【確定申告2021】新しい「ひとり親控除」制度に当てはまる人は?これまでとの違いは?
さんきゅう倉田です。大学を卒業して、東京国税局に入って、2年とちょっとで退職し、芸人になりました。今は、365日、税やお金に関することを考えています。
2月16日から2021年の確定申告期間ですね。税金の制度は、毎年少しずつ変わります。毎日税金のことを気にしていても、何が変わったのか、いつから変わるのか、どう変わったのか忘れてしまう。だから、一般の方が「税金って難しいな」と感じても不思議ではありません。
今回の確定申告分から、「ひとり親控除」なるものが創られました。とても身近で大切な控除なので、紹介します。
まず、ひとり親控除とは何なのか?対象者とメリットは
ざっくりいうと、配偶者がいない親が受けられる控除です。「親」なので、子供がいないと受けられません。
今までも類似の控除として「寡婦控除」「寡夫控除」があり、ひとり親控除の創設によって、これらも変更されました。
つまり、新たに控除が受けられる人もいるし、今まで寡婦・寡夫控除を受けていた人は、控除がなくなったり増えたりする可能性があります。
もともと寡婦控除は戦争未亡人の救済のために作られた制度です。その後、父子家庭を対象とする寡夫控除もできましたが、いずれも「親の側の経緯」での控除でした。今回の改正ではひとり親家庭の「子どもの側」に焦点をあて、親の経緯を問わなくなりました。そのかわり、寡婦でも合計所得金額500万円以上ならば対象から外れました。
■ひとり親控除の対象となる人
ひとり親とは、12月31日の時点で、結婚していない人、または、配偶者の生死が明らかでない一定の人で、
(1) 「事実上婚姻関係と同様の事情にある」人がいない
今は、戸籍上の婚姻関係も多様化しています。該当するパートナーがいる方は、言葉の意味をすでにご存知でしょうし、よくわからない方は関係ありません。いわゆる、事実婚が該当します。
(2) 生計を一にする子がいる
いわゆる扶養している子供は、ほとんどがこれに該当すると考えられます。
(3) 合計所得金額が500万円以下である
所得は、年収とは異なります。会社員、パート・アルバイトであれば、勤務先から今年1月にもらった源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」が所得になるので、御覧ください。もし、副業やギャンブルなどで他にも所得があれば、合計所得金額に加えてください。
「寡夫控除」は廃止、「寡婦控除」は対象が狭まった
寡婦控除についても説明しておきます。あなたが寡婦、女性ならば、寡婦控除が受けられます。ひとり親控除の方が、条件が厳しく、控除額が大きいです。子供がいるほうが、お金がかかるので、負担に差があるのは当然と言えるでしょう。「子供がいる人に手厚くサービスするなんて、ずるい!」と唱える人はいないと思います。
寡婦控除の対象となる人(令和2年分以後)
12月31日の時点で、「ひとり親」に該当せず、次のいずれかに当てはまる人です。
なお「事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる人」がいる場合は、受けられません。
(1) 夫と離婚した後、結婚をしておらず、扶養親族がいる人で、合計所得金額が500万円以下
(2) 夫と死別した後、結婚していない人、または、夫の生死が明らかでない一定の人で、合計所得金額が500万円以下
「夫と離婚」「夫と死別」とあるので、男性は受けられないんです。そして、男性が受けられる「寡夫控除」はなくなってしまいました。
ただ、男性も子供がいれば、ひとり親控除が受けられます。
会社員、パート・アルバイトであれば、勤務先が、ひとり親控除を適用してくれているものと考えられますが、もし適用されていなければ、勤務先に相談しましょう。
フリーランスの場合は、確定申告の際に、控除が受けられるように記入してください。
ひとり親控除 35万円 →子がいることがいちばんの条件
寡婦控除 27万円 →子がいなくても受けられる
寡夫控除 廃止(今まで控除を受けていた人は、ひとり親控除が受けられます)
ちなみにまで、「事実上婚姻関係と同様の事情にある」とは?
定義を後学のために調べました。
以下、「事実上婚姻関係と同様に事情にある」を🅰とする。
① あなたが世帯主の場合
あなたと同じ世帯の人の住民票に、あなたとの続柄が「世帯主の未届の夫」や「世帯主の未届の妻」と書かれている人がいる。あるいは、「事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる続柄である」などと書かれている場合は🅰
② あなたが世帯主でない場合
あなたの住民票に世帯主との続柄が、「世帯主の未届の夫」や「世帯主の未届の妻」と書かれている。あるいは、「世帯主と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる続柄である」などと書かれている場合は🅰
いずれにせよ、自分が該当するのか迷う場合は、お近くの窓口で質問してください。
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