その不倫のどこがいいの?身体?童貞同然の年下カレなんて?
後ろ指をさされる関係とわかっていても、やめられない不毛なつながり。
不倫を選ぶ女性たちの背景には何があるのか、またこれからどうするのか、垣間見えた胸の内をご紹介します。
【不倫の精算#29前編】
軽やかに生きているように見えた独身女性の「突然の告白」
既婚のLさんは39歳、15年以上勤めている会社では営業チームのリーダーとして活躍している。
人懐っこい笑顔で話題の豊富な彼女と話すのは楽しく、以前から取材を兼ねてよく会っていた。
結婚して10年になる夫との間に子どもはいないが、それでも特に不満はないとLさんからは繰り返し聞いていた。
「私もあの人も、仕事が楽しいしね。
親戚の子どもたちがかわいいから、それで十分って感じ」
どんな人生であれ、他人が口を出すことではないし、その人だけが幸せかどうかを決められる。
そんな言葉を言い合っては、私たちは“既婚でも気楽にお酒を飲める週末の夜“を楽しんでいた。
真摯に仕事に取り組み、結果を出し続ける女性。
その姿は憧れでもあり、愚痴を聞くときは親近感を覚えたりもした。
だから、そんなLさんから不倫を打ち明けられたときは、少なからずショックだった。
なぜか「独身男性相手なら安全」と思ってしまうこの現象
Lさんの不倫相手は、同じ部署にいる35歳の男性社員だった。
「彼、独身なんだけどね、まともに女性と付き合ったことがないんだって。
確かに女性慣れしていないところがあって、そこもいいんだけど」
その日、待ち合わせたカフェで、Lさんはキラキラと目を輝かせながら話していた。
「……」
返す言葉はなく、ただ沈んでいく気持ちを実感していたが、そんなこちらの様子には構わずLさんは続けた。
「前から面白い子だなとは思っていたのね。
で、飲み会のときに告白されちゃって、それからよ」
勢い込んで話す姿には、不倫の後ろめたさなど感じられなかった。
気軽に、そこにある商品を手に取るように不倫を選ぶ人はほかにも見てきた。彼女もまた、進むほど葛藤と焦りが深くなる不倫の業を知らないのだ。
「独身で実家暮らし、彼女もいないから好きなときに会えるのよ」
頬を上気させて話すLさんは、彼が独身であることになぜか安心を感じているように見えた。
受け身な男との不倫は本当に何一ついいことがない
最初のうちは、Lさんが電話したりデートに誘ったりと、関係をリードしていたそうだ。
恋愛経験が少なく、女性と交際したことがない35歳の男性。年上の女性でしかも既婚、不倫というつながりをうまく運べるとは到底思えない。
ホテルに行くことを言い出したのもLさんからだったらしい。
「休みの日にランチに行くじゃない?
で、この後どうするかとか、行きたいところはないかとか、彼は何も言わないのよ。
なんとなくクルマを走らせてるって感じで、仕方なく私から誘ったの。
さすがに男らしくないよね」
この言葉につい、呆れた声でこう返してしまった。
「そりゃあ、年上だし上司だし慣れてないし、自分からホテルに行こうなんて言い出せないんじゃないの?」
するとLさんは驚いたように目を見開いた。
「じゃあ何で一緒にいるのよ?」
不倫だから、身体でしょ……とはさすがに返せず、「好きだからじゃないの?」と表現を変えた。
そうよね、あの子も私のことが好きなはずよね、とつぶやくLさんだったが、この「不倫相手の受け身な態度」にそれから悩まされることになる。
「彼からデートに誘われない」
「彼のほうからLINEのメッセージが来ることは少ない」
「休日にLINEしていても会いたいとは決して言わない」
こんな愚痴を聞かされることが多くなり、彼女は不倫という関係の前に、彼の気持ちについて苦しむようになった。
責任逃れか、恋愛経験が少ないのが理由なのか?
Lさんと独身の彼の交際は、距離のある関係へと変化していった。
「好きな女が結婚していたらさ、普通は嫉妬とかしない?」
不倫を打ち明けられてから数ヶ月、顔を合わせるLさんから笑顔は消える一方で、代わりに独身の彼の態度についておかしな質問をされることが増えていた。
「嫉妬しても言い出せない男の人もいるよ」
「考えたくないんじゃないの?」
そのたびに、独身男性の気持ちを推察することに疲れを感じたが、Lさんは何とかして答えをほしがっていた。
「私が『明日は夫とデートしてくる』って送っても、スルーするのよ。
で、次の日に全然違う話を振ってきたりするの。
これも、やっぱり自信がないせいかしらね」
告白してきたのは向こうなのよ、と何度も繰り返すLさんは、経験値のなさを理由に彼の言動を“解析“していた。
「でも、やることはやるの。
ホテル行こって言ったら絶対に拒否しないし。
行為の最中も好きとか向こうは言わないけどね」
肉体は求めるが、肝心の愛の言葉は返してくれない。
常に誘われる側、言われたから従う側を選ぶ独身の彼の様子は、こちらから見れば完全に“責任から逃れたいだけの男”だった。
だが、Lさんは「恋愛経験が少ないからこうなるのだ」という思いを引きずっており、何とかして彼を理解しようとしていた。
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