【40女の恋愛事情】 story1 私はいつか結婚できますか?-39歳・恭子の場合(1)-
去年のクリスマスイブも私はひとりぼっちで部屋にいた。
街には幸せそうなカップルが溢れているのが辛くて、自分も幸せになりたくて、とうとう、雑誌で見かけた電話占いにかけてしまった。
料金は、1分150円。10分で1500円、1時間話したら9000円もかかる。そのうちどのくらいが占い師の手取りなのかはわからないけれど、あまりに高すぎる。以前見た時は、そう思っていた。
なのに、クリスマスの夜の私は、せっぱつまってダイヤルしてしまっていた。
もうこのまま一生恋人ができないのかもしれないという未来へのおそろしい予感につぶれてしまいそうだった。
未来の自分の姿を、誰かに教えてもらいたかったから。
あの時、電話がつながったリリサラという占い師は、私にこう言った。
「だいじょうぶ。次の誕生日までには、恋人ができていますよ」
穏やかな優しい彼女の声に、安心させられた。
そう。私は誰かに大丈夫と言ってもらいたかったのだ。
恋人ができると言われたその晩、私は1万円近い鑑定料をクレジット払いした。気づいたら1時間を過ぎていたけれど、気持ちが楽になったから、惜しいとは思わなかった。
私の誕生日は7月で、クリスマスからは半年以上先だった。
あと半年もすれば、きっと恋人ができる。
だって私は仕事も、一人暮らしでの料理も、こんなに頑張ってるんだから。
きっと運命だって、お誕生日プレゼントに恋人を授けてくれるはず。
そう、きっと……。
そう信じてきたのに。
恋人ができる気配すらないまま、私は誕生日を迎えようとしている。
どうしようもない怒りがこみ上げてくる。
私は嘘をつかれた。
あの占い師は、その場だけ耳当たりのいいことを言って私を安心させただけ。
未来なんてわかるわけもないのに、適当なことを言ってたに違いない。
ひとこと言ってやりたくて、もう一度、電話占いにかける。
リリサラという占い師はまだ在籍していて、ちょうど手が空いているという。つなげてくださいと言った後で、また悔しくなった。私は彼女に文句を言うためにも、1分150円も払わなくてはならないのだから。
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