閉経後の「性交痛」ってどう起きるの?レス寸前の51歳、夫に言い出せず悩んだ末に…
「性交時に痛みがある」「膣内が乾燥している気がする」、40~50代になり、こんな悩みをお持ちではありませんか?
日本の女性は平均的に50歳頃に閉経を迎えることが多く、閉経を挟んだ前後5年間は「更年期」と呼ばれています。この時期は、ホルモンバランスの乱れにより、さまざまなからだや心の不調に悩まされるもの。
性交痛、局部のかゆみなどの症状は、更年期にもみられる不調です。そんなつらい不調の乗り越え方を、「あんしん漢方」の薬剤師、道川佳苗さんに教えてもらいました。
更年期の歩き方(12)
閉経後の性交痛、でも夫に伝えられない。悩んだ挙げ句…
現在51歳のさおりさん。50歳で閉経を迎えてから、更年期の症状に見舞われています。中でも特に、人には言いにくい、あることで悩んでいるとのことです。
「実は、性交痛を感じるようになってしまったんです」
今まではそんなことがなかったので、とてもショックだと続けます。ご主人にはどう伝えたのでしょう?
「それが……夫は優しい人で、私が痛そうな表情をすると慌てて止めてくれるんです。ですが、夫はナイーブなタイプなので、精神的に緊張してしまうとうまくいかなくて」
頻繁に誘われるわけでもないし、一度断ると自信を喪失してしまいそうなので、さおりさんはいつも我慢して対応していたそうです。
「夫との営みは嫌ではなかったのに、『またあの痛みが来るのか』と思うと行為自体が怖くなってしまいました」
そのうちに、2人とも性欲をなくして、レスになる直前まできてしまったとのことでした。
痛みの原因は、からだ全体の水分不足?!
仲がいいのに、このまま性交痛が原因で気まずくなりたくない!と思ったさおりさん。どうにか解消法はないかネットで調べました。
調べていると、更年期の症状としても性交痛が起こることがあるらしいとわかってきました。そして、更年期の性交痛には漢方が効く可能性があることを知りました。
友達には相談しにくい悩みでも、専門家の人なら恥ずかしくないかも……。
そう思い、近くの漢方薬局へ勇気を出して行ってみることに。
そこで薬剤師さんから言われたのは、「更年期世代の性交痛はからだ全体の水分不足が原因である」ということでした。
まさか、感じていないせいで潤っていなかったのではなく、更年期のホルモンバランスの乱れのせいでからだの水分が減っていたなんて思ってもいなかったので、さおりさんは驚きました。
それと同時に、「ホルモンバランスを整えてからだの水分を補充することができれば、この痛みともお別れできるのかも」と、かすかな希望を持てたのでした。
段々と濡れるようになってきた
さおりさんには、東洋医学的に成長・発育・生殖をつかさどるといわれる腎が衰えた状態、腎虚と陰虚があるとのこと。そこで、からだ全体に潤いを与える「六味丸(ろくみがん)」という漢方薬が処方されました。腎のはたらきが低下すると、ホルモンバランスが乱れて局所の潤いも低下してしまうのだそうです。
「飲み始めて2週間頃から、手足のほてりを感じにくくなりました。更年期の症状にも効いているなという実感がありました」
ご主人にも、正直に痛みがあることを伝え、その改善のためにも漢方薬を試していることも話したといいます。
「夫も理解してくれて。問題ときちんと向き合い協力していこうと約束しました。最初は挿入なしの性交を行いながら、徐々に段階を進めていきました。漢方を飲み始めて2ヶ月頃からは、以前より濡れるようになり、痛みが減ってきたんです」
レス寸前の危機を向き合ったさおりさんご夫婦。途中で気づきもあったそうです。
「前までは、仲は良かったものの、大事なことは話し合えていなかったんですね。この問題と向き合って、夫婦関係も以前より深まったように感じます」
さおりさんは安心した表情で、そう話してくださいました。
性交時に痛みが・・・これって更年期のせい?
