更年期、悪いことばかりじゃないよ!「社会的なつきあい」がうまくいくように

閉経の前後5年を一般に、更年期と呼びます。日本人の閉経の平均年齢は50歳なので、45~55歳の世代は更年期に当たる人が多いもの。身体の不調に苦しみ「更年期障害」の状態に至る人もいます。

 

私ってもう更年期なの? みんなはどうなの?

 

オトナサローネは同世代の女性100人がいまどのような更年期を迎えているのか、そのあり方を取材しています。(ご本人の年齢や各種の数値は取材時点のものです)

【100人の更年期#49】

 

プロフィール

Hさん 49才 独身。現在、都内の郊外エリアで両親と同居。外資系勤務歴が長く、45歳で現在勤務する外資系設備投資会社に正社員として転職。

 

突然のリストラでキャリアから退場。再就職先が見つからない!

こうして呼んでいただきましたが、実は私、自分のことを更年期って意識していないんです。それでもいいですか?と話を始めたHさん。外資系の会社に勤務する彼女は、いかにも「外資の人らしい」サバサバとした快活な女性です。

 

「いちどは日本の会社にも勤務しましたが、私は日本独特の空気を読まされる風土、仕事以外の雑用も平気で命令する奴隷扱いが本当に嫌いで。外資系はそのあたりが、悪い意味でもいい意味でもドライで、やることをやっていれば他人に口を挟まない。自分の仕事だけに集中できるのが魅力です」

 

外資系といえば3年で転職を繰り返すイメージですが、Hさんは同じ会社で上のポストに昇進、順調にキャリアを積んでいました。

 

「なのですが、39歳のときに予兆もなく突然解雇されました。今後のアジアは香港を中心にする、日本法人は縮小すると、オフィスごとバッサリ切られてしまったんです」

 

こんな解雇があるのも外資系の特徴だとはわかっていましたが、いざ自分の身に起こると右往左往したそうです。折しも、ちょうど景気の後退局面でした。そもそもの求人が少ない上、昇進していたポジションの高さも悪く働いて、再就職は難航。

 

「応募しても応募しても、書類が通らない。やっと面接にたどり着いても落とされます。高望みしすぎたかな?と一般的な事務職に応募すると、今度は面接でスキルが高すぎると敬遠されたり。じゃあ面接に呼ばないでよ! 悪い時期に失業したと愚痴ばかり言っていましたね」

 

友人と飲んでも元いた会社の話ばかりしてしまうので、「うちの会社は」と言うのをやめなさいと叱責されたりもしました。

 

ある日突然訪れた!「ホットヨガ」との運命的な出会い

応募先を変えてアタックを続けたHさんですが、いっこうに再就職先は決まりません。断られるたび、自分の存在を否定されたような気持ちになり、精神的にも落ち込みます。

 

半年たつ頃、そろそろ失業保険も終わるしと腹をくくり、Hさんは派遣社員として大手外資系会社で働き始めました。

 

「ものすごく忙しい仕事でしたけど、楽しかったですね。分刻みのスケジュールで動くので、電波式の腕時計を買ったりして。意味あるの?って言われましたが、海外とのビデオ会議って遅れが許されないから、意外と必須なの」

 

1日中パソコンを使うせいか、頭痛や肩こりで背中がバキバキに凝ることが増えました。定期的に整体やアロママッサージに通っていましたが、なかなか治りません。「30代の頃とは違うな、これって老化?」と感じたのがこの頃です。

 

ここで不調を感じたのが逆によかったのかも?とHさんは振り返ります。当時はまだ40歳、まだまだ更年期には早い年齢です。不調がホルモンに関わるとはまったく考えなかったそう。

 

「でも老化ということはわかったので、自分の身体は自分で動かさなくちゃ解決しないのかもとふと思って。仕事の帰りにホットヨガに寄ってみたんです」

 

通勤途中の乗り換え駅にホットヨガの看板が毎日見え、もしかして呼ばれてる?と軽い気持ちでした。

 

「でも、このホットヨガにどハマりしちゃって! だって、40分間超集中してサラサラの汗をかいて、その日のストレスが全部流れるような感じになるの。こんな快感、味わったことがない! 身体が温まるし、帰宅後のビールが美味しいんですよ!」

