更年期で息子との仲も険悪に…?40代の「ひどすぎる寝汗」を解消した漢方って
「寒いのに寝汗をかく」「寝汗がひどくてよく眠れない」40~50代になり、こんな悩みをお持ちではありませんか?
日本の女性は平均的に50歳頃に閉経を迎えることが多く、閉経を挟んだ前後5年間は「更年期」と呼ばれています。この時期は、ホルモンバランスの乱れにより、さまざまなからだや心の不調に悩まされるもの。
睡眠中も顔が熱い、寝汗があるなどの症状は、更年期特有の不調で「ホットフラッシュ」と呼ばれています。
そんなつらい不調の乗り越え方を、「あんしん漢方」の薬剤師、道川佳苗さんに教えてもらいました。
更年期の歩き方(10)
息子との関係も悪化させた、ある症状とは?
こんにちは、薬剤師の道川です。今日は現在49歳の、みきさんの実例をご紹介します。
みきさんは更年期の症状の中でも、とくに悩んでいる症状があるとのことです。いったいどんなお悩みなのでしょうか?
「私の場合は、寝汗がひどくて。寝汗が不快で夜ぐっすりと眠れないので、朝起きてぐったりとしてしまう毎日です。夜中に汗が気持ち悪くて起きてしまうことも少なくありません」
みきさんは症状が出始めた当時、仕事も繁忙期で疲れはピークだったといいます。それなのにぐっすり眠れない日々が続き、イライラと疲れは今にも爆発寸前だったそうです。
「そんな時に、息子のささいな言動にイラッときてしまい、いつもよりキツめにしかってしまったんです」
「しかったら逆ギレされてしまって、『寒いのに汗かいてて体おかしいんじゃねぇの?!』と。普段だったら、私の体調のことに触れることなんてないのに、この時は頭にきていたんでしょうね」
みきさんの声には後悔がにじみ出ていました。
「それ以降、息子は口も聞いてくれなくなってしまいました。夜も寝汗で眠れないから、私もイライラする状態が続いていて…寝汗の症状が出てからというもの、家庭内の雰囲気も最悪です」
息子も思春期だし、このままずっと口を聞いてくれないままになってしまったら…と、不安に思った、みきさん。
「この寝汗、どうにかなるのなら方法を見つけたい」と、寝汗を改善する方法を調べてみることにしました。
エネルギー不足が寝汗と関係?
ネットや雑誌を駆使して、「寝汗」に関することを調べ尽くした、みきさん。その中で、漢方が効くかもしれないという情報を目にしました。
漢方は今まで飲んだことがなかったので、本当に効くのか半信半疑ではありましたが、「このつらい寝汗が治るのなら」と、近くの漢方クリニックへ行ってみることにしました。
薬剤師さんには、生活習慣や、寝る時間や起きる時間、排泄の回数など細かく質問されたそうです。普段から疲れやすいことを話すと、エネルギー源である「気」が不足していることも関係しているかもしれない、と薬剤師さんから説明を受けたそうです。
「疲れやすいといっても、食事はよく食べる方だったので、エネルギー不足と聞いて正直驚きました」
エネルギーを補うことで寝汗が改善するかもしれないと知り、一気に希望の光が見えた、みきさん。「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」という漢方薬を処方され、飲んでみることにしました。
朝まで眠れることの幸せを噛みしめる
みきさんの場合、仕事と家庭の両立でヘトヘトに疲れ切っていたので、漢方薬を飲むと同時に、意識して休むようにしたそうです。
漢方薬を飲み始めて2週間後には、手足の冷えが改善され、夜も熟睡できる時間が段々と増えていきました。
そして、3ヶ月後には、さらに効果を実感したといいます。
夜中2〜3時間ごとに起きていたのが、6時間くらいまとまって寝られるようになるなど、しっかりとした手応えを感じるようになってきたそうです。
「朝までぐっすりと眠れるのってこんなに幸せなんですね」と、嬉しそうに話す、みきさん。
漢方薬を飲み始めて3ヶ月たった頃には、体力の回復も実感し、不快に感じていた寝汗も気にならなくなってきたとのことでした。
「その頃ですかね、息子とも仲直りしてお互いの気持ちを伝えることができました。息子からも『お母さんも体調悪くてつらかったのに、キツイこと言ってごめんね』と言われました。私の方こそ謝らなきゃなのに」と、みきさんは涙ぐんでいました。
「更年期には、思いもよらぬ体調変化があるけれど、希望を捨ててはダメですね。この先も自分のからだとうまく付き合っていきたいと思います」
みきさんは、最後には笑顔で、こう話してくださいました。
寝汗でよく眠れない・・これって更年期のせい?
