
「せきせき」ではありません。「嘖嘖」の読み方、知っていますか?
本記事では意外と読めない漢字のクイズを出題します。本記事でご紹介するのは「嘖嘖」です。
「嘖嘖」の読み方は?
まず「嘖嘖」とは
口々に言いはやすさま。また、盛んにほめたてること。
出典元:精選版 日本国語大辞典
を意味します。
「嘖」は「責任(せきにん)」の「責」や「面積(めんせき)」などの「積」と共通した部分があることから「せき」と読みたくなるところですが、「嘖嘖」を「せきせき」と読んでしまうのは残念ながら間違いです。
まずは正解を見てみましょう。
正解は……
「さくさく」です。
「嘖」は
①大声でさけぶ。言い争う。
②やかましい。かまびすしい。出典元:嘖|漢字一字|漢字ペディア
を意味し、その読みは
- 音読み サク
- 訓読み さけ(ぶ)・さいな(む)・かまびす(しい)
です。「嘖」には「せき」の読みはありませんのでご注意を。
また「嘖」そのものの意味からはやや想像がつきにくいかもしれませんが、「嘖嘖」は評判がよい場合にのみ用いられます。「名声嘖嘖」とは言いますが「不評嘖嘖」とは言わないことにも注意が必要です。
「責」の音の変化について
先で紹介した「嘖」「責」「積」の漢字の成り立ちについて調べてみたところ、字音を表す「音符」の読みの変化が見えてきました。
本記事で着目した「嘖」は、意味を表す部分と音を表す部分とを組み合わせて作る「形声文字」で、「口」に音符「責(サク)」から成ります。
「責」(音読みは「セキ・シャク」)は、「嘖」と同じく「形声文字」で、「貝」と音符「朿(シ)→(サク)」から成ります。「龶」は音符「朿」の形が変わったものです。この「貝」は「お金」を表します。「責」は“人から金銭をむしり取る”意味があり、ひいて、「せめる」を表すようになりました。
次に「積」です。音読みは「セキ・シ・シャク」で、こちらも「形声文字」。稲などの意味をもつ「禾」と音符「責(サク)→(セキ)」から成ります。“いねを重ねつむ”意味から、ひいて、「つむ」を表すようになりました。
ここで、
- なぜ「責」は音符「朿(シ)→(サク)」から成るのに「セキ・シャク」と読むのか
- 「積」の音符「責」がなぜサクからセキに成ったのか
と疑問が湧いたのですが、インターネット上に掲載されていた舘野由香理『現代日本漢語の漢字音』(聖徳大学博士(日本文化)学位請求論文、2016年)の内容が興味深かったのでご紹介します。
上記論文によると、「セキ」は慣用音だと考えられる、とあります。
慣用音とは「呉音・漢音・唐音(音読みにおいて中国漢字音との対応関係が見られるもの)のいずれでもなく、日本で広く使われている漢字音」を指します。その多くは間違って定着したものや、発音しやすいよう言い換えられたものを指します。
論文の内容をかなり略して説明すると、「セキ」は音の変化の規則性とは異なる読みとなるため、「セキ」は音符を「類推」して読んだ語ではないかと考えられています。
「類推」には、
3 ある語形または文法形式との関連から、本来の語形または文法形式とは別の新しい語形または文法形式を作ろうとする心理的な作用。この種の働きによって、多くの不規則な語形が規則化されていくことがある。
引用元:小学館 デジタル大辞泉
の意味があります。
言葉は時代によって変化するため、難しく感じられることもあるかもしれませんが、このような心理的作用から変化したのかもしれないと思うと、身近さ、面白さも感じられるのではないでしょうか。
参考文献:舘野由香理『現代日本漢語の漢字音』(聖徳大学博士(日本文化)学位請求論文、2016年)
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