 

それまで漠然と感じていた日々の疲れもリセットされ、この頃から身体の不調を感じることが少なくなったそうです。結果的に更年期が「軽い」のは、ここで運動習慣をつけたからかな?とHさんは感じているそう。

 

身体が動くと精神的にも軽やかになる!運命の好転を感じる

こうしてHさんのプライベートは充実し始めましたが、仕事はいまひとつ安定しませんでした。

 

「というのも、契約が1ヶ月更新なので、いつ切られても不思議はないという状況が続いていたんです。実際、最初に6人いた派遣社員のうち4人が2年のうちにいなくなりましたし」

 

考えれば考えるほどどんどん気持ちが暗くなります。そんなHさんをホットヨガは本当によく助けてくれました。体を動かしている間は考え事をしなくて済むので、一心不乱にのめりこみます。やがて、身体の調子はぐんぐん上向きに。すると、気持ちもどんどん前向きに変わったといいます。

 

「ある日、思い切って、再び正社員としての転職活動をはじめたんです。世の中の景気がよくなり始めたのも背中を押してくれました。前回はあれだけ断られ続けた悲惨な転職活動でしたが、今回はエージェントに登録して、1ヶ月もしないうちに今の会社からオファーをもらったんです!」

 

偶然にも、この会社は実家から30分かからず通える位置。独身で一人っ子、両親も高齢なので何かあったらすぐに帰れたほうがいいと思っていたHさんにはこの上ない環境でした。

 

「というわけで、45歳でいまの会社に転職しました。外資系といっても数値管理の仕事なので、ミスが許されない緊張感はありますが、営業の数字を競うわけではないので、意外とのんびりしています。外資系らしく人間関係がドライでムードが良好なのがとってもいい!」

 

老眼がものすごく進んでいるけれど…いろんな不調に慣れてきたかな?

そんなHさんが最近仕事で困るなと感じるのは、人間関係ではなく「老眼」なのだそう。

 

「小さい文字が見えなくなって、老眼が進んだなーと。0が8に見えたり、1が7に見えたりするんです。金額や発注数を間違えるととんでもないことになるので、リーディンググラスを買っちゃった。これが快適で!」

 

量販店に行けばコテコテの老眼鏡ではない、おしゃれなリーディング専用のメガネがあると友人に勧められたのがきっかけでした。

 

「もうひとつ、最近健康診断でフェリチンが足りないと言われました。放置すると貧血が進むそうなので、鉄剤のサプリメントを飲みはじめました」

 

周囲の人たちとのスタンスも変わってきたとHさんは言います。

 

「それこそ日系の会社で働けなかったくらいに、若い時は仕事で人とぶつかることも多かったんですけど、歳の功でしょうかね、聞き流せるようになりました。まずはぐっと飲み込んで、わかるよ、そういうこともあるよねって言えるようになりました」

 

また、週に1回はジムで有酸素運動をするなど、小さなことでもいいからできること、続けられることで身体を改善しています。

 

「最近始めたのはね……本当に小さいことだから笑わないでね、晩酌のワインを赤に変えました。ポリフェノールを摂れるかなって!」

 

コロナ禍の前は、ストレス解消に1人で温泉旅行にも行っていました。

 

「気が向いたときにふらりと普通電車に乗って、1泊の旅。誰にも気を使うことなく、お酒は全部持ち込み。気が向いたら温泉に入っての繰り返しで。コロナ禍の1年はそうもいかなくなりましたので、自粛要請が出ていない間なら近場の銭湯に行っていました。普段の生活を離れるだけで開放感があるので、私のオススメリセット方法です!」

 

更年期と言われると確かに年齢は当てはまるけれど、よく言われる不定愁訴はあまり感じていないというHさん。

 

「むしろ、カリカリしていた30代の頃に比べると気持ちに余裕が出てきました。もう、これ以上がんばっても、そんなに違う世界には行けないって納得感があるのかも。これからも仕事、運動、お酒、食事のバランスを程よくとって50代を迎えたいと思っています!」

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