正しいのはどっち?目上の人に誘われて「ご一緒します」「お供させていただきます」
本記事では、敬語クイズを出題していきます。
目上の人に対して、あなたはなんと答えますか?
正しいのはどっち?
「ご一緒します」と答えたことがある人も少なくないのでは?一方「お供させていただきます」は、使い慣れていなかったり聞き馴染みがないと、その表現にやや古めかしい印象を抱くかもしれません。しかしどちらか一方は、目上の人への返答として適していません。
まずは正解を見てみましょう。
正解は…
「お供させていただきます」です。
目上の人への返答として、自分がへりくだることで相手への敬意を表す「謙譲語」を用いる必要があります。しかし「ご一緒します」は「する」を丁寧語「ます」で表しているだけで、謙譲語ではないのです。
「する」の謙譲語で、かつ問題文のシチュエーション(目上の人から誘われた時)のように相手からの許可や行為で自分が恩恵を受ける場合には、“相手に許しを請うことによって、ある動作を遠慮しながら行う意を表す。(出典元:小学館 デジタル大辞泉)”の意味をもつ「させていただく」を用います。
そのため、目上の人に誘われて「ご一緒する」ことを伝えたい場合には、
- ご一緒させていただきます
- お供させていただきます
と答えましょう。
「いたします」と「させていただきます」の使い分け
「する」の謙譲語には「させていただく」のほかに、自分が一方的に行う場合に用いる「いたす」があります。
文化庁がまとめた「敬語の指針」内で、「させていただく」は
基本的には,自分側が行うことを,ア)相手側又は第三者の許可を受けて行い,イ)そのことで恩恵を受けるという事実や気持ちのある場合に使われる。したがって,ア ,イ)の条件を )どの程度満たすかによって 「発表させていただく」など 「…(さ)せていただく」を用いた表現には,適切な場合と,余り適切だとは言えない場合とがある。
引用元:敬語の指針|文化庁
と書かれています。
もし目上の人から「君も来ないか?」と誘われたのであれば「させていただく」を用いるのが適切ですが、もし「君も来なさい」と行動を「命じる」ものだった場合には、「させていただく」ではなく「いたす」を用いて、「ご一緒いたします」と返答するのが適切です。
参考文献
- 本郷陽二『大人の語彙力 敬語トレーニング100』(日本経済新聞出版社、2018年)
- 野口恵子『失礼な敬語 誤用例から学ぶ、正しい使い方』(光文社、2013年)
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