まさか…この痛みも更年期?49歳「膝」なんて疑ってもみなかった
「最近、手首がこわばって痛い」
「膝が痛くて立ち仕事がつらい」など、40~50代になり、こんな悩みがありませんか?
日本の女性は平均的に50歳頃に閉経を迎えることが多く、閉経を挟んだ前後5年間は「更年期」と呼ばれています。
この時期は、ホルモンバランスの影響で、さまざまなからだや心の不調に悩む女性が多いです。
更年期女性のお悩みのひとつに関節痛があります。
とくに、膝や手の指、手首の関節の痛みを訴える方が多いです。
今回は、更年期の関節痛の改善法について「あんしん漢方」の薬剤師、清水みゆきさんに教えてもらいました。
更年期の歩き方(20)
突然襲われた「膝の激痛」。ヒール靴が履けない!
しのぶさん(49歳)は通勤がストレスで憂鬱な毎日を過ごしていました。
「数か月前から両膝が痛くなってきて、とくに駅の階段の上り下りがつらくて……」
銀行に勤務しているしのぶさんは、身だしなみに気をつかってヒール靴で通勤しています。
でも、ずっと愛用しているヒール靴なのに、歩くと襲われる膝の激痛せいで歩くのがつらくなってしまったのだそう。
いろいろなインソールを試してみましたが効果はなく、今ではわざわざ遠回りして駅のエレベーターを使うなどしてなんとか痛みをしのいでいます。
ひたすら痛みを我慢して、しのぶさんがヒール靴で通勤するのには理由がありました。
「先日、朝起きた時から膝の痛みが激しかったので、ウォーキング対応のフラットな靴で出勤したことがあったんです。
もちろん、フラット靴といっても、シンプルできれいめのパンプス。スニーカーライクな靴底ですが、ただ踵がないだけで、TPOもわきまえていたつもりです。
出勤途中に会った同僚からも『足が疲れにくそうできちんと感もあっていい靴だね』と褒められたくらいなんですよ。
なのに、玄関先で会った上司から『ヒール靴で出勤しないなんて社会人失格だ!』と怒鳴られてしまって……その後もネチネチと嫌味を言われて散々な目にあいました。」
あのフラット靴だと膝の痛みもまだマシだったので、できれば履いて出勤したいところですが、また上司に怒られると思うとそれもできません。
膝の痛みで毎日の出勤がストレスになりまいっているそうです。
同僚から「痛みの原因は更年期じゃない?」と言われ・・・
膝の痛みがずっと続くので心配になったしのぶさんは、整形外科を受診することにしました。
「整形外科でのレントゲン検査では異常はなく、医師からは体重を減らして膝への負担を減らすようにと言われました。
そんなに急に体重が増えたわけではないのですが……」
処方された鎮痛薬を飲めば痛みは少し和らぎますが、薬を飲むのを止めるとまた痛みがぶり返します。
このままずっと薬を飲み続けないといけないのかと思うと不安でいっぱいになってしまいます。
ある時、痛みのせいでぎこちない歩き方をしていたしのぶさんを見て、同僚が心配して相談にのってくれました。
その同僚がこう言いました。
親戚の伯母さんが手のこわばりに悩んでいたんだけど、更年期の関節痛が原因だったみたい。ホルモン療法で治ったと言っていたわよ。
もしかしたら、あなたの膝の痛みも同じじゃない?
痛み止めの薬を続けるのが不安なら、婦人科も受診してみたらどう?
「まだ生理は毎月きていますが、ここ半年ほど、からだが重く感じて疲れやすさやむくみも気になってします。
年齢的にも更年期が原因なのかもしれないと思い、今度は婦人科を受診してみることにしました」
痛みから解放された!ヒール靴でもつらくない!