- 性交時に痛みがある
- 局部がヒリヒリする、かゆみがある
- 膣内に潤いがなくなったと感じる
こんな症状に心当たりはありませんか?
もしかしたらあなたのその症状は更年期によるものかもしれません。
更年期には以下のような理由で、性交痛が起こります。
女性ホルモン(エストロゲン)の低下による潤い不足
更年期には女性ホルモンが減少することにより、膣内の潤滑液が不足してしまいます。痛みを我慢して性交を続けることで膣内に傷がついたり、さらにはストレスなどの心理的な要因も原因となり、潤滑液の不足が引き起こされます。
ホルモンバランスを司る「腎」の低下、潤いの「陰」の不足
東洋医学的には、ホルモンバランスを司る「腎」の機能の低下、それに伴い、からだ全体の潤いをあらわす「陰」の不足が性交痛に関係していると考えられます。皮膚や膣内が乾燥する、手足がほてるなどの症状も起こります。
性交痛は漢方で根本的な改善を目指す
「更年期症状がつらいけど、ホルモン補充療法には抵抗がある」
「性交痛を生じない体質を目指したい」
そんな方には漢方薬がおすすめです。
漢方薬は、医薬品として効果が認められているお薬です。自然の生薬からできているので、一般的には、西洋薬よりも副作用が少ないといわれています。
とくにホルモンバランスなど、からだ全体のバランスを整える事を目的とした漢方薬は、女性の味方ともいえます。
また、現在生じている不調を抑えるだけでなく、根本的な「体質の改善」を目指したい方、「薬でつらさや痛みを解消しても、すぐにまたぶり返す」とお悩みの方にも、ぜひ試していただきたいお薬です。
さらに、健康のために、栄養バランスの整った食生活や、ジョギングや筋トレなどの運動習慣を続けるのは難しいという場合でも、漢方薬なら、自分の症状や体質に合ったものを毎日飲むだけですので、手間なく気軽に継続できるという利点もあります。
漢方医学を日常生活に取り入れることで、健康で快適な生活をめざしてはいかがでしょうか?
<性交痛におすすめの漢方薬>
・六味丸(ろくみがん):疲れやすく、口が渇く傾向がある人の、むくみやかゆみ、頻尿の症状によく用いられます。
・八味地黄丸(はちみじおうがん):疲れやすく、口が渇く傾向がある人の、冷えや腰痛、頻尿などに用いられます。
ただし、漢方薬を選ぶ際の重要なポイントは、その人の状態や体質に合っているか、という点です。うまく合っていないと、効果を感じられないだけでなく、場合によっては副作用が生じることもあります。
どの漢方薬が自分に向いているのかを見極めるためには、プロの力を借りるのがおすすめです。「あんしん漢方」などのオンライン漢方サービスに、一度相談してみるのもいいでしょう。
AI(人工知能)を活用した漢方のプロが、お手頃価格で、個人に効く漢方を見極めて自宅に郵送してくれる「オンライン個別相談」が話題です。相談もスマホで完結ですので、対面では相談しにくい悩みも気軽に相談できます。
●あんしん漢方:https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/
相談しにくい症状も専門家に相談して
人には相談しにくい性交痛の症状も、更年期が原因で起こっている場合があります。他に更年期の症状が出ていないかなど、全身をトータルして見ることで、改善の糸口が見つかるはずです。相談しにくい症状でも、一人で悩まずに専門家に相談してみてください。
また、漢方薬を取り入れる場合は、個人の体質や体力などを考慮した上で選んだほうが、効果も出やすくなります。つらい更年期の症状に悩まれている方は、専門家に相談して自分に合った漢方薬を見つけ、からだの内側からケアしていきましょう。
執筆/あんしん漢方 薬剤師 道川佳苗
漢方薬・生薬認定薬剤師。調理師。薬膳アドバイザー。大学卒業後、薬局にて従事し服薬指導をする中、病気の予防、健康維持には食育が大切であると感じ、調理技術、栄養学を学ぶため服部栄養専門学校に入学し卒業する。現在は今までの経験を活かし web上で健康相談や薬膳や漢方に関する情報発信をしている。