【40女の恋愛事情】 story1 私はいつか結婚できますか?-39歳・恭子の場合(1)-
「お待たせいたしました、リリサラです」
あの時と同じ、落ち着き払った優しげな声が出た。
もういい。言いたいことだけ言って、さっさと切ってしまおう。そうすれば大して料金はかからないはずだ。私は大きく息を吸い込んで、そして話し始めた。
「あなた、嘘つきですね」
第一声で嘘つき、と言ったら、相手が息を呑む音がした。
「あなた、去年のクリスマスに、来年の7月の私の誕生日までには恋人ができますよって言ったんです。だけど、できませんでした。誕生日は明日なのに」
なんでこんなことをぶちまけてるんだろう。
みじめだった。
だけどどうしても悔しさをぶつけたい。
「適当なこと言わないでください。占い信じちゃったじゃないですか。当たらなかったら、どんなにガッカリするか、わからないんですか?」
「……」
リリサラさんは何も言わず、黙っている。
都合が悪くなると黙ってしまう人がいるけれど、そんな感じなのかもしれない。
「お金がもったいないから、もう、切りますね。私はただ、嘘つかれるのが嫌い。嘘つきは嫌いなんです。それだけ言いたかったんです、”嘘つき”って」
それじゃ、と通話を切ろうとしたその時、声が聞こえた。
「ちょっと待って」、と……。
以前つながった時と同じ、柔らかな声だった。
【-39歳・恭子の場合(2)-につづく/毎週火曜17時更新】
この記事は
作家&エッセイスト
内藤みか
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