「ながりう」でも「りゅうりう」でもない!「流離う」の読み方、知っていますか?
本記事では意外と読めない漢字のクイズを出題します。本記事でご紹介するのは「流離う」です。
「流離う」の読み方は?
流離うに用いられている漢字は、日常生活の中で度々見かける漢字なのではないでしょうか。とはいえ、筆者もはじめて流離うの読みを問われた時には、「流」と「離」がもつ意味からなんとなく意味を感じとれても「なんて読めばいいの?」と戸惑ってしまいました。
流離うの意味は
どこというあてもなく、また、定まった目的もなく歩きまわる。漂泊する。流浪(るろう)する。
出典元:小学館 デジタル大辞泉
です。
「流」と「離」の漢字から結びつきにくいかもしれませんが、「もしかして「〇〇〇う」?」と読み方が思い浮かんだ人もいるのでは?!
正解は…
正解は「さすらう」です。
「流離」と書かれていた場合は「さすらい」と読みます(「りゅうり」と読むこともできます。意味は「さすらい」とほぼ同じです)。
なぜ「流」で「さす」なのか調べてみたものの…
ここまで書いて筆者は「なぜ「流」+「離」+「う」で「さすらう」なのか」と疑問に感じました。ちなみに「流」を「さす」と読む言葉には「流石(さすが)」もありますが、「流」の読みは
- 音読み リュウ・ル
- 訓読み なが(れる)・なが(す)
であり、「さす」という読みがあるわけではありません。
正直に申し上げると、「流」を「さす」と読む由来を見つけることはできませんでした。
「流石」の語源についてはいくつか資料を見つけましたが、「流」を「さす」と読む由来の説明ではありませんでした。「流石」は古代中国の歴史書『晋書』に書かれていた逸話、「漱石枕流」の故事に由来するとされています。
孫楚(そんそ)という人が「枕石漱流(石に枕し、流れに漱(くちすす)ぐ」と言うべきところを誤って「漱石枕流」と言ってしまいました。しかし友人がそのことを指摘したところ、孫楚は「川の流れを枕にするのは耳を洗うためで、石で口をすすぐのは歯を磨くためだ」と言い訳します。「流石(さすが)」はそんな孫楚の切り返しに感心して当てられた、とされています。
…が、この語源については、どの参考文献も「正しいかどうかは不明」「当て字としてはあまり出来がいいとは言えない」とあります。
なお「さすが」の語源については、奈良時代頃まで使用されていた言語・上代言葉の「然すがに(しかすがに)」とあり、元々は「そうはいっても」という意味合いで用いられていたのだとか。
しかすがに
上の事柄を「そうだ」と肯定しながら、もう一つの事を付け加える意を表わす。それはそうだがしかし。そうはいうものの他方では。それはそうだがやはり。そんなはずではないのに。
出典元:精選版 日本国語大辞典
しかし平安時代には意味とともに読みも「しかすがに→さすがに」へ転じていったようです。
「「流離う」は当て字である」と明言している文献を見つけることができず大変申し訳ないのですが、「貴種流離(きしゅりゅうり)」という四字熟語の意味に
説話の類型の一つ。尊い身分の人が故郷から遠く離れた他郷をさすらい、さまざまな苦難や試練を体験した上で帰国すること。
出典元:学研 四字熟語辞典
とあり、「流離」は“故郷から遠く離れた他郷をさすらうこと”を表すため、「流石」と同じく当て字ではないかと考えます。
参考文献
- 「流石」はどうして「さすが」と読むのですか?|漢字文化資料館(2021年1月16日閲覧)
- さすが、流石|笑える国語辞典(2021年1月16日閲覧)
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