婦人科を受診したところ、しのぶさんの膝の痛みは更年期が原因だろうとのことでした。
ホルモン補充療法には抵抗があると医師に相談したところ、「防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)」という漢方薬を処方されたそうです。
防已黄耆湯は、水分代謝をよくして余分な水分を排泄し、むくみや痛みを改善する漢方薬です。
「更年期障害に手や膝の関節痛があることも知りませんでしたが、その治療に漢方薬が使われることにも驚きました。
確かに、女性ホルモンが痛みの原因なら、鎮痛薬や湿布だけでは痛みは根本的には治らないですよね」
漢方薬を飲むのは初めてでしたが、思ったほど苦くなくて抵抗なく飲むことができました。
そして、飲み始めて2週間くらいで、むくみが軽減して下半身がスッキリしてきたように感じるようになりました。
漢方薬を飲みつつ、膝が痛む時は鎮痛薬も服用していたのですが、だんだんと鎮痛薬を飲む回数が減っていきました。
今では漢方薬だけしか飲んでいませんが、痛みがぶり返すことはありません。
「膝の痛みがひいたので低めのヒールであれば問題なく履いて出社できるようになりました。
しかも、重たかったからだが軽くなり、疲れやすさも軽減して前より体調がよくなりうれしいです」
更年期の関節痛の原因は女性ホルモンの減少
更年期は、女性ホルモンが一番激しく変動する時期です。
40歳後半から50歳代になると、女性のからだは、女性ホルモンのひとつエストロゲン(卵胞ホルモン)が急激に減少します。
エストロゲンは軟骨の成分であるコラーゲンの生成に関わっており、減少すると関節の軟骨が不足して関節の痛みを引き起こす原因となります。
また、加齢による軟骨や筋肉の衰えや関節内の水分の減少も、関節痛を引き起こすと考えられています。
関節痛の悩みには漢方薬を試してみて!
漢方薬は自然の生薬から作られていて、不調や体質の根本的な改善に効果が認められているお薬です。
「痛み止めから解放されたい」
「関節痛が起きにくい体質になりたい」
そんな方には漢方薬がおすすめです。
更年期の関節痛の改善には、以下の漢方薬が使われることがあります。
<更年期の関節痛におすすめの漢方薬>
・五積散(ごしゃくさん):冷えや腰痛、月経痛も気になる方に。
・桂枝加苓朮附湯(けいしかりょうじゅつぶとう):手足の冷え、動悸やめまいも気になる方に。
・防己黄耆湯(ぼういおうぎとう):むくみが気になる方に。
漢方薬を選ぶ際の重要なポイントは、その人の状態や体質に合っているか、という点です。
うまく合っていないと、効果を感じられないだけでなく、場合によっては副作用が生じることもあります。
どの漢方薬が自分に向いているのかを見極めるためには、プロの力を借りるのがおすすめです。
AI(人工知能)を活用した医療チームが、お手頃価格で、個人に効く漢方を見極めて自宅に郵送してくれる「あんしん漢方(オンライン個別相談)」などのオンライン漢方サービスに、一度相談してみるのもいいでしょう。
相談もスマホで完結ですので、対面では相談しにくい悩みも気軽に相談できます。
●あんしん漢方:https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/
更年期の関節痛の悩みから抜け出そう!
「膝が痛くて階段の上り下りがつらい」
「手首の関節がこわばって痛い」
もしかしたら、あなたを悩ませる痛みの原因は更年期の関節痛かもしれません。
鎮痛薬や湿布で我慢せずに、専門家に相談してみませんか?
漢方でからだの内側からバランスを整えて、更年期も元気な笑顔で過ごしていきましょう。
執筆/あんしん漢方 薬剤師 清水 みゆき
漢方薬・生薬認定薬剤師、JAMHA認定ハーバルセラピスト。製薬企業の研究所勤務を経て、漢方調剤薬局に8年間勤務。漢方薬の服薬指導、食事や養生法での健康づくりのサポート、ハーブティーやアロマの相談販売に従事。現在も漢方調剤薬局で薬剤師として働きながら、「ママのためのやさしい漢方」のサイト運営や漢方やハーブの通信講座やセミナー講師としても活動中。
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