「小売業で働いているのですが、店舗の異動があり、環境が大きく変わったことによりストレスを感じるようになりました。慣れない店舗内のルールを覚えるのがやっとで……」。

 

もしかして「48歳のベテランなのに使えない」と思われているのではないか?とビクビクしながら働く毎日。人の目も気になり、気疲れも多い。業務終了後には頭も肩も腰も重く、スーパーで惣菜を買って帰るのが日常になっていました。

そんな日々が続く中、事件は起きてしまいました。

 

「その日のシフトは9時からだったのに、起きたのはなんと9時半! 一瞬何が起きたのかわからなくなって、パニックに。しばらくして自分が寝坊したことが理解できて、あわてて職場に電話をかけました」

 

店長は表面上は「大丈夫だよ」と言ってくれましたが、後ろの方で「いい年をして寝坊するなんて」という陰口が聞こえたような気がして、悲しくなりました。

 

「自分でも寝坊だなんて、信じられませんでした。入社後、寝坊で遅刻したことなんてなかったのですから。年齢のせいにはしたくないけど、いっぽうで抗いようのない、自分で治すことができなさそうな身体の変化も実感しています。『これが更年期なのかな』と思うようになりました」

 

更年期という言葉が頭をよぎったことで、手元にある雑誌の更年期特集を思い出しました。

 

さっそく雑誌をとり出して読んでみると、だるさや朝起きられないといった症状に対しては、漢方薬が効果があるとのことでした。

 

「今まで漢方薬は飲んだことがありませんでしたが、勇気を出して漢方クリニックに相談することにしました」

 

起きられないのも更年期の症状?

 

更年期では、

・朝起きられなくなった

・起きてもだるくてやる気が出ない

・疲れやすくなる

などの症状もみられます。

 

このように、自分が怠けているわけではにのに、だるくて起きられない症状が更年期にはみられます。更年期に起きられない症状が出るのは、女性ホルモンの分泌が急激に少なくなることにより、自律神経のバランスの乱れが引き起こされることが関係しています。

 

更年期では、イライラや不安などの症状も出やすいため寝付きも悪くなり、熟睡できないために朝起きられない、といった症状に繋がります。

 

また、ホルモンの分泌の乱れだけでなく、更年期の年代は、職場での責任ある立場、親の介護、夫の定年などの、さまざまなライフスタイルの変化と重なる時期です。そのため、ストレスによって余計に症状が悪化することがあります。

 

起きられない以外にみられる更年期の症状は?

起きられない症状以外にも、更年期にはさまざまな不調が起こります。

・些細なことにイライラする

・急に滝のような汗が出る

・ふとした時に急に不安におそわれる

 

更年期では、からだの症状以外にも心の症状も現れやすくなります。これらは精神神経症状といわれ、最近では更年期のさまざまな悩みの中でも、これらの心の症状が増えてきているといわれています。

 

更年期の不調には漢方がおすすめ

漢方の考え方では、からだの症状だけでなく心の症状に対しても全体的にバランスをとるように働きかけます。

「ホルモン補充療法には抵抗がある」

「朝起きるのがつらくない体質になりたい」

そんな方には漢方薬がおすすめです。

漢方薬は漢方医学の長い歴史と多くの症例により効果が認められているお薬です。自然の生薬からできており、一般的には、西洋薬よりも副作用が少ないと言われています。

また、現在生じている不調を抑えるだけでなく、根本的な体質の改善を目指すものですので、「薬で辛さや痛みを解消しても、すぐにまたぶり返す…自分の健康に自信を持てない…」と悩む方に最適です。

さらに、栄養バランスのととのった食生活や、ジョギングや筋トレを続けるのは難しいという場合でも、漢方薬の場合は、自分の症状や体質に合ったものを毎日飲むだけですので、手間なく気軽に継続できるという利点もあります。

漢方医学を日常生活に取り入れて、快適な生活を送ってはいかがでしょうか?

<朝起きられない方におすすめの漢方>

・加味帰脾湯(かみきひとう):血色が悪く、疲れ気味で、精神不安や不眠がある人に。

・柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう):便秘があって、精神不安や不眠がある人に。

 

ただし、漢方薬を選ぶ際の重要なポイントは、その人の状態や体質に合っているか、という点です。うまく合っていないと、効果を感じられないだけでなく、場合によっては副作用が生じることもあります。

 

どの漢方薬が自分に向いているのかを見極めるためには、プロの力を借りるのがおすすめです。「あんしん漢方」などのオンライン漢方サービスに、一度相談してみるのもいいでしょう。

AI(人工知能)を活用した漢方のプロが、お手頃価格で個人に効く漢方を見極めて自宅に郵送してくれる「オンライン個別相談」が話題です。相談もスマホで完結ですので、普段は相談しにくい悩みにも答えてもらえます。詳しくは「あんしん漢方」で検索してみて。

 

あなたが起きられないのは、だらしないせいではないですよ!

朝起きられない症状は、自身の怠惰のせいではなく更年期の症状のひとつかもしれません。最近朝起きられなくなった、朝からだるいなどの症状がある人は、一度専門家に相談してみるといいでしょう。

 

執筆/あんしん漢方 薬剤師 道川佳苗

漢方薬・生薬認定薬剤師。調理師。薬膳アドバイザー。大学卒業後、薬局にて従事し服薬指導をする中、病気の予防、健康維持には食育が大切であると感じ、調理技術、栄養学を学ぶため服部栄養専門学校に入学し卒業する。現在は今までの経験を活かし web上で健康相談や薬膳や漢方に関する情報発信をしている。

スポンサーリンク