- 冬で寒いのに寝汗をかく
- 寝汗がひどくてよく眠れない
- 朝、起きると寝間着や枕が濡れている
こんな症状に心当たりはありませんか?もしかしたら、あなたのその症状は更年期の症状かもしれません。
更年期に起こる汗の悩みには、以下のような理由が考えられます。
女性ホルモン(エストロゲン)の減少
更年期には、突然顔がほてって汗がどっと出る「ホットフラッシュ」に悩まされることが多いです。これらの症状は、女性ホルモンの減少に伴う自律神経のバランスの乱れが原因と考えられています。寝汗もホットフラッシュと同じように、血管運動神経症状の1つで、夜間も同じように起こるために、睡眠時にほてりや発汗の症状が出ます。
気(エネルギー)や血の不足
東洋医学的には、気(エネルギー)や血の不足があったり、からだの内部に熱がこもったりする状態の時に寝汗の症状が多くみられると考えられています。気や血の不足があると、疲れやすい、食欲がないなどの症状も出やすくなります。その他にも、ストレスが原因で気の巡りが悪くなる場合もあります。
寝汗は漢方で根本的な改善を目指す
今回のお客様の症状改善に役立った漢方薬は、「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」という、疲れやだるさがある人によく使われるものでした。
「更年期症状がつらいけど、ホルモン補充療法には抵抗がある」
「寝汗を生じない体質を目指したい」
そんな方には漢方薬がおすすめです。
ホルモンバランスの乱れにより汗をかく「寝汗」「ホットフラッシュ」などの症状に効く漢方薬はいくつもあります。
漢方薬は、漢方医学の長い歴史と多くの症例により効果が認められているお薬です。自然の生薬からできており、一般的には、西洋薬よりも副作用が少ないといわれています。
また、現在生じている不調を抑えるだけでなく、根本的な体質の改善を目指すものですので、「薬でつらさや痛みを解消しても、すぐにまたぶり返す」という経験を経て、自分の健康に自信を持てなくなったとお悩みの方にも、ぜひ試していただきたいお薬です。
さらに、健康のために、栄養バランスのととのった食生活や、ジョギングや筋トレなどの運動習慣を続けるのは難しいという場合でも、漢方薬の場合は、自分の症状や体質に合ったものを毎日飲むだけですので、手間なく気軽に継続できるという利点もあります。
漢方医学を日常生活に取り入れることで、健康で快適な生活をめざしてはいかがでしょうか?
<寝汗でお困りの方におすすめの漢方薬>
・加味逍遥散(かみしょうようさん):肩がこる、めまいや頭痛、のぼせや発汗など多様な心身の不調に広く用いられます。
・柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう):体力がなく、貧血気味で、神経過敏でストレスを感じている人の更年期症状に用いられます。
・防已黄耆湯(ぼういおうぎとう):水太りタイプの人でむくみがあり、疲れやすい人の多汗に用いられます。
ただし、漢方薬を選ぶ際の重要なポイントは、その人の状態や体質に合っているか、という点です。うまく合っていないと、効果を感じられないだけでなく、場合によっては副作用が生じることもあります。
どの漢方薬が自分に向いているのかを見極めるためには、プロの力を借りるのがおすすめです。「あんしん漢方」などのオンライン漢方サービスに、一度相談してみるのもいいでしょう。
AI(人工知能)を活用した漢方のプロが、お手頃価格で、個人に効く漢方を見極めて自宅に郵送してくれる「オンライン個別相談」が話題です。相談もスマホで完結ですので、対面では相談しにくい悩みも気軽に相談できます。
●あんしん漢方:https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/
寝汗も一人で悩まず相談を
寝汗の症状も更年期症状のひとつです。一人で抱え込まずに、専門家に相談することで解決の糸口が見えてくるはずです。漢方薬は、個人の体質や体力などを考慮した上で選んだほうが効果も出やすくなります。更年期のつらい症状に悩まれている方は、専門家に相談して自分に合った漢方を見つけ、つらい症状をからだの内側から改善していきましょう!
執筆/あんしん漢方 薬剤師 道川佳苗
漢方薬・生薬認定薬剤師。調理師。薬膳アドバイザー。大学卒業後、薬局にて従事し服薬指導をする中、病気の予防、健康維持には食育が大切であると感じ、調理技術、栄養学を学ぶため服部栄養専門学校に入学し卒業する。現在は今までの経験を活かし web上で健康相談や薬膳や漢方に関する情報発信をしている。
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